カテゴリーアーカイブ:社会

日本社会の平等を支えたもの1

2026年8月13日   岡本全勝

戦後の経済成長は、日本を世界最高水準の豊かな国にしました(その後は低下して、現在は上の下、中の上くらいでしょうか)。同時に、自由で、平等で、安全な社会も達成しました。過去や他国と比較してです。産業化で豊かになり、職業選択の自由や住む場所の自由も手に入れました。勤め人になって豊かになる過程で、平等になりました。これは、誇るべきことでしょう。
その中で、平等についての考察です。日本の「平等」には、経済発展だけでない要因があったと思うのです。まずは「日本人論」から。

各国の国民性を笑う小話に、沈没船の話があります。沈没しかけた船の乗客に、船長が海に飛び込むよう説得します。いくつかの型があるのですが、ここではその一つを。
アメリカ人には「飛び込めばあなたは英雄ですよ」
イギリス人には「紳士はこういうとき海に飛び込むものです」
ドイツ人には「規則なので飛び込んでください」
フランス人には「飛び込まないでください」
日本人には「みんなそうしていますよ」

「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という、笑いのネタもありました。自分で判断するのではなく、他人の行動を見て同調するのです。考えてみると、この思考と行動が、横並び・平等を尊重する通念をつくったようです。「世間を気にする」です。「集団主義」とも呼ばれますが、積極的に集団をつくり貢献しようというのではなく、集団に従っていたらよいという「消極的集団」です。

かつて流行った日本人論に、農耕民族と狩猟民族との違いがありました。日本は農耕民族で、村の中で稲作について同様の作業、共同作業をします。他方で、西欧は元は狩猟民族で、能力ある者が獲物を捕ります。獲物を捕るために、競う必要があるというのです。西欧でも狩猟生活はずいぶん昔になくなったと思うのですが、気質として引き継がれているのでしょうか。
村で共同して生きていく日本と、共同するが個人の判断が強い西欧との違いは、「この国のかたち」の違いを説明するにはわかりやすいです。「厳密な話でないな」と、批判しないでください。
この項続く

家庭内孤立6%、独居より不良

2026年8月13日   岡本全勝

7月26日の朝日新聞に「同居人いるのに…家庭内孤立の深い孤独 会話1日15分未満 子や孫と時間合わず、ご飯も独り…」が載っていました。

・・・家族と一緒に暮らしているから精神的にも大丈夫、だとは限らない――。家庭内で孤立している人は、主観的健康感や、うつ状態、ウェルビーイング(幸福感)、孤独感のいずれもよくなく、独居者と比べても不良な傾向が見られたことが、東京都健康長寿医療センター研究所のチームの調査で明らかになった。

社会的孤立は様々な心身の病気と関連することが知られているが、従来の研究では、同居家族との関係にはあまり焦点があてられてこなかった。
そこで研究チームは、同居者がいるが家族との会話時間が1日15分未満で、家の中で1人で過ごすことが多い人を「家庭内孤立」と定義。東京近郊の埼玉県和光市にすむ、独居を含む40歳以上の8824人(男性44・7%、平均70歳、要介護3~5の人を除く)に2023年、主観的健康感とうつ状態、ウェルビーイング、孤独感について国際的な指標に基づいて尋ね、家庭内孤立との関係を調べた。

その結果、家庭内孤立にあたる人は全体の4・7%で、同居者がいる人の5・8%。年代が高いほど、女性より男性で割合が高い傾向が出た。
心の健康との関連を、性別、年齢、婚姻状態、市内の居住年数、就労状況のほか、飲酒、運動などの生活習慣、持病、近所づきあいや地域活動などの影響を取り除く手法で分析した。
すると、家庭内孤立の人は、家庭内で孤立していない人よりも、主観的健康感が低い割合が1・33倍、うつ状態の疑いが1・48倍、ウェルビーイングの低い割合が1・56倍で、孤独感も高かった。独居者と比べても家庭内孤立の人は主観的健康感が低い割合などが1・2~1・29倍で、孤独感も高く、精神的健康がよくなかった。

65歳以上で家庭内孤立だと、うつ状態との関連が強まった。ただ、近所づき合いや同居家族以外との交流が多いと、孤独感が弱まる傾向も見られ、家庭外のつながりが支えになる可能性があるという。
研究をとりまとめた村山洋史・研究部長(公衆衛生学)によると、従来の孤立対策では、独居者や家庭外の交流が少ない人に焦点があたりやすく、家族と同居している人は支援の対象として見落とされる可能性があるという・・・

ネット匿名投稿の開示請求1万件

2026年8月12日   岡本全勝

7月24日の読売新聞に「ネット匿名投稿の開示請求1万件超、2年間で2・5倍に増加…SNSでの中傷など悪質投稿後絶たず」が載っていました。

・・・インターネット上の匿名投稿で名誉を傷付けられたなどとして、被害者が投稿者情報の開示を求める裁判の申し立てが、2025年に初めて1万件を超えたことが最高裁のまとめでわかった。2年間で2・5倍に増えた。SNSでの中傷など悪質な投稿が後を絶たないことが背景にある。
ネット上では長年、自らの氏名を明かさず、虚偽や私生活を暴露する情報を書き込んだり、著作物を無断で拡散したりして、他人の権利を侵害する投稿が問題となっている。

プロバイダー責任制限法(現・情報流通プラットフォーム対処法)は、匿名投稿の被害者が、投稿者の情報開示を裁判所に求める権利を認め、投稿者を特定して損害賠償を求める手続きが設けられている。
従来は、▽SNS事業者などへの裁判を申し立てて投稿者のIPアドレス(ネット上の住所)を特定▽それを基にプロバイダー(接続業者)に氏名や住所などの情報の開示を求める――の2段階の手続きが必要だった。22年10月施行の改正法で、裁判所に1回裁判を申し立てれば、SNS事業者とプロバイダーに同時に開示を求められる新制度が加わった。

被害者による手続きが簡単になったことで申し立てが促されたとみられ、最高裁によると、新制度に基づく開示の申立件数は、23年の3959件から24年に6779件と1・7倍となり、25年は1万72件に達した。2年間で2・5倍に増えたことになる・・・

壊れたままの時計

2026年8月7日   岡本全勝

杉並区立の児童交通公園に時計台があります。よく目につくところに大きな時計があって、便利です。ところが、壊れたままで、張り紙がしてあります。去年の春にはこの状態でした。区役所にメールで問い合わせたら、「部品がないので、修理に時間がかかっています」とのことでした。
部品がないなら、時計自体を取り替えても良いでしょうに。

私が利用する地下鉄丸ノ内線の新高円寺駅、車椅子対応トイレが先日から壊れたままです。これも、利用者にとっては困ることでしょうね。

修理が直ちにされないことに疑問を持ったのですが。これからは、これが常態になるのかもしれません。経済力の落ちた日本では、かつて作った施設の維持管理ができなくなる。その前兆かもしれません。

75歳以上高齢者、大都市郊外で増加

2026年8月6日   岡本全勝

7月19日の朝日新聞に「75歳以上高齢者、大都市郊外で増加 10年間の人口分布、「ドーナツ」状に」が載っていました。

・・・75歳以上の後期高齢者の人口分布が10年間でどう変化したのか、朝日新聞のデータ分析チーム(ニュースメディア開発部)が、政府の公開データを使って調べた。増減を分析すると、東京や大阪といった大都市圏では、中心部はあまり変わらないが、郊外で大きく増えていて、「ドーナツ」のような形で変化していることがうかがえた。
分析では、2010年と20年の国勢調査をもとにした1キロ四方ごとの人口分布を記録した「3次メッシュ」を使用。20年の75歳以上の人口が10年と比べて何倍になっているかを算出した。その結果から、減少した地域は青、変化がない場合は白、増加していれば赤で色をつけ、色の変化で地域の増減がわかるようにした。
東京都や大阪府、福岡県などの大都市圏の中心部では変化が少なく、白に近い色だったが、郊外になるほど赤が濃くなった。地方では青の地域も目立った。
大都市圏の郊外で75歳以上人口が大幅に増えている傾向――。何が起きているのでしょうか。高齢社会に詳しい日本福祉大教授の藤森克彦さんに聞きました。

―調査は東京圏、名古屋圏、大阪圏、福岡圏の75歳以上の人口について2010年と20年を比較しました。いずれも郊外の人口が増えたのに対し、その周囲の地方は減少、都市部はあまり変化がなく、大都市圏の「ドーナツ化」現象がみられます。郊外で増えた背景とは?

75歳以上の人口増加とともに、郊外で介護施設が整備されたことが考えられます。要介護度が大きく上がるのは75歳以降です。そして、特別養護老人ホーム(特養)は、原則として要介護3以上でなければ入所できません。
一方、特養などの介護施設は、地価の低い郊外に多く立地しています。実際、厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」によれば、14年から24年にかけての特養の施設数や定員数の伸びは、埼玉県や千葉県が約5割増なのに対し、東京都は約3割増にとどまります。郊外では特養などの介護施設に入りやすい環境が整っていることが、郊外への転入増の一因と考えられます。

―市区町村別の転入超過(20~24年を合算)の状況を人口10万人あたりに換算すると、トップが東京都檜原村(7189人)で、続いて奥多摩町(6526人)、日の出町(3998人)と東京都西部の地域が上位を占めています

これらの地域で人口10万人あたりの75歳以上の転入者が多いのは、介護施設などが比較的充実していることが考えられます。日本医師会の地域医療情報サイトによると、「75歳以上1千人あたりの介護施設の入所定員数」は、前述の3町村では全国平均の4~5倍に達しています。介護職員数も全国平均の約4倍です。
さらに、山間部としては珍しく、訪問介護や地域包括支援センターなど在宅サービスが比較的充実しており、移住の背景として考えられます。
一般に、介護サービスの充実は、自治体の財政負担を増やすことから、地域経済にマイナスのイメージを持たれがちです。しかし、適切に整備されれば、介護分野で働く人の雇用を生み、その雇用が地域の消費を活発にするなど、地域に新たな経済循環を生む役割も果たします。
こうした視点から、介護サービス事業所などを「灌漑施設」にたとえる見方があります。介護保険制度では、高齢者が地方に移住すると介護給付が中央から地方に流れます。さらに、高齢者の年金が地域の消費にもたらす効果も大きく、地方圏では地域経済を下支えする重要な要素になっています。灌漑が土地を潤すように、社会保障給付が地域を元気にするという考え方です・・・