カテゴリーアーカイブ:行政

総理のSNS投稿は行政文書か3

2026年9月7日   岡本全勝

総理のSNS投稿は行政文書か2」の続きです。総理の発言などの保存についてです。

3 総理のその他(行政の長として以外)の発言
与党総裁としての発言など。これは、現在の行政文書の定義には含まれないでしょう。しかし、総裁として公約を掲げ、それを総理として実行するなら、これも行政にとって重要な資料です。高市総理のSNSの一部も、これに含まれるでしょう。
総理や大臣に関して、法律を作るか閣議了解などで、これら政務に関する資料を保存するようにしてはどうでしょうか。国立公文書館や国会図書館憲政資料室で保管し、一定年限後に公開するとよいでしょう。

4 総理の個人的記録
総理の日記などです。これも、3と共に重要な資料です。アメリカの大統領博物館などでは、保存・展示されています。総理が歴史に名を残すために、これらも保存・展示する仕組みをつくりたいものです。

理想は官邸内に担当官がいて、総理のところに入った資料、総理や秘書官のメモ、SNS原稿などをまとめて、任期終了後に公文書館に送るなどすると、内閣のよい記録になるでしょう。アメリカのケネディ大統領は記録に残すために、若き政治学者のアーサー・シュレジンジャー・ジュニアをホワイトハウスに補佐官として入れ、情報に接する権限を与えました。その記録を基に書かれたのが『ケネディ――栄光と苦悩の一千日(上・下)』(河出書房、1966年)です。

病児保育、増える利用、苦しい現場

2026年9月7日   岡本全勝

8月21日の朝日新聞に「病児保育、増える利用、苦しい現場」が載っていました。

・・・少子化が進むなかでも、利用者が増加傾向にある病児保育。「予約がとれない」という切実な声も少なくありません。背景には、コロナ禍を経て感染症への向き合い方が変化したこともあるといいます。現状や課題について、全国病児保育協議会の杉野茂人会長(70)に聞きました。

―病児保育の利用者が増加傾向なのはなぜですか。

一つは、社会構造の変化です。共働き家庭がさらに増え、核家族化も進みました。
もう一つは、コロナ禍を経て感染症への考え方が変わったことです。以前は多少の風邪症状があっても保育園などで預かってもらえることもありました。しかし現在は、熱がなくても、感染防止の観点から「念のため」と受診やお迎えを求められるケースが増えています。
単なる「かぜ」ではなく、アデノウイルスや溶連菌などの診断がつくと、保育園では一定期間預かれません。そうした時に、病児保育が必要とされる場面が増えています。

―こども家庭庁の調査では、病児保育が「足りている」「余裕がある」とする自治体が8割にのぼります。それなのに「予約が取りにくい」のはなぜですか。

利用者数と定員数を比べると足りているように見えます。しかし、病児保育が足りているかどうかは、充足率だけでは判断できません。
病児保育で預かる子どもの多くは、急性期の感染症です。施設内で感染が広がらないようにしなければなりません。発熱などの原因が分からない子どももいます。この子とこの子は別の部屋で預かろう、担当する保育士も分けよう、といった、病児保育特有の判断が必要になります。
定員に達していなくても「今日はこれ以上、受け入れない方がいい」と判断することもあります。単に充足率で見るのではなく、一人ひとりが必要な時に、安心して使えたかが大切です。

―同じ調査で、赤字の施設は6割を超えます。運営面の課題は。

まず、季節によってニーズに波があることです。夏や冬の感染症流行期には予約が集中しますが、そうでない時期は1週間以上利用者がゼロということもあります。一方で、人員は確保しておかなければなりません。
さらに、当日キャンセルが相次ぐという問題があります。子どもの体調が回復したのならいいのですが、保護者のなかには「どうしても仕事を休めない。どこかには預けたい」と、複数の施設を予約する人もいます。
病児保育では人数だけでなく、利用する子どもの病状なども踏まえて受け入れを調整します。そのため、利用の可否が決まるのは当日朝になることも少なくありません。キャンセルが出た時点でほかの利用希望者に空きを案内しても、すでに仕事を休んでいるなど、利用につながらないことがあります。一方、施設側は人員を確保しているため、人件費は発生します。
全国調査でも、キャンセル率は5割近くにのぼり、施設運営の面で大きな課題です・・・

総理のSNS投稿は行政文書か2

2026年9月6日   岡本全勝

総理のSNS投稿は行政文書か」の続きです。
世間では「公文書」と言いますが、現在はその用語は使わず、定義を変えて「行政文書」と言っています。「政府に「公文書等」はあるが「公文書」はない

高市首相のXへの投稿は行政文書に当たらず」では、「「歴史に名を残す」「歴史の審判を受ける」ためにも、行政文書として保存すべきだと思うのですが。将来、伝記や自伝を書かれる際にも、重要な資料となるでしょう」と書いたのですが、識者の意見も聞いて考えました。一律に行政文書として扱うのは(総理の発言などを含めて)、実務上も合理的ではないと思います。次のように分類してはどうでしょうか。

1 かつての公文書に当たるもの
定型化された意思形成過程についての文書。各省協議、法制局、審議会、閣議請議など、かつての「決裁書のついた公文書」。これは、役所としては残さなければならないものです。公文書管理法で、役所に作成と保存の義務がかかっています。いずれ公文書館に移管され、公開されるのでしょう。

2 それ以外の行政文書
現在「行政文書」としているもののうち、1を除いたもの。行政文書の定義は、①職員が職務として作って、②組織的に共用し、③今現在役所が持っていることです。これらは残すかどうか判断されますが、多くの場合、短期間で廃棄されているようです。私は、組織にとって都合の悪いやりとりや記録でも、後世に伝えるために、あるいは「保身」のためにも、残すべきだと思うのですが。「都合が悪いから廃棄する」ようでは、公務員への信頼は落ちるばかりでしょう。

それはそれとして、総理の発言も、職員が書き取って、組織的に共用し、持っているものなら、これに当たります。職員が総理に説明した資料や、総理の行動記録などもここに入ると思います。その中には政策の基礎となった総理指示などもあり、行政文書の中でも重要ですから、1に準じた扱いをすべきでしょう。なお、この場合は行政文書ですから、総理自身も持ち帰ったり、後で直したり廃棄したりすることはできません。総理も「自らの発言は記録として残る」と自覚して、発言するべきです。
この項続く

仙台放送に出ました、震災15年

2026年9月4日   岡本全勝

9月3日夕方の仙台放送ニュース番組に出ました。ウェブサイトで見ることができます。「被災地で進んだインフラ整備 維持管理費が圧迫する自治体財政
先日、取材を受けた際には長く丁寧に話したのですが、いつものように採用されたのはごく一部でした。住民に高齢者が多く、この先は人口が減るとわかっていても、公営住宅を造らないわけにはいきません。私たちが工夫したのは、なるべく市街地につくって、空き部屋が出ても次の人が入ることができるようにすることでした。しかし、地域で住民が減ることには、逆らえません。難しいところです。

この番組は、大震災から15年が経ったいま、課題を考えるという企画です。次のように書かれています。
「東日本大震災の発生から15年以上が経ち、インフラ整備はほぼ完了したことから、『復興』は新たな段階に入りました。仙台放送では、巨額の復興予算がどのように使われ、15年以上たった今、被災地にどのような課題があるのかをお伝えする、シリーズ企画、『復興検証42兆円のゆくえ』をお伝えします。」
8月31日 グループ補助金
9月1日 防災集団移転事業
9月2日 被災した方々の心のケア

分権、権限移譲を求めず

2026年9月3日   岡本全勝

8月13日の日経新聞に、谷隆徳・編集委員が「変質する地方分権 自治体の仕事どう減らす」を書いておられました。

・・・地方分権といえば、自治体の権限や自由度を高める改革だった。しかし、今では自治体の仕事をどう減らすのかが課題になっている。人口減やデジタル化が背景だ。「変質する」地方分権について考えてみた。
政府の地方分権改革有識者会議(座長・市川晃住友林業会長)が6月3日に開かれ、2026年に自治体から寄せられた385件に上る提案内容が報告された。医療や福祉分野が多く、関係する省庁別でみると総務省が最多で、厚生労働省や国土交通省が続く。
安倍政権時代の13年にこの有識者会議が設置され、14年から始めたのが「提案募集方式」だ。それまでの分権改革は政府が設けた委員会が包括的な改革案をまとめ、政府が段階的に実施した。新方式は自治体から毎年、改善を求める事務事業を募り、内閣府を窓口に各省庁と折衝し、実現可能なものは法改正する。
同会議は提案を求める際に毎年、「重点募集テーマ」を設けており、今回初めて「事務処理方法の見直し」が盛り込まれた。事務そのものをなくし、処理する主体を変える試みで、自治体から240件の提案があった。
「この3年ほど、行政サービスを持続可能にするための要望が増えてきたので今回、重点テーマに据えた」と内閣府地方分権改革推進室の稲原浩室長は話す。国、都道府県、市町村の役割分担について審議している政府の地方制度調査会の動きも背景にある。
具体例をいくつかみてみよう。ひとつは「都道府県経由事務」の廃止だ・・・

・・・提案募集方式が始まった当時は、権限の移譲を求めたり、国が定めた職員の配置基準などの緩和を要望したりする内容がほとんどだった。後者は今も多いが、前者の権限移譲は今回は2件しかなかった。有識者会議の取り組みは、もはや分権改革とは呼びづらい。
ただし、地方分権は目的ではなく、地方自治を強化する手段だ。人口減やデジタル化を踏まえて、形式的な手続きや実情に合わない事務を見直すことは悪い話ではない。

日本の行政システムは同じ業務を国、都道府県、市町村が協力して実施する「融合型」になっている。自治体の提案に基づいて仕事を減らすことはもちろん重要だ。しかし、国の仕事は企画から実施まで国がすべてを担い、自治体の仕事とはっきりと切り分ける「分離型」に変えないと、状況はなかなか改善しないのかもしれない・・・