カテゴリーアーカイブ:著作と講演

連載「公共を創る」を本にすると2

2026年8月26日   岡本全勝

「連載「公共を創る」を本にすると」の続きです。
連載が完結したら、本にしたいなとは思っているのですが、まだまだ先のことです。そして、本にするには、分量を10分の1以下にしなければなりません。分冊にする方法もありますが、誰も読んでくれないでしょう。

それよりも、現在の「これまでの議論の振り返り」を書くに際して、過去の記事を眺めて、何を書いたか、どのように振り返るかを考えなければなりません。単純な要約なら人工知能でもできます(人工知能に要約させたらどんな文章になるのか、見てみたい気もします。怖いもの見たさ)。
「時代は進む」で、次のように書きました。
・・・「公共を創る」も、書き続けているうちに、内容や主張に変化を加えなければならなくなりました。今、これまでの議論を振り返り要約しているのですが、構成なども変える必要があるなあと考えています・・・
この夏の間に、このようなことを考えていました。

「連載「公共を創る」を本にすると」で、「様々な内容に言及したので、こんなことになったのでしょう」と書きました。ただし、気の向くまま好きなことを書いたのではありません。連載を始めるに当たって、主旨と構成をつくり、それに沿って書き進めました。

「執筆の趣旨」
なぜ、いま、公共を考えるか。それは、次のような理由です。
1 日本が、大きな転換期にあること。
2 公私の区分が、揺らいでいること。
3 その結果、行政(中央省庁と地方自治体)も、取り組むべき課題と手法の転換を迫られています。
これからの行政のあり方を考えるために、広く公共の中で行政を考えます。

「全体の構成」
第1章 大震災の復興で考えたこと
1 想定外が起きたー政府の役割を考える、2 町を再建するーまちとは何か、3 哲学が変わったー成長から成熟へ
第2章 暮らしを支える社会の要素
1 公私二元論から官共業三元論へ、2 社会的共通資本
第3章 日本は大転換期
1 成長から成熟へ、2 成熟社会の生き方は
第4章 政府の役割再考
1 社会の課題の変化、2 社会と政府、3 政府の役割の再定義

執筆はこの構成を外れていないのですが、それぞれの章や項の中が膨れ上がったのです。特に第4章2は53回、第4章3は官僚について書いたので102回にもなってしまいました。私の関心の中心はこれからの行政のあり方なのですが、行政の役割が変わったこと、変わるべきことを考えるためには、広く社会の変化を考える必要があるのです。それが、本稿のミソなのですが、それ故に考察が広がりました。

連載「公共を創る」を本にすると

2026年8月24日   岡本全勝

連載「公共を創る」は毎回4ページです。1ページ目は22字×20行×3段=1,320字。2~4ページ目は22字×28行×3段×3ページ=5,544字。合計6,864字。400字詰め原稿用紙で17枚です。毎回きちんと4ページが埋まるわけではないので、この文字数より少ないです。

岩波新書は、1ページが630字だそうです。400字詰め原稿用紙で1枚半程度なのですね。単純に換算すると、連載の1回分が新書の10ページになります。連載は月に3回で、新書だと30ページ。1年だと360ページになります。
また岩波新書は、1冊が原則224ページだそうです。連載「公共を創る」だと、22回分で1冊になります。連載は現在、260回を超しています。新書に換算すると、10冊を超えます。へえ~。

こうしてみると、とんでもない分量ですね。
原稿用紙17枚は、万年筆の手書きだったら、とても書き続けることはできないでしょう。ワープロのおかげです。その時々は、分量は意識せず書いていたのですが、7年も書き続けると、こんなに溜まってしまいます。「公共を創る」という主題なのですが、様々な内容に言及したので、こんなことになったのでしょう。
「粗製濫造」ではないのですが。手書きなら(万年筆を持つ手が疲れることもあり)、じっくり考え文字数を少なくするでしょうが、ワープロだと、頭の赴くままに書いてしまいます。もちろん読み返して、論旨に関係ない文章は削除し、それぞれの文章もできるだけ簡潔になるようそぎ落とします。この項続く。

連載「公共を創る」第267回

2026年8月21日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第267回「これまでの議論ー新しいリスクへの対応を」が発行されました。

前回まで、社会の変化によって新しいリスクが生まれていることを説明しました。これら新しいリスクに、政府は急速に対策を講じています。
武力攻撃、大規模災害、感染症について、日本は危機管理に目覚めたと言えます。
第2次世界大戦後の半世紀にわたり、日本では自然災害がしばしば発生しましたが、国内でも対外的にも大きな危機に直面することはありませんでした。国際的には、島国であることと、ソ連の脅威はあったものの、米安全保障条約の下で米軍が駐留し、中国や北朝鮮は日本を脅かす存在ではありませんでした。治安も良く、「日本人は安全と水は無料で手に入ると思い込んでいる」と表現されたのです。
ところが1990年代に入り、国内ではこれまでにない大規模な自然災害が発生し、国際的には北朝鮮と中国が軍事力を増強し日本への脅威が現実のものとなりました。それまで、国家の危機管理は日本政治と行政の重要な課題ではなく、対応組織も法制度も十分ではありませんでした。しかし度重なる危機に直面し、組織や法制度を順次充実させてきたのです。

政府は、新しいリスクに対して積極的に対応しています。そこには、政府自らの対応力を強化したもの(防災や武力攻撃)、再発防止策や事業者への規制(食品や製品事故)、罰則の強化(ハイテク犯罪)、国民への啓発や要請(新型コロナウイルス対策、環境保護)、救済拡大(消費者保護、健康被害)があります。ただし政府が対応してきたのは、主に古典的リスク「身体や財産への被害」と「経済社会活動への被害」です。格差や社会生活問題など「人間らしい生き方への被害」には、これらとは違った対策が必要なのです。

再チャレンジ政策を担当して、弱者支援や生活者支援という視点で行政機構を見渡してみると、三つの問題が見えてきました。
一つ目は、行政は、所掌事務にとらわれて、バラバラになってしまうことです。二つ目は、これに取り組む組織(課や局)と政策は多くの場合、事業振興やサービス確保などに取り組む各省の主たる業務ではなく、活用できる資源や人材の専門性に強みがないことです。三つ目に、生活者保護を第一の任務に掲げた役所がないことです。

再チャレンジ政策では、困っている人、もう一度挑戦しようとする人を主な対象としました。ところがそのためには、支援を必要としている人への対策だけでなく、障害となっている「制度の改正」と「社会意識や慣行の見直し」も必要だったのです。人、制度、慣習への働き掛けです。男女共同参画社会も同様です。1986年のいわゆる男女雇用機会均等法の改正から進み始めましたが、男女の平等扱いを法定しても、職場での処遇、時間外勤務の縮小、家庭での偏った役割分担、子育て支援などの社会の側の仕組みがある程度出そろって、ようやく実現し始めました。

広島県・市町幹部研修講師

2026年8月20日   岡本全勝

今日8月20日は、広島県自治総合研修センターでの県と市町の幹部研修のため、広島市に行ってきました。集合研修参加者は17人、オンライン参加者が50人あまりで、合計約70人です。

これまでこの研修は講師による講話・オンライン受講が主だったようですが、主催者にお願いして、集合研修・班別討議を組み合わせることにしてもらいました。全員が集合するのは困難なので、オンライン受講との併用です。
班別討議は、4班に分かれ、短時間のうちに課題の答えを考える必要があります。課題は、事務局と相談して、参加者に適した問を考えました。
さらに、それを発表し、ほかの班から「突っ込みの質問」があり、それに答えなければなりません。しかも、初めて会った人もいる共同作業です。皆さん、なれない作業ですが、そこは県と市町の幹部です。適確な答えと、質疑がありました。

私は、オンライン講義が嫌いです。参加者の反応が十分にわからないのです。「この人はこの話題はわかっているな。あの人はどうかな」と反応を見ながら話します。また、一方的な講義、特にオンライン研修は効果が低いと思っています。オンライン受講は、画面をつけたまま、内職ができますよね。研修は、職場から隔離された部屋でカンヅメにされる方が効果があります。そして、聞くだけでなく、参加型の負荷がかかるのがよいです。「会社員のeラーニング受講完了4割、ながら受講は8割」

追記
講義で紹介したこのホームページの「明るい課長講座」
「明るい公務員講座」3部作

時代は進む2

2026年8月19日   岡本全勝

「時代は進む」の続きです。
時間がたつと、社会が変わってしまう事例のもう一つは、講演です。国際協力機構(JICA)の依頼で、アジアやアフリカの後発国政府幹部に、「日本の発展を支えた行政機構」をしばしば講義しています。明治以来の日本の発展を写真や数字で示し、その要因のうち行政の役割と国民意識を説明しています。
明治維新から敗戦までを第1期(近代国家への転換)、敗戦から現在までを第2期(驚異的経済成長)と説明していたのです。しかし、「経済成長外国比較」の図が年とともに伸びていくと、長期停滞を説明しなければならなくなりました。質問が出るのです。そこで、1991年のバブル経済崩壊から現在までを、第3期(成熟社会での模索)と位置づけ、説明しています。次が、その講義骨子(目次、部分)です。

Ⅰ 近代日本の発展の歴史
小さな貧しい農業国が、100年で、世界の強国に発展
第1期 1867年~1945年 近代国家への転換
(1)明治維新(1867年~) 西欧国家を手本として、近代国家建設へ
(2)世界の強国に
(3)第二次世界大戦での敗北
第2期 1946年~1991年 経済大国へ
(1)廃墟からの復興と驚異的な経済成長
(2)住みよさの向上
(3)国全体で努力
第3期 1991年~現在 成熟社会での模索
(1)社会は安定、経済は停滞
(2)政治と行政の改革=官僚主導から政治主導へ、地方分権改革
(3)社会の仕組みの改革=男女共同参画、働き方改革など

Ⅱ 日本の成功の要因
1 社会の安定と発展の基礎
2 行政機構の役割
3 問題もあった
Ⅲ 信頼と倫理の育成