カテゴリーアーカイブ:行政

労働者が反対する消費税減税

2026年10月27日   岡本全勝

時事通信社のウェッブニュースに「連合の芳野会長、消費減税に反対 社会保障財源へ影響」(10月22日)が載っていました。

・・・連合の芳野友子会長は22日の記者会見で、政府提出の消費税減税法案について、社会保障財源に穴をあける可能性を理由に「反対の立場だ」と表明した。
政府が併せて導入を目指す「就業者負担軽減支援金」については、給付付き税額控除の実施に向けたつなぎ措置であることから「一歩前進ではないか」と述べた・・・

連合は、労働組合の代表です。労働者の声を代弁しているとすると、労働者が反対する消費減税は、変ですよね。

児童相談所を改革

2026年10月26日   岡本全勝

日経新聞夕刊「人間発見」、10月13日の週は、藤林武史・元児童相談所長の「傷ついた子どもの心と共に」でした。
・・・精神科医で西日本こども研修センターあかし(兵庫県明石市)センター長の藤林武史さん(68)は福岡市で児童相談所長を18年間務めた。児相に全国で初めて弁護士を常駐させ、虐待などで親と暮らせない子どもが可能な限り里親家庭で成長できるように取り組むなどの改革をリードしてきた。退任後は「子どもの最善の利益」を軸に全国の児相が創意工夫にあふれた挑戦ができるよう支援を続ける・・・

10月15日の「「最後の砦」守った18年」から。
・・・「2003年、福岡市の児童相談所長の採用試験を公募で受験し採用された。」
就任当時の児相の状況は、親や子どもと向き合って支援内容を提案する児童福祉司は、みな児相に異動してきた行政職でした。生活保護の担当経験がある人も中にはいましたが、子ども支援の専門的な訓練はほぼ受けていませんでした。一方で、増え続ける虐待に対応する中で常に疲労感があり、多くの人が「早く他部署に異動したい」と言っていました。
本来、児相職員は専門性が必須です。「いらんおせっかいをするな」と拒む親に「お困りでしょう」と関係をつくる力が重要。「実は助けを借りたい」という親や子の気持ちを観察して、引き出す力が求められるのです。
私は試行錯誤の末、人事課に掛け合い、医療機関などで対人援助の経験がある社会人の福祉職採用を始めました。登山で言えば、3合目からスタートできるようになり、現場に少しずつ活気や安定感が生まれました。

「11年、全国で初めて児相に弁護士を常駐させる改革に踏み切った。今では全国の児相が続いている。」
福岡市では09年から虐待による子どもの死亡事案が続き、職員が疲弊していた。児相は法律上、親の同意がなくても子どもを一時保護できるのですが、親との衝突が大きいと職員の精神的負担も大きくなる。もちろん子どもにも影響します。
そこで児相に子どもをとられると思い抵抗する親に、保護の必要性を熱意や経験則だけでなく、法的根拠も踏まえて説明できれば、職員の精神的負担が軽減できるのではと考えました。虐待死をなくすには、弁護士も参加して、保護すべきだと考えたケースが法的に妥当かどうか迅速に判断するのが良い処方箋になるのではと考えました。
弁護士常駐で必要なケースは保護し、必要のないケースはしない、あるいは保護を解除するという意味では効果はありました。ただ試行錯誤した結果、必要以上に「リスクがあれば、もっと保護すべきだ」というスローガンを唱えても、子どもの命は救えない、というのが私の結論です。
虐待死事案は、児相が関わった時点では事態の切迫度などの法的な保護要件が必ずしもそろっていないことも多い。だから虐待死を防ぐには「保護ありき」ではなく、児相に虐待の相談や疑いの通報があった時に、「SOSが出せない」という親の困りごとをいかに児相職員が引き出せるかが大切です・・・

生活保護窓口、職員入れ替え

2026年10月25日   岡本全勝

10月15日の朝日新聞「生活保護「半減」3年、窓口の変化は 職員入れ替え、利用者「人として扱われた」」から。

・・・2023年度までの約10年間で生活保護利用者が半減した群馬県桐生市。職員による「申請権の侵害」を市長も認め、再発防止のため市は生活保護行政の抜本的な見直しに取り組んできた。問題が明らかになって来月で3年になる。窓口は変わったのか。

「(以前は)窓口に行けば犬みたいになるしかなかった。人権なんてありませんでした。今、人として扱われているだけ幸せです」
7月、生活保護行政の改善状況を第三者がチェックする市の検証委員会。全利用世帯(710世帯)を対象にした初のアンケート結果が公表された。自由回答には、窓口対応の変化を示す証言が複数あった。
福祉事務所の対応について聞いた質問では、「分からない」が42・4%でもっとも多かったものの、「とても良くなった・良くなった」が35・0%、「変わらない」が18・5%、「悪くなった・非常に悪くなった」が4・1%。改善傾向が確認された。

利用者に罵声を浴びせ、「くず」と言ってはばからない。以前は、そんな市職員もいたという証言もあった福祉事務所。市によると、2025年度から、課長をはじめ担当者はほぼ「総入れ替え」となった。問題が発覚した23年度、市のケースワーカー6人のうち女性ワーカーはゼロだった。現在は10人に増員され、うち4人が女性ワーカーだという。
再発防止策の目玉は、窓口での相談や電話応対の会話録音の実施だ。利用者の了承を得たうえで25年6月から続けている。市地域福祉課の高橋伸幸課長は「私と担当係長の2人が、毎月2件ずつ無作為抽出して聞き、チェックしている」と話す・・・

・・・ 市の生活保護利用世帯数は11年度には約900世帯だったが、23年度には474世帯にまで減少した。問題発覚後の24年度から増加に転じ、26年8月末時点で716世帯にまで増えている。市地域福祉課の高橋課長は「物価高騰の影響もあるだろうが、以前は市の窓口は相談しづらく、利用が抑制されていたと考えざるをえない」と話す・・・

・・・<群馬県桐生市の生活保護問題>
最初に発覚したのは生活保護費を1日1千円に分割支給したうえに、その月に本来支給されるべき満額を支給していない問題だった。その後、市の生活保護利用者数が約10年間で半減していたことが判明した。市が設置した専門家による第三者委員会は25年3月に報告書をまとめ、行政の「生活保護法違反」「組織的不正」などを指摘した。荒木恵司市長は、市職員による申請権の侵害を認め、利用者らに謝罪した・・・

子ども食堂を被災者支援拠点に

2026年10月24日   岡本全勝

10月17日の読売新聞「子ども食堂 被災者支援拠点に…炊き出し、孤立防ぐ交流も」から。

・・・子ども食堂を災害時に被災者を支える防災拠点とする動きが広がっています。大量に調理できる利点を生かして炊き出しを行ったり、被災者が孤立しないよう交流の場を作ったりできるからです。地域に根付いた活動だからこそ、きめ細かな支援ができると期待されています。

「防災食を配っています。いかがですか」
9月19日昼頃、浜松市の市防災学習センター入り口で、市内で活動する子ども食堂のスタッフが声を張り上げた。認定NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」(東京)などが企画した炊き出し訓練だ。市内2か所の子ども食堂のスタッフ12人が参加し、缶詰など長期保存できる食材だけを使って弁当とスープを200食分作った。アレルギーを持つ人も安心して食べられるよう、缶詰や調味料のパッケージを並べて原材料を確認できるようにした。

子ども食堂は、子どもたちに無料や低価格で食事を提供する。多くは地域のボランティアが公民館や自宅、寺などで運営する。子どもの支援だけでなく、住民同士の交流の場としても機能している。むすびえによると、全国に1万2602か所(昨年度)ある。
むすびえは2019年から、各地の子ども食堂に防災拠点になってもらおうと呼びかけている。平時から地域に根ざして活動しているため、自治体や社会福祉協議会などと連携を取りやすく、被災者のニーズに応じた支援を行えるからだ。被災直後の炊き出しだけでなく、支援物資や復興ボランティアを取りまとめたり、被災者同士の交流の場を提供したりすることも想定されるという。
災害時に支援を行うには、普段からの備えが必要になる。
むすびえは20年に防災マニュアルを作成し、全国の子ども食堂に、懐中電灯や救急箱など備品の確認や避難訓練の実施を呼びかけた。40都道府県で研修も行い、自治体職員らと協力して被災者への支援策を考えてもらった。研修を担当する防災士の森谷哲さん(50)は「関係団体と顔見知りの関係を築けるようサポートしたい」と話す。

自治体が子ども食堂と協定を結び、災害時の支援を要請するケースも増えている。
愛媛県宇和島市は昨年2月、市内22か所の子ども食堂で作る連絡協議会と協定を結んだ。市の要請に基づき、避難所での炊き出しや、子どもたちの居場所づくりをする。食材費などは市が負担する。協議会の窓口を担うNPO法人「ユーグランマジャパン」の松島陽子・代表理事(61)は「平時から危機意識を共有することで、いざという時も連携しやすい」と語る。
福井県敦賀市やさいたま市も、地元の子ども食堂のネットワークと同様の協定を結んでいる・・・

改革は勢いでなされる

2026年10月21日   岡本全勝

「改革は勢いでなされる」と思うことがあります。これには二つの意味があります。

一つは、改革が必要とされ、ある程度の改革案もできているのですが、先送りされていたものが、あるきっかけで動くことです。戦後改革の一つである農地解放は、戦前から企画されていたのですが、実行は難しかったのです。敗戦と占領軍による民主化の中で実現しました。
2000年の地方分権改革も、長年指摘されながら、なかなか動きませんでした。バブル崩壊後の日本の低迷、それまでの仕組みを変えようとした諸改革の一つとして動き出し、実現しました。時代の雰囲気と言ったらよいのでしょうか。令和8年の現在では、想像しにくいかもしれません。

もう一つは、突然動き出して、十分な検討なく成案ができることです。主たる目的である改革は実現するのですが、そのほかの部分まで十分な検討がなされないこともあります。急いでやるので、じっくりとは検討していられないのです。時間をかけると、改革自体が挫折する可能性もあります。
例えば昭和憲法です。地方自治を規定したことは特筆すべきことですが、私には検討が不十分だったと思えます。
憲法第93条は、地方公共団体の二元代表制(大統領制)を定めています。憲法が地方公共団体に二元代表制を義務 付 けたことは不思議です 。中央政府は議院内閣制です。ヨーロッパやアメリカでは、様々な形態が採用されています。議長が市長を兼ねるもの、複数の委員が委員会を作り立法と行政を担うもの、議会が「市管理人」を任命して専門職の人が執行を担うものなどです。じっくり時間をかけたら、二元代表制にするか議院内閣制などどのような機構にするかは、各地方公共団体が選べるようにしたでしょう。
コメントライナー2022年6月7日「憲法改正は地方自治の規定から」