カテゴリーアーカイブ:著作と講演

マレーシア政府研修講師2

2026年10月3日   岡本全勝

マレーシア政府研修での写真が届いたので、載せておきます。初級職と中間管理職を一緒に講義したので、写真も2枚です。
研修員のアンケートの回答も送っていただきましたが、私の意図が通じているようでよかったです。話の途中でも班別討議でも、たくさんのしかも広範な質問が出て、それに答えたこともよかったのでしょう。講義はその分短くなるのですが、研修生の満足度は上がります。

連載「公共を創る」第272回

2026年10月1日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第272回「これまでの議論ーサービス提供での三元論」が発行されました。

公私二元論では、公益を担う政府と私益を追求する企業が異なる論理で世の中を支えています。それに対し、政府・市場・社会三元論では、三つの領域はそれぞれに得意な分野がありますが、相対立するものではなく協働して世の中を支えていると考えます。企業は私益を追求するだけでなく、その活動を通じて世の中を支えています。前回は東日本大震災での例を挙げて説明しましたが、もう一つの例として、助け合いの仕組みである保険を取り上げました。

第145回の図表「官の提供、民の提供」で、どのようなモノとサービスを、政府、企業、NPOが提供しているのかを、分野ごと(安全、教育・文化、福祉・衛生、社会資本・交通・通信、産業、その他)に、代表的な事業を挙げて分類しました。これを見ると、たくさんの分野で三つの部門が同じようなサービスを提供していることが分かります。
例えば教育では、幼稚園、小中学校、高校、大学は、国公立(独立行政法人を含む)と、私立(学校法人)が存在しています。医療にあっても、同様です。介護保険サービスは民間に開放され、自治体のほかに企業やNPOが担っています。

経済学や行政学の教科書では、行政が提供する公共サービスと、企業が提供する民間サービスとは異なるものと説明されます。しかし、事業主体による区分はあまり有効ではありません。そのことを明るみに出したのは、民営化です。「小さな政府」を目指し、またサービス向上のために、官が担っていた業務を民間に移したり、民間に開放したりしたのです。それらが問題なく進み、公共サービスが特殊であると言えなくなりました。
これらを見ると、利用者にとって重要なのは誰が担うかではなく、サービスの継続的な提供と、一定以上の質が確保されることです。すると、行政の役割は、そのままでは企業が提供しない、しかし必要なサービスをどのように提供するかということとともに、国民生活に重要なサービスについては、提供主体は私企業であれ、NPOであれ、役所であれ、継続性と安定性を保障し、価格や品質の妥当性を監視することの2点になるでしょう。

マレーシア政府研修講師

2026年9月30日   岡本全勝

昨日9月29日は、国際協力機構に呼ばれて、マレーシア政府行政官研修に行ってきました。去年から呼ばれています。中央と地方の公務員、初級職15人と中間管理職15人です。9月29日から10月16日まで、東京のほか大阪や京都でも研修を受けます。

私の担当は、「日本の発展を支えた行政機構」です。この内容は、外国の政府幹部に何度か講義しています。
以前は日本の発展を2期に分けていたのですが、3期に変えました。これまでは、明治維新から敗戦までを第1期(近代国家への転換)、敗戦から現在までを第2期(驚異的経済成長)と説明していたのです。しかし「経済成長外国比較」の図が年とともに伸びていくと、長期停滞を説明しなければならなくなりました。1991年のバブル経済崩壊から現在までを、第3期(成熟社会での模索)と位置づけ、説明しています。「時代は進む2」

マレーシアも発展著しく、1人当たりGDPは1万5千ドルを超えています。日本の発展の図に韓国と中国をつけてあるので、マレーシアの位置を確認してもらい、また日本の発展の要素や問題とマレーシアとを比べてもらいました。
今回は、研修生による討議も組み込みました。6班に分けて議論し、発表や質問をしてもらいました。日本の農業、教育、子育て、少子化などに関心があるようです。主催者の指示で、途中でお祈りのための休憩も取りました。
「2025年マレーシア国政府行政官研修」

コメントライナー寄稿第30回

2026年9月29日   岡本全勝

時事通信社「コメントライナー」への寄稿、第30回「政治主導を見たい」が9月25日に配信され、29日のiJAMPに転載されました。

7月に各紙が、日本版DOGE(ドージ)の結果、租税特別措置の廃止が120項目中1件だったことを伝えていました。その後に2件増えましたが、実績がないか、または少ないものです。
本家の米政府効率化省(DOGE)は、トランプ大統領が打ち出した、政府予算を大幅に削減しようとする取り組みです。有名な実業家イーロン・マスク氏が主導し、チェーンソーを持って「切り込むのだ」といった映像が流れました。しかし、いつの間にか活動を終えたらしく、その成果は不明です。腰砕けというのか、大山鳴動して鼠一匹と言うべきか。

このような政府部内での見直しで、租税特別措置や予算の大幅な廃止や縮小ができるとは、私には思えません。租税特別措置や予算は、それぞれ理由があってつくられています。そしてなによりも、それぞれの政策には利害関係者やその必要性を主張している議員がいます。その人たちを説得しない限り、官僚だけでは廃止できません。
官僚がやるとすると、全ての項目で一律削減することでしょう。もし大幅に削減しようとするなら、政治家に国会で、あるいは与党で削減対象を洗い出してもらうことです。

政治家は、「役人にはできないだろうから、私たちがやる」と言って欲しいです。官僚に重要な政策の選択と予算削減を委ねているようでは、政治主導ではありません。