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続・復興状況視察(岩手県)

2017年10月28日   岡本全勝

先日行ってきた、復興状況視察(岩手県)報告の続きです。まずは、商業施設について。

陸前高田市では、新しい町の中心となる核に、「アバッセたかた」という商業施設ができています。まだ周囲は土地のかさ上げ工事中ですが、いずれ近くにBRTの駅もできます。専門店や大型スーパーのほかに、図書館も併設されています。図書館は本屋と隣接しています。大きな本屋です。
地方では、町の本屋さんがなくなりつつあります。図書館とともに本屋は、町の文化のインフラですよね。八戸市は公営の本屋を作っていますが、それくらいの支援が必要なのでしょう。

大船渡市では、BRTの駅前に、「キャッセン大船渡」という商業施設ができています。外観を統一した建物に、仮設から商店が移ってきています。ここも、予測以上にお客さんが利用しているとのことです。
ここは株式会社が施設を作り、管理しています。民間の専門家の知恵と意欲を借りて、町のにぎわいをつくろうという試みです。企業だけではできない、しかし役所が行うと非効率になる。それを乗り越える工夫です。
この地区の隣には、既に大型スーパーが開店しています。たくさんの買い物客の車が止まっていました。工事中のお店もありますが、これで大船渡駅前の整備はほぼ完了です。残っていうのは、仮設店舗が引き払った駅裏をきれいにすることと、建設中の防潮堤を完成させることです。

釜石市では、東部地区(町の中心)に大型スーパー、共同店舗、市民ホールなどを集めて、にぎわいの核を作っています。これらもほぼ完成です。
山田町の駅前も、スーパーの周囲にお店ができていました。駅は再開に向けて工事が進んでいます。ホテルもできました。
宮古市では魚市場が拡張されました。ところが、去年今年と、サンマが捕れないのです。去年の3分の1以下だそうです。

田老地区では、道の駅がほぼできました。災害遺構になった「田老観光ホテル」などを見学する、被災地ガイドの拠点にもなっています。当日も、たくさんの予約が入っていました。これは、なかなか考えた仕組みですね。岩泉町小本地区では、魚を利用する施設「浜の駅おもと愛土館」ができています。

商店街ができると、にぎわいが目に見えます。これらの町では、住民の帰還意思も増えて、住宅建設も進んでいます。もちろん、住民は災害前より減っていて、厳しい環境にあります。

慶應義塾大学、地方自治論Ⅱ第6回目

2017年10月27日   岡本全勝

今日は、慶應大学で地方自治論Ⅱの第6回目。まず、地方財政論が、政治学(行政学それも地方行政論)と経済学(財政学)の、両方の接点にあることを説明しました。今学んでいることが、地図で言うとどのあたりにあるのか。それを理解すると、物事がよく見えます。
これは、本を読むときも同じです。時々は目次を見て、今全体の中のどこにいるのか、議論の流れを理解すると、本文の理解が進みます。
そして、先週もたくさんの質問や反応があったので、その説明をしました。学生の質問票を読むと、どこが理解されてどこが理解されていないかよくわかります。

授業の本論は、地方財政と国家財政の規模や役割分担を説明した後に、国民経済の中で政府部門がどのような地位を占めているのか、モノ・サービスの提供とお金のやりとりの中でどのような位置にあるのかを説明しました。そして、財政の3機能も。
これらは、「よくわかった」と学生からよい反応がありました。企業と家計との関係では、モノ・サービスの提供と代金は一対一の関係(取引)にあります。政府も、ものを買ったり公務員を雇用する場合はこの関係にあります。
しかし、政府の重要な機能、税金を集め公共サービスを提供する場合は、それが一対一の関係にはありません。それどころか、貧しい人からは税金を集めず、より多くの福祉サービスを提供します。
黒板に、図を書いて説明することが、学生にはよくわかってもらえるようです。

復興状況視察、岩手県

2017年10月25日   岡本全勝

先日の宮城県に続き、24、25日と岩手県沿岸部に復興状況の視察に行ってきました。陸前高田市、大船渡市、釜石市、大槌町、山田町、宮古市、岩泉町です(ここより北の市町村は、ほぼ復興事業が終わっています)。
これらの町も、沿岸部は壊滅的な被害を受けました。土地をかさ上げしたり、高台に移転したりという、大工事をしています。ようやく、町の中心部ができあがりつつあります。この1年間で、大きく進みました。
核となる大型商店ができ、その周りに商店街が建ちつつあるのです。私たちは、住宅再建を優先しましたが、街のにぎわいは商店街です。それができることで、町の復興が目に見えてきました。すると、住民も戻ってくるのです。

かさ上げされた土地は、以前の状況を想像することが難しいくらいです。「かつての駅は、どこにありましたっけ」といった会話がでます。住宅再建とインフラ復旧は一部を除き、あと1年半でできあがります。防潮堤など、時間がかかるものもありますが。
市長町長さんたちや役場の幹部と、そのような話をしました。市町村長さんたちは多くが被災時の経験者です。役場幹部は、6年が経つとかなり入れ替わっています。
去年も書きましたが、皆さん表情が明るいです。もちろん、現地ではいろいろと難しい問題もあるのですが。住宅再建のめどが立ったこと、復興が目に見えることで、かつてとは大きく違ってきています。

視察は、被災地の復興状況を見ることが目的なのですが、首長さんや役場幹部の話を聞くことも、もう一つの目的です。現場の復旧を担っているのは、住民や企業、そして役場です。その人たちが円滑に事業を進めることができるように、制度や財政、人や知恵で支援するのが、国の役割です。私たちの相手は、住民であり、市町村役場です。

慶應義塾大学、地方自治論Ⅱ第5回目

2017年10月20日   岡本全勝

今日は、慶應大学で地方自治論Ⅱの第5回目。先週の授業でたくさんの質問が出たので、今日はその補足説明から。
個人所得課税について、地方税である住民税所得割は、県税と市町村税を合わせて10%の定率課税、国税である所得税は5%~45%の累進課税です。これは、先年の税源移譲で、わかりやすくなりました(かつては住民税も累進課税でした)。しかし、国税の累進課税を説明しておかないと、学生は分かりません。
その前に、所得税の課税について、確定申告書の例を見せて、(収入ー経費=所得)ー控除=課税対象所得。これに税率をかけることを説明しました。私も自分で申告するようになって勉強したので、学生の多くは初めて見ることでしょう。未来の高額納税者になってもらう彼らなので、説明しておくことがよいでしょう。
法人課税は、地方税の法人事業税が外形標準課税になり、国税の法人税が所得課税なので、これも説明する際にはしやすくなりました。しかし、企業の6割が赤字決算だということも説明しておかないと。
消費税の多段階課税の仕組み、消費税は逆進性かについても、図を書いて説明しました。学生に聞くと、分かったという人と、わかりにくかったという人に別れました。

本論は、地方税の課題について。税収が少ないこと(かつては3割自治と呼ばれましたが、最近は4割自治に近くなっています)、地域間格差が大きいことを説明。そして、法定外税や超過課税について。しかし、課税を強化すると住民や企業は他の自治体に逃げる可能性があること。ここは、地方税の重要論点です。
あわせて、健康保険料、介護保険料、上水道料金の自治体間格差も説明しました。こちらの方も、大きいのです。
実際どうなっているのかを説明すると、理論や制度だけを説明するより、理解してもらいやすいですよね。学生の食いつきがよく読めて、楽しいそして内容のある1駒でした。