カテゴリーアーカイブ:科学技術

人工知能データセンターは電気の缶詰

2026年9月1日   岡本全勝

8月16日の読売新聞に、大塚隆一・編集委員が「データセンター 重工業化加速」を書いておられました。

・・・人工知能(AI)向けの大規模データセンターが次々と建てられている。産業史上で屈指の巨額投資も相次ぐ。AIデータセンターとはどんな施設なのか。なぜ大量の電気と水が必要なのか。建設ラッシュの先には何があるのか。インフラ(社会・産業基盤)の歴史も踏まえて考えてみた。

数千のラックが並び、その棚には計数十万個もの画像処理半導体(GPU)が収まる。GPUは猛烈な計算で二つの仕事をする。
一つは大量のデータからAIモデルを作る「学習」。もう一つはチャットGPTのような完成したモデルを使い、利用者の質問への回答を生成する「推論」だ。その際にGPUは大量の電気を使い、大量の熱を出す。
米エヌビディアの最新GPUである「B300」の場合、本体は手のひらに収まるほど小さいのに電気ストーブ以上の電力を消費する。この電気エネルギーはほとんどが熱として放出される。
GPU72個が入るラックはどれほど熱くなるのか。ラック内部は衣料品店の試着室を縦に二つに割ったほどの広さ。図の右側の計算が示す通り、その空間に電気ストーブ100台分の熱が発生する。
そのうえ発熱はわずか数平方センチほどのGPUに集中する。エアコンのような「空冷」ではGPUは焼き切れかねない。だから大量の水でがんがん冷やす。この冷却にも大量の電気が使われる。

現時点で最大規模のAIデータセンターは米スペースXがテネシー州に建設した「コロッサス2」だ。最大消費電力はGPUなどのIT関連機器だけで約1ギガ・ワット。これは原発1基分の電力に相当する。
1施設当たりでこれほどの電力を使う産業はほとんどない。「電気の缶詰」とされるアルミニウムの精錬工場に迫る水準だ。

ここまで来ると重厚長大産業や重工業と肩を並べるレベルだ。もはや単なるネット企業ではない。
重厚長大産業は文字通り、鉄鋼や造船など重くて大きいものを作る。一方、IT業界が扱うデータは重さも大きさもゼロだ。個々の計算などに要する電気は微々たるものだが、処理量の激増で電力消費は無視できなくなってきた・・・

都心のカラス、25年で8割減

2026年8月26日   岡本全勝

8月8日の日経新聞に「都心のカラス、25年で8割減 野鳥の生態系にも変化」が載っていました。
・・・かつて社会問題化するほどいた東京都心部のカラスがこの25年で8割以上減り、スズメの存在感が増している。全国では急減している野鳥も少なくなく、生態系が変わってきた・・・

民間の研究会が都心3か所で実施した調査では、カラスの数は一番多かった2000年に比べ、2025年では84%減ったとのこと。東京都による40か所での定点調査でも8割減です。理由は、生ゴミの管理が徹底され、食べ物が減ったことだそうです。

確かに、我が家の周りでも、減ったと思います。しかし、まだ残党がいて、電柱の上で鳴いています。餌になる生ゴミがあるということですね。

鎌田先生解説、熊本地震と今後の巨大地震

2026年8月12日   岡本全勝

鎌田浩毅先生が、8月6日のテレビ朝日「モーニングショー」に出演して、「“大地変動の時代”突入?熊本地震も一環か 専門家「南海トラフの前兆」指摘も」を解説しておられます。ウェッブで見ることができます「大地変動の時代 南海トラフ地震関連は?」。約30分あまりの番組です。
すごくよくわかる説明でした。

「週刊エコノミスト」の連載「役に立つ地学」第261回の熊本地震の解説(8月12日掲載)も、無料で読むことができます。

革新的な科学の発明10

2026年5月23日   岡本全勝

5月16日の日経新聞別刷り「何でもランキング」は「人類を飛躍させた科学の発明」でした。ウエッブでは「インターネットは何位? 人類史に残る「不連続」イノベーション10選」という表題です。
・・・世界人口が雪だるま式に増えたこの300年あまり。人類の発展の背景には、それまでの常識を全く過去のものにしてしまう革新的な発明があった。人々の暮らしを変え、人類史に大きなインパクトをもたらした科学技術のイノベーションのうち、いま知っておきたいものを専門家が選んだ・・・

それによると、第1位は窒素肥料。農作物の収穫量を大幅に改善し、食糧難を乗り越えました。
第2位は、ワクチン。過去半世紀で1.5億人の子どもを救ったとのことです。
第3位は、蒸気機関。産業革命の推進力になりました。
第4位は自動車、第5位は抗生物質、第6位はインターネット、第7位は発電機、第8位は転炉、第9位はトランジスタ、第10位はマイクロコンピュータです。
みなさんなら、何を挙げますか。

人工知能と分身ロボットの未来

2026年4月20日   岡本全勝

結果で測るか過程で測るか」の続きにもなります。
人工知能やロボットが進化すると、どのような世界が生まれるか、想像してみましょう。本人が考えなくても、人工知能が問いに答えてくれます。分身ロボットが進化すると、本人の代わりにいろんな作業をしてくれます。

まず学生です。分身ロボットに授業に出席してもらい、本人は家で寝ていることができます。宿題や試験は、人工知能に答えてもらいます。楽ちんです。高校や大学の受験も、分身ロボットが受けてくれます。ただし、入学が許可されるのは本人ではなく、分身ロボットです。本人は進学できません。
もっとも、人工知能の性能が上がると、すべて同じような水準になるので、入学試験は意味がなくなります。

入社試験も、分身ロボットに受けてもらいます。会社での仕事も、分身ロボットがやってくれます。とても楽になります。でも会社は、分身ロボットを雇うのなら、自前のロボットに仕事をさせるでしょう。本人は解雇されるか、そもそも採用されないでしょう。こうして、就職できない人がでてきます。

人工知能を備えた車に乗って、「どこか楽しい場所に連れて行け」と指示します。いくつかやりとりがあって、選んだ行楽地に連れて行ってくれます。そのうちに、車が言います。「私が出かけていって、画像を自宅に送るので、ご主人は家にいてください」と。「いや、私はあの山に行きたいのだ」と言っても、車は「そんなしんどいことは、私に任せてください。あなたは、家で寝ていてください」と言って、勝手に走って行きます。

とても暗い未来が見えます。この想像は、どこが間違っているのでしょうか。