カテゴリーアーカイブ:明るい課長講座

「言ってあるから」

2026年7月31日   岡本全勝

かつて、次のような経験をしたことがあります。
上司であるAさんが、別の組織のBさんに、ある案件を説明に行かれました。帰ってきて、「Bさん言ってあるから」と言われたので、私はBさんのところに詳しい説明に行きました。
「先日、Aが説明した件ですが・・・」と話し出すと、Bさんに怒られました。
「Aさんが説明に来たけど、私が意見を言う時間もくれずに、一方的に話していった。次の予定もあったので、『わかった、わかった』と言って帰ってもらった。私は納得していないからね」と。

確かに、Bさんに「言ってある」のですが、「わかった」は「おまえが言いたいことはわかった。早く帰ってくれ」であって、「内容に同意した」ではなかったのです。
この事例のほかにも、「言ってあるから」と言われたのに、相手に通じていなかった経験をしました。

追記
肝冷斎が、さらに書いてくれました。みんな、苦労しているのですね。
「言って相手が何か言う前に帰ってきたひとはまだいい方で、言って怒らせてきたのに「言ってきておいたから」と言うひといますよね。」

会社員のeラーニング受講完了4割、ながら受講は8割

2026年7月27日   岡本全勝

7月25日の日経新聞夕刊に「会社員のeラーニング受講完了4割、ながら受講は8割」が載っていました。みなさんも、思い当たる節があるのではありませんか。

・・・音声コンテンツのオトバンク(東京・文京)が発表した「eラーニング受講の実態調査」によると、正社員のeラーニングの受講完了率は4割にとどまった。他業務をしながらの「ながら受講」については8割以上が経験があると答えた。
6月12日、過去1年間にeラーニングの受講を求められた20〜69歳の正社員を対象にインターネットで調査した。400人から回答を得た。eラーニングについて、完了したと答えたのは42.5%だった。

受講できなかった理由(複数回答)について聞くと、「内容に興味を持てなかった」が最も多く、33.5%を占めた。「長時間の動画を見るのが負担だった」(30.4%)、「受講に対するモチベーションがわかなかった」(29.6%)が続いた。
メール確認など、他のことをしながらのeラーニング受講をした経験があるかについて、34.0%が「よくある」、46.5%が「たまにある」と答えた。合わせて80.5%が「ながら受講」を経験していた・・・

最近の職場の新人

2026年6月28日   岡本全勝

知人から教えてもらった話です。笑えるような、笑えないような。
ちなみに、この方も、かつての管理職です。

職場に入ってきた新人職員と、コミュニケーションに苦労している上司とのやりとりです。
上司が「電話に出て!」と言うと、新人君、自分の携帯電話をポケットから取り出し・・・。
上司が「メールを確認して」というと、新人君、自分の携帯を・・・。

超人は、主体的に考え練習する

2026年6月6日   岡本全勝

5月23日の朝日新聞オピニオン欄、吉井理人・千葉ロッテマリーンズ前監督へのインタビュー「勝手に育った」超人たち」から。

・・・メジャーリーグで活躍する佐々木朗希、大谷翔平、ダルビッシュ有。3投手がアメリカに渡るとき、指導者として携わったプロ野球・千葉ロッテマリーンズ前監督の吉井理人さんは「勝手に育った」と評する。超人に共通する言動とは。その礎となる思考を鍛えるために、周りはどうサポートしたらいいのか。

―「勝手に育った」3投手の共通するものはなんですか。
「好奇心、向上心が強く、自分の頭で考えて工夫して練習する。主体性をもって、自分の意思や判断で物事に向き合うとも言えます。主体性は、言われたままを積極的に取り組む自主性とは明確に異なります」

―とはいえ、主体性は個人の資質によるような……。
「主体的な思考は鍛えられます。ああしろこうしろと他人に指示されるのではなく、自分で考えて取り組むことで、モチベーションが高まる。活躍する選手は自分を客観視できるから、やるべきことがわかるのです」
「まずは自分を知ることが一番のポイントです。三人称で日記を付けてみたり、脳内で自分がコーチになったつもりで自分をインタビューしてみたりすることをお薦めします。『私は』ではなく『吉井は』と俯瞰した視点で振り返る。できたこと、できなかったことが言語化できるようになれば、自ら解決策を見いだせるようになります」

―結果に至ったプロセスに加えて、そのときの感情も振り返ることが大事だそうですね。
「感情によって行動は変わります。気合が入りすぎると力んでしまう。実は家族とケンカしていたという私生活が影響することもある。メンタルをコントロールすることは重要です」
「大谷のすごさは、いつも機嫌良く見えることです。楽しくない日もあると思うんですけど、自分で自分の機嫌をとれる。力を発揮できる精神状態を作れるのです。小さいときから訓練してきたのでしょう。大谷が一人いるだけで、周りの雰囲気がぐっと良くなります。日本が優勝した2023年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)がいい例です」

―主体的な思考を育むために、指導者や保護者ができるサポートはありますか。
「気づきを与えることが全てだと思っています。まずは相手に話してもらう。安心して話してもらう関係を作るために、相手の主張は全肯定します。そのなかで『なぜ』『どうすればよかった』『どうしたい』と質問攻めにします。最初は上辺だけのことしか話せなくても、質問を繰り返すことで一歩ずつ思考が深くなっていきます」
「答えは与えられません。その人のなかにしかないのです。困ったときにヒントを与えたり、提案したりするなかで、自分に合うと思う解決策を選んでもらいます。自己決定を尊重し、成功体験を積み重ねた先に、主体性は養われていきます。もちろん年単位の時間がかかることもあります」

―勉強などでもそうですが、指導者は「答え」をアドバイスしたくなります。
「一時的には効果が出ますが、やらされてもうまくいかないとやる気がなくなり、やめてしまいます。長い目で見るとマイナスです。サポートする側は我慢が必要です。私も駆け出しの頃は、最初は選手に質問していても、最後は自分で答えをまとめていました。その会話を録音して、見直しました」

「32歳でメジャー移籍し、投手コーチから『自分のことを一番知っているのは自分自身だから、君のことを教えてくれ』と言われたのが印象的でした」

心の重い日、軽い日

2026年5月12日   岡本全勝

大型連休が終わり、仕事が再開されたでしょう。また、4月に採用された人や異動した人も、一月が経ちました。仕事の調子はどうですか。皆さんにも、経験があると思います。体調は良いのですが、心と体が重いと感じる日があります。5月病という言葉もあります。

現在の私は、重い仕事を抱えていないので、仕事で悩むことはなくなりました。ところが、連載原稿を抱えていてうまく進まないときや、引き受けた講演の構想がまとまらないときです。まだ締め切りまでに数日あっても、なんとなく気分が晴れません。
他方で、それらを形にできた日、右筆に原稿を送った日や、講演資料を主催者に送った日は、心も体も軽くなります。原稿も講演資料も眺めれば不十分な点があるのですが、「まあいいや」と踏ん切りをつけます。

講義や講演など人前で話すときも、話し始めるまでは、なんとなく体が重いです。どのように話せば聴衆に受けるかななどを考えるからです。しかし、一旦話し出すと夢中になり、また聴衆の反応を見るのに全力を使うので、その心配はどこかに行ってしまいます。そして講演が終わると、ヘトヘトになってしまいます。しかし、心は軽いのです。特に聴衆の反応がよかった日は、うれしくて心が軽くなります。

現役時代はどうだったんだろうと、思い返しました。出勤恐怖症になったとき(2度)が、最もしんどかったときでしょう。ところがそれ以外では、そんなにしんどいと思いませんでした。総理秘書官や大震災での被災者支援など、もっときつい仕事もしたのですが。一人で悩まない術を会得したことで、切り抜けることができるようになったのです。
そして毎日が忙しくて、しんどいとか言っておられなかったのでしょうね。悩む暇なく、次の仕事を処理しなければなりませんから。忙しいことは悩みをなくします。正確には、悩んでいる時間を与えてくれないのです。そして、どんな難しい仕事でも、期日が来ればそれなりに終わってしまいます。
一人で悩まずに、誰かに相談すると、多くの場合は切り抜けることができます。私たちの仕事とは、そんなものです。