カテゴリーアーカイブ:著作と講演

都庁幹部研修

2026年7月10日   岡本全勝

今日7月10日は、都庁の「行政経営研修」に呼ばれ、竹芝まで講義に行ってきました。去年も呼ばれましたが、今年は、区職員も参加して合計30人です。
2時間の持ち時間で、講義と班別討議を組み合わせました。討議課題は、都の研修担当と打ち合わせて、参加者にふさわしいものをつくりました。
ほぼ初めて会った研修生が、短時間で、難しい課題に答えを出さなければなりません。そして発表して、厳しい質問を受けます。当意即妙の受け答えも必要になります。

都と区の幹部を目指して、自らを磨いてほしいです。期待していますよ。

連載「公共を創る」第264回

2026年7月9日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第264回「これまでの議論ー成熟社会での行政の難しさ」が発行されました。

ここまで、昭和の変化に続いて、平成の変化を経済、行政、地域、暮らしの四つの場面で振り返ってきました。昭和の変化が、物が増え便利になるという「豊かになる革命」だったとすると、平成の変化は、長期停滞とともに、「社会の不安の顕在化」と「生き方の革命」「改革の時代」でした。
社会の不安とは、一人暮らしが増え、自殺者、不登校、引きこもり、心の不調、家庭内暴力、孤独死などが顕在化したことです。生き方の革命は、男女平等の実質化と働き方改革です。改革の時代とは、省庁改革や地方分権改革、規制改革などに取り組んだことです。

人類は誕生以来、三つの大きな「敵」と闘ってきました。飢餓と貧困、病と死、戦争と暴力です。我が国は、これらの敵に勝ちました。そのような生存に関わる「敵」のほかに、人類には、社会における理不尽な制約がありました。支配者への隷属、身分や経済の不平等などです。これらについても、歴史上初めて隷属や束縛から解放され、自由と平等を実現したと言えるでしょう。社会保障制度や、各種の行政サービスも充実しました。そして治安もよく、街も清潔です。人類が始まって以来、どの時代のどの地域でも手に入らなかったような幸せな暮らしを、世界に先駆けて日本は手に入れたと言えます。

ところがその後、社会の不安が広がっています。その原因は景気変動といったものではなく、日本社会が大きな転換期にあるからだというのが私の主張です。行政の前提となっている社会の実態が大きく変化しているのに、国民の意識や社会の仕組みが、さらに行政側の対応が十分に追い付いていないのです。
貧しい時代では新しい物を手に入れることが喜びでした。ところが、欲しい物を手に入れると、物を手に入れることの喜びは漸減していきます。豊かさを達成すると、それ以上物が増えても、満足できなくなるのです。
国民の満足も単純ではありません。国民は物の豊かさより、精神的豊かさや生活の質を重視するようになります。労働時間や家事の時間が減り、自由に使える時間が増えました。その時間を使って、何をするのか。それを本人が考え、選ばなければなりません。それらの喜びは、選ぶだけでは達成されません。選んだものについて、各人が努力しなければ喜びをもたらさないのです。

ヴェトナム地方政府幹部研修

2026年7月7日   岡本全勝

今日7月7日は、政策研究大学院大学で、ヴェトナム地方政府幹部の研修「戦略的幹部研修プログラム」の講師に行ってきました。私の担当は、いつもの「リーダーシップと危機管理」で、東日本大震災の経験を話します。
外国の方に、通訳を入れてです。ヴェトナム語は、まったくわかりません。スライドを見てもらうことで、理解してもらうようにしています。
ヴェトナム各地から20人の幹部が参加しています。みなさん、熱心に聞いてくださいました。質疑も、充実していました。
日本に学ぶ幹部研修も重要ですが、日本を見て、日本びいきになってほしいです。
写真をつけておきます。

市町村アカデミーで講義

2026年7月6日   岡本全勝

今日7月6日は、市町村アカデミーに呼ばれて、「管理職の必須知識講座」で講義をしてきました。昨年9月に学長を退任してから、久しぶりに市町村アカデミーに行ってきました。
この研修は、私が学長になったときに作ったものです。毎回、冒頭にその意図を話していました。その行きがかり上、今回も呼ばれたようです。

管理職は、部下職員を使って与えられた目標を達成することと、部下職員を育成することが期待されています。ところが、仕事は時には(しばしば)思うように進まず、部下は全員が優秀でやる気があるわけではありません。職場内で問題が起きること、部外との関係でうまくいかないこともよく起きます。しかし、これまでは「みんなで良い職場を作りましょう」と教えることはあっても、問題が生じた場合の対処を教えてくれることは少なかったのです。

今日は60人の研修生(市町村の主に課長とこれから課長になる人)が、熱心に聞いてくれました。みなさん、現場で悩んでいます。質疑の際にも、具体的な事例が出ました。私の答えは、個別に答えるとともに(と言って、よい正解はないのですが)、一般論としては「一人で悩むな」「人事課に相談せよ」です。
また、この研修に参加した同じ悩みを持つ研修生同士で、意見交換をして、メール友達になって、帰ってからも情報交換をしてくださいと助言しました。そして、よい管理職、さらに幹部を目指してください。
「明るい課長講座」のページも参考にしてください。

連載「公共を創る」第263回

2026年7月2日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第263回「これまでの議論ー平成の「小さな政府」志向」が発行されました。
平成時代の地域の変化のうち、市町村について述べています。国だけでなく、地方自治体でも、この間「小さな政府」を目指した行政改革で、予算と人員の削減を続けました。それは主に、事務の外部委託と非常勤職員への置き換えで行われました。企業では、不採算部門を廃止したり縮小したりできるのですが、自治体では法律に基づく事務など廃止できないものも多いのです。会計年度任用職員のうち常勤的な勤務の職員は70万人近くいます。その他の市区町村では、職員のうち実に3人に1人が非常勤です。これで、仕事がうまく回るのでしょうか。

自治体では早くから、庁舎警備、学校給食、ゴミ処理などの業務が民間に委託されていましたが、新自由主義的改革の思想の下、「民間活力の活用」という掛け声でさらに民間委託が進みました。現業業務でなく、企画を調査会社に委託することや、施設の工事も施工だけでなく設計段階から企業に委託することが広がりました。見方によっては「丸投げ」です。ところが、職員が考える機会が減り、成果物(企画書や設計図、完成したもの)を評価する能力も低下していると聞きます。発注内容そのものを企業につくってもらう例もあるようです。
民間業者に委託すると、組織内にその仕事についての経験と知見が蓄積しないのです。住民が利用する施設の管理等を任せることにより、住民との接触が減って、地域の問題を拾い上げる機会が減ったと指摘する自治体幹部もいます。行政改革の旗を振った一人として、反省します。

平成の初期(1990年代)は、改革の時代でもありました。選挙制度改革、省庁改革、分権改革、規制改革などです。戦後型の行政が行き詰まっている、その仕組みを変えなければならないという意識からです。
この間の、私の体験も書いておきました。男女共同参画と働き方改革は、「昭和の官僚」にとっては、コペルニクス的転回でした。また、改革のいくつかに参画しました。

なお、会計年度任用職員の数については、総務省のホームページに載っています。「令和7年度 会計年度任用職員制度の施行状況等に関する調査結果 (任用件数等)