カテゴリーアーカイブ:行政

職場の女性活躍前進

2026年3月29日   岡本全勝

3月8日の日経新聞に「職場の女性活躍「1年で前進」4割 国際女性デー、1000人調査」が載っていました。
・・・今日は国際女性デー。性別や国籍を問わず公平に活躍できる社会を推進する「DEI」の動きは、育児・介護休業法や女性活躍推進法の改正などを経て、徐々に浸透しつつある。日本経済新聞の男女1000人調査では、DEIの中でも「職場の女性活躍が直近1年で前進した」と感じる人が約4割にのぼった。一方、DEIを推進するうえで一定の「条件が必要」だと考える層も少なくない・・・

5年間を取ると、大いに進んだが20%、ある程度進んだが41%に上っています。着実に進んでいるようです。
具体的には、次のような意見が紹介されています。
「産休や育休がようやく普及し、妊娠出産を経ても仕事が続けやすくなった」
「5年前は『制度があっても使いにくい』という雰囲気があったが、今では性別にかかわらず育休や時短勤務を利用しながらキャリアを継続することが当たり前の光景になった」

局長が課長の仕事をし、課長が課長補佐の仕事をするようになった

2026年3月25日   岡本全勝

昨日紹介した長屋聡執筆「官僚制の変容と若手官僚」(季刊『行政管理研究』2025年9月号)に、次のような指摘があります。

・・・また、官僚個人のレベルでは、事柄により、かつてより1ランク又は2ランク下の職責の仕事をしている印象も抱く。局長がかつての審議官、ともすれば課長級の判断・決定を、課長が課長補佐級の判断・決定をしているといった具合である。
これは、行政自体がより緻密な仕事を求められるようになったこととともに、例えば、幹部職員について見れば、当該ポストで自らの責任で決めることのできる裁量範囲が狭くなり、上司である政務等の判断を要する事柄が増えている面があることは否めない。上のポストの裁量範囲が狭くなれば下のポストにも影響は及んで行く・・・

「かつては課長補佐がやっていた仕事を課長がやっている」という話は、よく聞きます。働き方改革が進んで、部下に超過勤務を頼めず、管理職がそれを行っているという要素もあるそうです。それなら、仕事を取捨選択して、仕事量を減らさなければなりません。それは、緻密な仕事を求められる・裁量範囲が狭くなった場合も同じです。

他方で、官僚主導から政治主導に移行すると、幹部官僚の仕事の範囲は狭くなっても良いはずです。重要事項は政治家が判断し、幹部はその指示で動くので、責任=仕事が狭くなるからです。組織内で、課長より課長補佐や係長の方が、責任が軽くなるのと同じです。
では、なぜ局長が課長の仕事をするようになったのか。私が考える理由は次の通り。
1 幹部は、政治家に気を遣うことが増えた
これは、長屋論考が指摘していることです。幹部が自分で判断できず、官邸や大臣の意向を重要視することで、仕事が増えて遅くなるのです。想定問答をたくさん用意するとか、指示を待つとかです。

2 幹部が攻めの仕事をせず、守りの仕事になっている。
政治家の指示を待つこととともに、目の前の案件を処理することで手が一杯になり、長期的な課題検討ができていないのではないでしょうか。いつの時代にも仕事はたくさんあります。その際に、優先順位をつけることができれば、効率よくかつ安心して進むことができるのですが、モグラ叩きをしていると、良い成果は出ず、疲れます。

長屋論考には、次のような指摘もあります。
・・・ア  国会待機など、合理的と思われない業務による拘束。
このほか、幹部による必要以上の詰め(必要以上の完璧主義)、上司による有意と思われない手厚すぎる業務の指示など(近年、幹部・管理職は若手を気遣うマネジメントをするようになったとの変化は見られるが、一部には、マイクロマネジメントが変わらぬ幹部・管理職もいるように聞く)。
イ  政官関係の中での官の当事者性(自律性)の低下。
達成感を感じるような成功体験の機会の減少。政治家への根回しと政治家からの宿題こなしに多忙を極めたり、一時の野党ヒアリングで叱責されたりしている幹部・管理職の姿は、若手官僚が自分の将来を考えた時、やりがいや充実感を感じることにつながるであろうか・・・

「災害ケースマネジメントに基づく 被災者支援ガイドブック」

2026年3月25日   岡本全勝

一般財団法人ダイバーシティ研究所が、「災害ケースマネジメントに基づく 被災者支援ガイドブック」を作成しました。無料でダウンロードできます。

災害時に被災者支援に携わる自治体職員、福祉・医療関係者、NPOやボランティアなど、現場で支援を担う人たちが、「災害ケースマネジメント」の考え方に立って、実践に活かすための手引きです。これまでに実践してきた被災者支援の取り組みと、中国5県の被災自治体における支援の実践経験を基に、「災害ケースマネジメント」で必要な要素を体系化して提供するものとのことです。

被災者支援活動は、行政の手が行き届いていませんでした。極端に言えば、避難所で支援物資を提供し、仮設住宅を建設するまででした。東日本大震災で、NPOによってさまざまな被災者支援の重要性が認識され、支援内容も充実してきました。
研究所代表の田村太郎さんは、その面での私の師匠です。

長屋聡執筆「官僚制の変容と若手官僚」

2026年3月24日   岡本全勝

長屋聡執筆「官僚制の変容と若手官僚」(季刊『行政管理研究』2025年9月号)を紹介します。遅くなってすみません。執筆者から送ってもらっていたのですが、机の上で寝ていました。良い論考です。官僚制に危機感を持っている人、霞ヶ関の幹部には読んでいただきたいです。冒頭に次のように書かれています。

・・・若手の官僚が中途退職し、国家公務員志望者が減少していることが、社会的な耳目を集めている。人事院及び内閣人事局は、近年、相当な危機感を持って、これに対処すべく取り組んでいる。
本稿では、まず、政と官との関係で政治主導の必要性が唱えられ始めた1990年代以降、官僚及び官僚制はどのように変わって来たのかについて、Ⅰ官僚制の変容として概観した。そして、Ⅱにおいて、そのような経緯を経た現在の官僚制の中で、若手官僚(いわゆるキャリア官僚を念頭)の実相はどのようなものとしてとらえられるかを、個人的心証を含めて概説した。
官僚制の内側の視点から官僚制の変容の経過を整理している文献は必ずしも多くなく、Ⅱではマネジメントや人材育成にも言及しており、現役官僚の方々、さらに官僚制に関心を抱く方々に何がしか参考になれば幸いと思っている・・・

連載「公共を創る」第253回「官僚に仕事をさせるために」(3月26日号)で、「官僚機構を再び活性化し、活用するためには、新たな官僚論が必要です。ところが、このような議論が本格的になされているようには見えないのです。何より当事者である官僚の、現実を踏まえた考えと発言が求められます。」と書いたのですが、この論考は、まさに官僚が(現在は元官僚)が人事課長などの経験を元に、近年の官僚を取り巻く環境と行動の変化を述べたものです。すみません、連載「公共を創る」で紹介、引用すべきでした。

いくつか目次を紹介します。
Ⅰ 官僚制の変容
本章では、官僚制がいかに変化して来たか、また官僚制は状況の変化に十分に対応・適応して来たと言えるかを問題意識として、以下、官僚制をめぐる環境の変化と、官僚制(国家公務員制度)の改革、官僚そのものの変化と現状について記述したい。
1 取り巻く環境の変化
⑴  行政及び官僚を取り巻く経済・社会・国際状況等の変化(1990年代以降)
ア  バブル後の社会・経済・国際状況への対応の不十分 イ 個別行政の失敗 ウ 官僚不祥事の発生
⑵ 国の行政の役割の変化
⑶ 政と官、政府(内閣)と与党との関係の変化
(ウ)その他の官僚制にかかわる状況変化 ⅰ)国家公務員倫理法の制定 ⅱ)天下り批判
ウ 中央省庁改革後の運用(小泉内閣、民主党政権)
2 公務員制度改革及び官僚における変化と現状
⑵ 官僚個人をめぐる変化
ア 官僚に求められる能力 イ 志望動機、やりがい
⑶ 官僚の類型と行動 ⑷ 専門性と政治的応答性
3 官僚制についての現状認識

Ⅱ 若手官僚の実相
Ⅰに見るように官僚制が変化して来た中で、近年、若手官僚の退職者の増加、志望者の減少が著しい。以下、こうした状況の背景分析、若手官僚の実態、対応策などについて考えたい。
1 若手官僚をめぐる課題、背景
⑴ 社会的背景、社会意識の変化 ⑵ 霞が関に内在する課題
2 若手官僚の認識、特徴等
⑴ 若手職員の現状 ⑵ 若手官僚の気質、特徴 ⑶ 若手官僚の指摘(例)⑷ 構造的課題
3 対応(マネジメント)

行政の中を考える、社会の中の行政を考える

2026年3月23日   岡本全勝

会社の中の私、私の中の会社」の続きになります。行政、そして各省や自治体の中だけを見ていては、役割や課題が見えてきません。社会の中での行政を見ると違った景色が見えてきます。連載「公共を創る」では、「内包と外延」という言葉を使いました。

「会社の中の私、私の中の会社」の考え方と図は、行政の役割を考える際にも応用できます。これまでは、行政の中の各省や自治体を深掘りしていました。しかし、私たちの暮らしを支えてくれる公共空間という観点から見ると、行政・役所はその一部でしかありません。