6月3日の日経新聞中外時評は、斉藤徹弥・上級論説委員の「土地所有権は成熟に向かう」でした。
・・・近代国家制度に影響を与えた19世紀の思想家ジョン・スチュアート・ミルは、土地はみんなの財産であり、土地の私有が許されるには、地域のみんなに便宜をもたらすことが条件になるとした。
この私的所有と公共の福祉は不可分という考え方は土地所有制度の基本になる。欧州は地域の総意で土地利用や建築を規制し、古い街並みを残してきた。日本はなぜそうならなかったのか。土地所有の歴史に詳しい松尾弘・慶大教授の解説はこうだ。
土地所有制度は個人の利益と公共の利益を調和し、土地が生む利益を最大化する。だが明治政府が地租改正で私的所有権を導入すると、公共の福祉と不可分という理解が不十分なまま、土地の取引や利用の自由化が進んだ。
土地は価値を生み、国の財政を安定させた。だが自由化の成功は規制を難しくする。公益による規制は私的所有権を外から制限するものとの理解が定着してしまった。
当時は市町村が頻繁に再編され、欧州のように地域で土地利用の計画を考える仕組みができなかったのも大きい。将来どんな土地にしたいか、理念がなければ景観は守れない。時間はかかっても地域の理念を地道に育むべきだ。
地価高騰、外国人の取得、景観・環境、空き地、所有者不明――。現代の土地問題は明治以来、市場原理では解決できず、公共の福祉が問われる事態への備えを怠ってきた帰結である。
松尾氏はこの未成熟な土地所有制度がいま、試行錯誤を経て発展してゆくプロセスに入ったとみる。公共の福祉のため土地の私的所有権を制約し、国や自治体、地域が関与を強めつつあるからだ・・・
私は、日本人は個人主義(集団より自分を優先する)の社会だと考え、その一つが土地の所有権の強さだと思います。地域のことを考えず、私権を優先します。ちなみに日本人は集団主義と言われますが、あれは嘘でしょう。同調圧力が強く、それに従っているだけと思えます。