カテゴリーアーカイブ:政治の役割

労働者が反対する消費税減税

2026年10月27日   岡本全勝

時事通信社のウェッブニュースに「連合の芳野会長、消費減税に反対 社会保障財源へ影響」(10月22日)が載っていました。

・・・連合の芳野友子会長は22日の記者会見で、政府提出の消費税減税法案について、社会保障財源に穴をあける可能性を理由に「反対の立場だ」と表明した。
政府が併せて導入を目指す「就業者負担軽減支援金」については、給付付き税額控除の実施に向けたつなぎ措置であることから「一歩前進ではないか」と述べた・・・

連合は、労働組合の代表です。労働者の声を代弁しているとすると、労働者が反対する消費減税は、変ですよね。

改革は勢いでなされる

2026年10月21日   岡本全勝

「改革は勢いでなされる」と思うことがあります。これには二つの意味があります。

一つは、改革が必要とされ、ある程度の改革案もできているのですが、先送りされていたものが、あるきっかけで動くことです。戦後改革の一つである農地解放は、戦前から企画されていたのですが、実行は難しかったのです。敗戦と占領軍による民主化の中で実現しました。
2000年の地方分権改革も、長年指摘されながら、なかなか動きませんでした。バブル崩壊後の日本の低迷、それまでの仕組みを変えようとした諸改革の一つとして動き出し、実現しました。時代の雰囲気と言ったらよいのでしょうか。令和8年の現在では、想像しにくいかもしれません。

もう一つは、突然動き出して、十分な検討なく成案ができることです。主たる目的である改革は実現するのですが、そのほかの部分まで十分な検討がなされないこともあります。急いでやるので、じっくりとは検討していられないのです。時間をかけると、改革自体が挫折する可能性もあります。
例えば昭和憲法です。地方自治を規定したことは特筆すべきことですが、私には検討が不十分だったと思えます。
憲法第93条は、地方公共団体の二元代表制(大統領制)を定めています。憲法が地方公共団体に二元代表制を義務 付 けたことは不思議です 。中央政府は議院内閣制です。ヨーロッパやアメリカでは、様々な形態が採用されています。議長が市長を兼ねるもの、複数の委員が委員会を作り立法と行政を担うもの、議会が「市管理人」を任命して専門職の人が執行を担うものなどです。じっくり時間をかけたら、二元代表制にするか議院内閣制などどのような機構にするかは、各地方公共団体が選べるようにしたでしょう。
コメントライナー2022年6月7日「憲法改正は地方自治の規定から」

成果がでなかった経済成長戦略

2026年10月21日   岡本全勝

10月9日の日経新聞オピニオン欄、門間一夫・みずほ総合研究所エグゼクティブエコノミストの「「経済成長」は適切な政策目標か」から。指摘のとおりです。内閣府(経済財政部門)や経済財政諮問会議でも、取り上げてほしいです。未来を語る必要がありますが、過去の実績を踏まえない議論は「空論」「希望」に終わる可能性があります。

・・・高市早苗政権は17の戦略分野を中心に官民一体で国内投資を進める。内閣府の「中長期の経済財政に関する試算」によれば、日本経済の潜在成長率は何もしなければ0.4〜0.5%にとどまるが、高市政権の成長戦略で1.7〜1.8%まで高まるという。
過去の実績はよくない。今世紀初頭の小泉純一郎政権以来、政府は累次の成長戦略に取り組んできた。そのつど潜在成長率は2%前後まで高まるとされたが、結果は逆だ。成長戦略の策定・実行が繰り返された四半世紀の間に、潜在成長率は1%程度から0.5%程度へ半分になった。
この間の成長戦略は強力な政治のリーダーシップのもとで、官民ベストの英知を結集して策定・実行されてきたはずだ。それでも成長率が、かすりもしないレベルで目標未達に終わった現実は、厳粛に受け止めなければならない。

規制緩和、イノベーション(革新)の促進、金融市場・労働市場の改革、人材の育成、財政のワイズスペンディング(賢い支出)などを語ることはたやすい。しかし、成熟段階に達した日本のような国で、「野心的な潜在成長率」を政策目標としたとき、その目標に対応する実行可能な政策手段を定量的にひもづけるのは困難をきわめる。
手段が明確でないのに高めの目標を掲げるなら、それは精神論にほかならない。高みを目指す精神論はあってもよいのかもしれないが、弊害があるなら別である。
経済成長とそのための手段のひもづけが難しいということは、ある政策を「成長には無関係」と証明し、排除するのも難しいということだ。その結果、少しでも成長に関係しそうなメニューなら幅広く正当化され、戦略はおのずと総花的なものになる。

しかし財政状況は厳しく、人的資源の制約も強まっている。「成長」の旗が立つなら何でも予算をつけるゆとりはすでに失われている。国民にとって真の課題は何なのか、その中で民間だけでは解決できず、国の強力な関与が必要な課題は何か。成長という言葉を使わずに厳しく問うべきではないか。
例えば、経済・エネルギー安全保障の強化は、成長に資するかどうか以前に、民間だけでは対応できない死活的な課題なのだから、国民に負担を求めてでも推進すべきであろう。老朽インフラの改善や災害への備えも、国民の暮らしを守るために不可欠な課題であり、それが経済成長につながるかどうかは二次的な論点である。
経済格差が問題なら是正を急ぐべきであり、成長してからその果実を分配するという発想では、問題は永遠に先送りされる。女性活躍も外国人材の登用も、労働力の確保という狭い視点ではなく、多様性や活力のある社会が望ましい、という価値観を推進力にすべきである。

経済成長は高いに越したことはないが、目指して実現できるものではないことも過去25年で証明された。むしろ「成長戦略の一環」という発想が課題の優先順位をあいまいにし、真に必要な取り組みや資金投入が、かえって中途半端になることが懸念される・・・

大臣は業績評価でなく交代する

2026年9月20日   岡本全勝

先日、「総理の指示書と閣僚の評価」を載せました。そこで次のようなことを述べました。
・・・総理は内閣発足時に、各閣僚に何をしてほしいかを紙に書いて渡します。それが指示書です・・・内容には具体的なものとそうでないものが含まれているようです。しかし、このように項目として指示が出されると、どこまでそれを達成したかが評価できます。もっと知られてもよいことであり、そしてこれによって閣僚を評価するべきです・・・

9月17日に内閣改造が行われ、数人の大臣が交代しました。任命権は総理にあり、お一人で決めるようです。党所属国会議員にアンケートを取り、希望を聞いたとのことです。では、再任されなかった大臣は、どのような業績評価を受けたのでしょうか。知りたいところです。もっとも、よほどの失敗をしない限り更迭されることはなく、年に一度の定期異動と見ることもできます。
その点では官僚の定期異動と同じ、特に1年で交代する次官や局長と同じとも言えます。業績評価は、人事には生かされていないのです。

内閣改造の場合は、総理は各大臣の働きぶりを評価すること以上に、待機組を処遇する・処遇しなければならない事情があります。人事権は、大きな権力の源泉ですから。報道機関も、業績評価はそっちのけで、「新鮮味がない」などと評論します。
ところで、新内閣の閣僚への総理指示書は、公開されたのでしょうか。日経新聞「首相指示書の全文 18閣僚の任務とは」

綸言汗の如し2

2026年9月18日   岡本全勝

「綸言汗の如し」の続きです。肝冷斎が私の記事を取り上げていました。

・・・「綸言」は、王のことばは繭から引き出した糸(綸)のように元(の繭)には戻らないことを喩えた礼記の語ですが、汗の如しは、かつて幼い皇帝(漢の元帝)が弟に葉っぱの詔書で楚王に命ず、と言う。ままごとのようなことなのですが、それを知った賢者・劉向が深刻な顔をして「号令汗の如し」(王様の言葉は汗のように一度出てしまえば引っ込まない、臣民に疑わせてはならないのですぞ)と教え諭して、実際に楚王に任命させた、という(漢書・楚元王伝)。王者の責任の重さとか公定力を言ってるんだと思うのですが、子供のやってることなんだからめくじら立てなくても・・・

この続きの記述は、差し障りがあるかもしれないので引用しません。関心ある方は、続きをお読みください。
肝冷斎のホームページは、少し復旧したようです。スマートフォンであの記事を入力するのは、しんどいでしょうね。