カテゴリーアーカイブ:行政

自治体職員の被災自治体支援

2026年9月20日   岡本全勝

9月9日の朝日新聞に「全国自治体から2万人超 熊本地震で進化する「対口支援」 限界も」が載っていました。
・・・熊本地震の被災地に、全国から延べ2万人を超える自治体職員が派遣されている。主力は「対口(たいこう)支援」と呼ばれる仕組みで熊本県外から訪れた職員たち。被害の把握や生活再建の支援など、被災自治体が担う膨大な業務をサポートしている。

観測史上最高の39.2度を記録した8月26日の熊本県八代市。「北九州市」と書かれたファン付きベストを身に着けた職員が、3人ひと組で被災した住宅を調べていた。外壁のひび割れや傾いた柱などをタブレットで撮影し、書類に記録していく。担当するのは、住宅などの被害の程度を「半壊」「一部損壊」などと認定する調査。罹災証明書の発行の前提となり、支援金などに影響する。慎重な判断が必要だが、被災者の生活再建のためにスピードも求められる。

3人は、国が中心となって差配する対口支援「応急対策職員派遣制度」で被災地に来た。「対口」は「ぴったり合う」といった中国語に由来し、支援に入る都道府県や政令指定市を被災自治体ごとに総務省が割り振り、業務を助ける仕組みだ。
対口支援は2016年の熊本地震でも行われたが、被災地での職員の配置に偏りが出ることもあった。国は課題を踏まえ、18年に制度を正式に導入。今回は8月31日時点で、熊本県内の8市町に全国65の都道府県・市から延べ2万2035人が派遣され、主に住家被害の調査や罹災証明の対応、避難所の運営支援を担っている・・・

・・・対口支援の職員が最も多く充てられている業務が、罹災証明書の受付・発行や住家被害認定調査だ。8月30日時点で約7万件申請され、半数近くにあたる約3万2千件が交付された。
10年前の熊本地震の際は、発生約1カ月時の交付率は申請の3割ほどだった。前回地震を経験した八代市の職員は「単純に比較できないが、(他自治体からの)支援により、とても早く進んでいると感じる」と話す。
それでも、国が目標とする「罹災証明書の1カ月以内の交付」は達成できなかった。ある被災自治体の職員は「応援職員を増やせば単純に業務のスピードが上がるものでもない」と指摘する。支援側は、週単位で入れ替わっていく。そのつど研修や引き継ぎなどが必要で、増援が多すぎると受け入れ側の負担も大きくなるという。
総務省によると、全国の地方自治体の職員数は市町村合併などの影響で、この30年で15%ほど減少している。この職員は「対口支援の職員も強い使命感を持ってやってくれている。(受け入れ側も支援側も)精いっぱいの能力で調査をしているのが現状だ」と話す・・・

地方2026ヒット番付

2026年9月19日   岡本全勝

時々このホームページで紹介する『自治体のツボ』、連日、広範な情報を拾い、鋭い指摘を続けています。9月17日は「地方2026ヒット番付」でした。載せられた上位番付は、なるほどと思います。
あなたなら、地域のヒット作にどのようなものを挙げますか。

・・・日経MJが上半期のヒット番付を掲載していた。地方ものがなくてつまらん。西の前頭4枚目にようやく帝国ホテル京都が登場しただけ。もっとあるでしょ。と思い、現時点の番付を作った。ヒット商品を集めたので、解説はしない。探し疲れて書く気がしないのでもない。
【東横綱】群馬県パスポート
【西横綱】ママ市長産休
【東大関】南鳥島
【西大関】飛鳥・藤原
【東関脇】帝国ホテル京都
【西関脇】奈良監獄ホテル

綸言汗の如し2

2026年9月18日   岡本全勝

「綸言汗の如し」の続きです。肝冷斎が私の記事を取り上げていました。

・・・「綸言」は、王のことばは繭から引き出した糸(綸)のように元(の繭)には戻らないことを喩えた礼記の語ですが、汗の如しは、かつて幼い皇帝(漢の元帝)が弟に葉っぱの詔書で楚王に命ず、と言う。ままごとのようなことなのですが、それを知った賢者・劉向が深刻な顔をして「号令汗の如し」(王様の言葉は汗のように一度出てしまえば引っ込まない、臣民に疑わせてはならないのですぞ)と教え諭して、実際に楚王に任命させた、という(漢書・楚元王伝)。王者の責任の重さとか公定力を言ってるんだと思うのですが、子供のやってることなんだからめくじら立てなくても・・・

この続きの記述は、差し障りがあるかもしれないので引用しません。関心ある方は、続きをお読みください。
肝冷斎のホームページは、少し復旧したようです。スマートフォンであの記事を入力するのは、しんどいでしょうね。

仙台放送に出ました、震災15年その2

2026年9月16日   岡本全勝

「仙台放送に出ました、震災15年」の続きです。
仙台放送『東日本大震災・復興検証42兆円のゆくえ』の第6回に、「「確かなことは何もないということだけが確か」 復興庁元事務次官が語る、復興の反省と教訓」(9月16日)が載りました。

・・・東日本大震災から15年。復興庁の元事務次官として復興の現場に携わった岡本全勝さんは、道路や住宅、堤防などのインフラ復旧が進んだ一方で、人口減少地域におけるまちづくりや産業の再生には課題が残ると振り返る。集団移転や公共施設の整備をめぐる反省、そして次の大規模災害に生かすべき教訓について聞いた・・・

―半島部の小さな集落については、どのような課題があるのか。

宮城県・石巻市を例にすると、半島部にはいくつもの集落が点在している。入江ごとに漁港があり、そこに漁民が住んでいる。そのため、漁港を復旧し、海の近くは危険なので、すぐ後ろ山を造成して集落を移す。私も当初、当然だと思ったが、完成後に住民の意見を聞くと、別の方法もあったのではないかと思うようになった。
小さな集落には、学校も病院も商店もない。子育て世代は町の中心部まで学校や保育園、商店を利用しに行く。高齢者も病院へ通わなければならない。それなら、住宅は市街地の近くに整備し、漁業に携わる人が車で漁港へ通うほうが良いのではないかと。会社員が自宅から職場へ通勤するのと同じだ。
昔は集落の中で生活が完結していたのだろう。しかし、今の時代、学校や病院、商店がない場所は住みにくい。市街地の近くに住宅を集め、働く人が漁港や漁場へ通う方が、住民にとっても便利だったのではないかと思う。小さな集落をたくさん再建すれば、上下水道などの整備費も維持管理費もかかる。20年後、30年後に集落を維持するのは難しい。後継者がいなければ、空き家も増えるだろう。なぜ「住宅と職場を逆転させる」という発想がなかったのか。完成してから、そう考えるようになった。この問題は能登半島地震の被災地でも同じことが言えると思う。

―人口減少を前提にした場合、どのような整備が考えられるのか。

施設ごとに考える必要がある。学校は、将来、子どもの数が減ることが分かっていても、今いる子どもたちのために整えなければならない。住宅も同じで高齢者が多いからと言って、最初から減らすことは難しい。ただし、「場所」を変えることはできる。小さな学校や住宅を離れた場所に整備するのではなく、市の中心部に寄せて通ってもらう、あるいは住んでもらうという考え方だ。
市役所や文化会館については、この際立派なものを造りたいという自治体側の思いもあっただろう。今回の復旧・復興は全額が国費で、自治体の負担がなかった。もし市町村にも少し負担があれば、もう少し考えてもらえたのかもしれない。これは、その後の課題の一つだ。

綸言汗の如し

2026年9月15日   岡本全勝

「総理のSNS投稿は行政文書か2」に、総理の発言も、職員が書き取って、組織的に共用し、持っているものなら、行政文書に当たると書きました。そして、「その中には政策の基礎となった総理指示などもあり、行政文書の中でも重要ですから、1に準じた扱いをすべきでしょう。なお、この場合は行政文書ですから、総理自身も持ち帰ったり、後で直したり廃棄したりすることはできません。総理も「自らの発言は記録として残る」と自覚して、発言するべきです」と書きました。

「綸言汗の如し」という言葉を思い出しました。
元は中国古典の言葉で、皇帝が一旦発した言葉(綸言)は取り消したり訂正することができないという意味です。日本では、天皇の言葉について使われました。
他方で、「過ちては改むるに憚ること勿れ」という格言もあります。