カテゴリーアーカイブ:政治の役割

大臣は業績評価でなく交代する

2026年9月20日   岡本全勝

先日、「総理の指示書と閣僚の評価」を載せました。そこで次のようなことを述べました。
・・・総理は内閣発足時に、各閣僚に何をしてほしいかを紙に書いて渡します。それが指示書です・・・内容には具体的なものとそうでないものが含まれているようです。しかし、このように項目として指示が出されると、どこまでそれを達成したかが評価できます。もっと知られてもよいことであり、そしてこれによって閣僚を評価するべきです・・・

9月17日に内閣改造が行われ、数人の大臣が交代しました。任命権は総理にあり、お一人で決めるようです。党所属国会議員にアンケートを取り、希望を聞いたとのことです。では、再任されなかった大臣は、どのような業績評価を受けたのでしょうか。知りたいところです。もっとも、よほどの失敗をしない限り更迭されることはなく、年に一度の定期異動と見ることもできます。
その点では官僚の定期異動と同じ、特に1年で交代する次官や局長と同じとも言えます。業績評価は、人事には生かされていないのです。

内閣改造の場合は、総理は各大臣の働きぶりを評価すること以上に、待機組を処遇する・処遇しなければならない事情があります。人事権は、大きな権力の源泉ですから。報道機関も、業績評価はそっちのけで、「新鮮味がない」などと評論します。
ところで、新内閣の閣僚への総理指示書は、公開されたのでしょうか。日経新聞「首相指示書の全文 18閣僚の任務とは」

綸言汗の如し2

2026年9月18日   岡本全勝

「綸言汗の如し」の続きです。肝冷斎が私の記事を取り上げていました。

・・・「綸言」は、王のことばは繭から引き出した糸(綸)のように元(の繭)には戻らないことを喩えた礼記の語ですが、汗の如しは、かつて幼い皇帝(漢の元帝)が弟に葉っぱの詔書で楚王に命ず、と言う。ままごとのようなことなのですが、それを知った賢者・劉向が深刻な顔をして「号令汗の如し」(王様の言葉は汗のように一度出てしまえば引っ込まない、臣民に疑わせてはならないのですぞ)と教え諭して、実際に楚王に任命させた、という(漢書・楚元王伝)。王者の責任の重さとか公定力を言ってるんだと思うのですが、子供のやってることなんだからめくじら立てなくても・・・

この続きの記述は、差し障りがあるかもしれないので引用しません。関心ある方は、続きをお読みください。
肝冷斎のホームページは、少し復旧したようです。スマートフォンであの記事を入力するのは、しんどいでしょうね。

綸言汗の如し

2026年9月15日   岡本全勝

「総理のSNS投稿は行政文書か2」に、総理の発言も、職員が書き取って、組織的に共用し、持っているものなら、行政文書に当たると書きました。そして、「その中には政策の基礎となった総理指示などもあり、行政文書の中でも重要ですから、1に準じた扱いをすべきでしょう。なお、この場合は行政文書ですから、総理自身も持ち帰ったり、後で直したり廃棄したりすることはできません。総理も「自らの発言は記録として残る」と自覚して、発言するべきです」と書きました。

「綸言汗の如し」という言葉を思い出しました。
元は中国古典の言葉で、皇帝が一旦発した言葉(綸言)は取り消したり訂正することができないという意味です。日本では、天皇の言葉について使われました。
他方で、「過ちては改むるに憚ること勿れ」という格言もあります。

若い日本人の持つ能力の生かし方

2026年9月14日   岡本全勝

9月9日の各紙が、世界各国の学習到達度調査(PISA)の結果を報道していました。例えば、朝日新聞「数学・科学、世界上位を維持 読解力やや低下 15歳国際調査」

・・・経済協力開発機構(OECD)は8日、世界の15歳を対象に、2025年に実施した学習到達度調査(PISA〈ピザ〉)の結果を公表した。日本の順位は「科学コンピテンシー(課題解決力)」が5位(前回22年調査で2位)、「読解力」が4位(同3位)、「数学的リテラシー」は5位(同5位)と上位を維持した。
PISAは00年から3~4年ごとに実施。3分野に即した文章やグラフを読み解く問題で、知識や技能を実生活の課題解決に活用する力を測る。25年の調査には91の国と地域から約76万人が参加し、日本では高校1年生約6500人が受けた。

OECD加盟国(38カ国)全体の科学コンピテンシーの平均得点は、前回と有意な差はなかったが、読解力や数学的リテラシーは下がった。一方、日本が低下したと認められるのは、516点から503点に下がった読解力のみで、OECD加盟国の中では初めて全分野で1位となった。
文部科学省は、課題解決能力の育成を重視した学習指導要領の定着や、1人1台の学習端末環境の整備が、好成績につながったと分析している。
日本、OECD全体ともに、AIを学校の学習で適度に採り入れている生徒ほど科学コンピテンシーの得点が高い傾向がみられた。ただ、日本は学校の勉強におけるAIの利用頻度がOECD加盟国で最も低かった。
今回は3分野とは別にプログラミングツールなどの技術を使った課題解決能力を測る調査も行われた。日本の順位は4位で、OECD加盟国では1位だった・・・

記事では、さらに詳しく説明されています。上位にはいますが、課題もあるようです。
ところで大きな疑問は、高校生までは世界でもこんなに優秀なのに、日本経済はなぜダメなのでしょうか。
・この調査で測る能力と、仕事での能力が異なるから
・高校生までは優秀だけど、大学生になると勉強しないから優秀でなくなる
・成人も優秀だけど、その能力を生かし切れない会社や社会が悪い
・・・・

総理の指示書と閣僚の評価

2026年9月12日   岡本全勝

時事通信社「コメントライナー」への寄稿、第29回「所管のみ、目標なき役所」(7月10日配信)で、次のようなことを指摘しました。
「役所の各部局には、「任務と所管」は定められていても、「目標」は与えられていない。各省設置法や組織令には任務のほか、所掌事務が詳しく書かれていますが、その目標は書かれていない。何が課題なのかを考え、それら課題に優先順位をつけ、いつまでにどのように進めるのかを考える。そして、大臣や首長の了解を取って、部下を指揮して解決に導く。それが幹部の役割だ」

9月9日の日経新聞に「内閣改造、首相指示書が占う「高市人事」」が載っていました。「指示書」と聞いても、知らない人が多いでしょう。総理は内閣発足時に、各閣僚に何をしてほしいかを紙に書いて渡します。それが指示書です。
総理の政策の重点は、国会での所信表明演説や施政方針演説で示されますが、それを各大臣に示したものと言えるでしょう。各省からすると、各省設置法による任務(各省とも広範です)の中で、この内閣が何に力を入れるかが示されることになります。

内容には具体的なものとそうでないものが含まれているようです。しかし、このように項目として指示が出されると、どこまでそれを達成したかが評価できます。もっと知られてもよいことであり、そしてこれによって閣僚を評価するべきです。

ところで、この指示書は役所の文章としては、どのような位置づけにあるのでしょうか。各大臣からは、職員に対しどのようなかたちで指示が降りてきているのでしょうか。
また、これも秘密事項以外は国民にわかるように、総理官邸のホームページなどに載せればよいと思います(すでに載っていたらごめんなさい)。「高市早苗首相の18閣僚への指示書、全文明らかに」(2025年10月23日づけ日経新聞)