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地方行財政-地方財政学会

日本地方財政学会研究叢書

日本地方財政学会の年報「研究叢書」第28号が届きました。私も学会員なのですが、最近は会費を納めるだけの怠け者です。

巻頭論文は、林宏昭・理事長(関西大学教授)の「地方財政学会と地方財政研究」です。学会設立(1992年)以来の研究の動向が、整理されています。
この学会誌では、設立時、10年目、20年目にも、まとめられています。その分野の研究動向をまとめて、整理することは良いですね。
研究者は、それぞれが自らの関心で研究をしています。しかし、現在どのような研究が行われているか、対象や方法を共有することは意義があります。特に初心者は、知らないことでしょう。

2010年地方財政学会

今日は、大学院で講義した後、地方財政学会に行ってきました。青山学院大学・青山キャンパスです(プログラム)。私の「本籍」は地方財政で、かつて何度も発表の機会(2003,2004)をいただきました。最近は直接の仕事を離れたことなどから、ご無沙汰していました。久しぶりに顔を出すと、たくさんの旧知の先生方にお会いすることができました。「テレビではよく見ていたけれど、元気にしていたか」といった心配から、「今度、大学に話に来てね」といった講義依頼まで、声をかけてもらいました。さらに、懇親会の最後には、締めの挨拶をせよとの、温かいご配慮も(?)いただきました。
地方財政学会は会員460人余り、今日の全体セッション参加者は270人余りだそうです。発表も多く、相変わらず大盛況でした。この学会は、学者、研究者、国家公務員、地方公務員といった、研究者から実務家までの幅広い参加者があります。理論だけでなく地方行財政の現場が近くにあり、様々なテーマや角度から研究できる学問分野だと思います。また、分権、地域間格差、財政再建、地域の問題解決など、ホットな課題も多いのです。
学問が行政を変える実践の場でもあります。近年でも、地方消費税の導入、国から地方への3兆円の税源移譲などは、研究者の先生方の理論的支えによって実現したものです。ありがたいことです。

2005年度

28、29日と、地方財政学会2005に、大阪まで行ってきました。会員は600人となり、出席者は350人を超えたそうです。学者の先生方と旧交を温めるとともに、多くの地方団体職員からあいさつを受けました。「ファンです」とか、「HP見てますよ」とか(ぐふふ・・)。
このようにたくさんの公務員が参加しするのは、良いことですね。大きな市や近くの団体からだけでなく、小さな村や遠くは佐賀、長崎、沖縄からも。勉強しようという意欲に、敬意を表します。また、研究の方も空論にならず、より実態に即したものとなるでしょう。
来年は、東洋大学(東京)でです。会員でなくても、参加できます。その頃になったら、このHPでも案内しましょう。多くの方の参加を歓迎します。もちろん、会員になっていただくことも大歓迎です。
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私の出番は、「第10分科会-交付税・補助金改革Ⅱ」での討論でした。発表のうち、矢吹初先生「地方財政の外れ値の分析」と星野菜穂子さん「地方交付税の財源保障―高齢者保健福祉費を対象に」は、出色の報告でした。
前者は、交付税の算定結果から、平均像から外れた市町村を「機械的に」選び出し、その原因を探るものです。後者は、交付税の財源保障機能について批判があるが、それは主に投資的経費であり、それに対し福祉の経費ついて財源保障の重要性を主張します。また算定方法・結果と実際の支出との関係を分析したものです。
いずれも、これまでにないアプローチで、新たな研究の地平を拓いています。論文が完成したら、ぜひ広く読んでいただきたいです。
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持田信樹東京大学教授と一緒にコメントするのは光栄でしたが、鋭い持田先生の後に意見を述べるのはつらいものがありました。また、交付税制度の改正やその影響を分析していただくのはありがたいですが、1990年に交付税課補佐となって担当した者としては、「被告人の弁明の場」でもありました。それでも、交付税に関心を持っていただき、正しく理解していただくことは、ありがたいです。逃げ隠れせず、説明しますよ。(5月29日)
【訂正】
今年度の地方財政学会の参加者を350人と書きましたが、1日目約400人、2日目約250人だったそうです。(6月12日)

2004年度地方財政学会

5月22、23日は地方財政学会総会(滋賀大学・彦根市)に行ってきました。300人を超える参加者で盛会でした。私の報告「動き出した三位一体改革の評価と課題」の分科会も、200人ほどの大教室が満員になり、立ち見もでました。用意した150部の資料では足らずに、増刷りしてもらいました。関心の大きさがわかります。
討論者は、金澤史男横浜国立大学教授と林宣嗣関西学院大学教授が務めてくださいました。その他、多くの研究者の方と、懇親を深めてきました。
5月22日学会での発表風景

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(下の写真は、玉岡神戸大学助教授が撮ってくださいました)

学会発表余話

実は、学会の講演では、かなり抑えて話しました。話のスピードも、「唾のとばし方」も、そして内容の「つっこみ方」も。いつもの調子の、半分ぐらいの「血圧」でしゃべりました。参加者の評価は、「岡本課長も、あんな話し方ができるんですね」「分かりやすかったですが、もっと話したいことがあったんじゃないですか」「いつもの全勝節じゃなかった」などなど。
抑制して話したのは、聴衆には研究者から町村職員まで様々な人がいるので、その反応を確かめながら話したこと、また、公式の場でいつものように元気よく「脱線」するわけにはいかないからです。
さらに、真ん前の席に神野直彦東大教授、金子勝慶應大学教授、中井英雄近畿大学教授、齋藤愼大阪大学教授などなどが座って聞いておられるのですよ。こんなに晴れがましい、かつ緊張する機会は、めったにないでしょう。