カテゴリーアーカイブ:地方行政

分権、権限移譲を求めず

2026年9月3日   岡本全勝

8月13日の日経新聞に、谷隆徳・編集委員が「変質する地方分権 自治体の仕事どう減らす」を書いておられました。

・・・地方分権といえば、自治体の権限や自由度を高める改革だった。しかし、今では自治体の仕事をどう減らすのかが課題になっている。人口減やデジタル化が背景だ。「変質する」地方分権について考えてみた。
政府の地方分権改革有識者会議(座長・市川晃住友林業会長)が6月3日に開かれ、2026年に自治体から寄せられた385件に上る提案内容が報告された。医療や福祉分野が多く、関係する省庁別でみると総務省が最多で、厚生労働省や国土交通省が続く。
安倍政権時代の13年にこの有識者会議が設置され、14年から始めたのが「提案募集方式」だ。それまでの分権改革は政府が設けた委員会が包括的な改革案をまとめ、政府が段階的に実施した。新方式は自治体から毎年、改善を求める事務事業を募り、内閣府を窓口に各省庁と折衝し、実現可能なものは法改正する。
同会議は提案を求める際に毎年、「重点募集テーマ」を設けており、今回初めて「事務処理方法の見直し」が盛り込まれた。事務そのものをなくし、処理する主体を変える試みで、自治体から240件の提案があった。
「この3年ほど、行政サービスを持続可能にするための要望が増えてきたので今回、重点テーマに据えた」と内閣府地方分権改革推進室の稲原浩室長は話す。国、都道府県、市町村の役割分担について審議している政府の地方制度調査会の動きも背景にある。
具体例をいくつかみてみよう。ひとつは「都道府県経由事務」の廃止だ・・・

・・・提案募集方式が始まった当時は、権限の移譲を求めたり、国が定めた職員の配置基準などの緩和を要望したりする内容がほとんどだった。後者は今も多いが、前者の権限移譲は今回は2件しかなかった。有識者会議の取り組みは、もはや分権改革とは呼びづらい。
ただし、地方分権は目的ではなく、地方自治を強化する手段だ。人口減やデジタル化を踏まえて、形式的な手続きや実情に合わない事務を見直すことは悪い話ではない。

日本の行政システムは同じ業務を国、都道府県、市町村が協力して実施する「融合型」になっている。自治体の提案に基づいて仕事を減らすことはもちろん重要だ。しかし、国の仕事は企画から実施まで国がすべてを担い、自治体の仕事とはっきりと切り分ける「分離型」に変えないと、状況はなかなか改善しないのかもしれない・・・

経済同友会提言「人口減少時代の地方自治」

2026年8月28日   岡本全勝

8月17日に、経済同友会が「人口減少時代の地方自治 ―単独・自前型から連携・分業型への転換―」を提言しました。

・・・本会では、2024年11月に公表した報告書「地方創生の加速に向けて~近隣地連携・遠隔地連携のさらなる推進を~」において、人口減少下で地域の持続可能性を確保するためには、自治体間連携が必須である旨を指摘しました。その後、引き続き、地域共創委員会を設置し、地方自治体等との意見交換を重ねる中で、自治体間連携の必要性は広く認識されているものの、具体的な連携像の共有や連携を後押しする財政制度、企画・実装を担う人材の不足といった課題を確認しました。

本提言は、こうした課題に対して、自治体間連携を実装段階へと進めるための制度改革を示すものです。人口減少時代の地方自治に求められるのは、各自治体が全ての機能を抱え続けることではなく、住民に必要なサービスを地域全体として安定的かつ効率的に提供することであるとの考の下、「単独・自前型」からサービスごとに最適な主体・規模・手法を選択する「連携・分業型」へと地方自治のあり方を転換することを提言しています。そのための第一歩として、行政サービスごとの連携モデルとコストの可視化、地方交付税制度の改革、自治体間連携や官民連携を企画・実装する半官半民の「公務・公共サービス法人」制度の創設を求めています。また、「連携・分業型」への転換の基盤として、「地域の未来予測」の策定の義務化、人材健全化指標の導入、ローカル・ルールの見直しと業務標準化を進めることを求めています。・・・

経済界が地域の課題について関心を持ってくださるのは、ありがたいことです。できれば、地域の疲弊を招いている東京一極集中、大企業の本社が東京に集中していることにも、取り組んでほしいです。「東京一極集中「学」の勧め

東京一極集中「学」の勧め

2026年7月30日   岡本全勝

これだけ長く指摘されながら、一向に改善されない東京一極集中。ふと考えてみると、専門的に考える役所や大学はあるのでしょうか。政府も国民も、この問題に真摯に取り組んでいるとは思えません。

私は、世界で競合するために、東京がある程度の規模が必要だと考えます。ニューヨーク、ロンドン、パリ、上海などが、競合相手です。しかし、これだけもの規模が必要なのか。なぜ、他の都市は、人口が減るのか。日本の他の地域が人口減少する中で、東京に集中し続けることは、よくないのではないか。通勤地獄も、長距離通勤も、住居費の高騰も、東京一極集中が加速しています。「コメントライナー」への寄稿「少子化対策、産業界の責任」」にも書きましたが、共働き夫婦には、暮らしにくい町です。

何が東京に人や企業を吸い寄せるのか。何をすれば、東京一極集中が止まるのか。それらを、専門的に考えるべきだと思うのです。
一つの観点は、企業の東京集中でしょう。ウィキペディア「首都圏へ本社機能を移転させた主な企業一覧」。かつて「商都」と呼ばれた大阪から、日本を代表する企業が、東京に本社を移しました。大阪府知事と大阪市長の一番の仕事は、大阪・関西経済を復興させることだと思うのですが。
東京一極集中は、政府の政策で進めたものではありません。逆に地方移転を進めているのですが、効果が上がっていません。経済界が、この問題に取り組んでくれないでしょうか。

大阪市と大阪府が取り組まなければならない一番の課題は、大阪の復活、関西経済の復権だと思います。行政改革を進めても、市民と府民は豊かになりません。もう一度、プライドを取り戻してほしいです。阪神タイガース復活ぶりを見習ってほしいものです。

私も奈良の田舎から出てきて、東京に居続けているので、東京一極集中をあまり批判はできないのですが。

街路樹や公園の木の保存

2026年7月17日   岡本全勝

朝日新聞夕刊「現場へ」、今週は「緑の日傘」で、街路樹や公園の木の保存を取り上げていました。14日は「「インフラのため」で伐採」でした。
・・・今日、公共空間の樹木がわけもなく切られているわけではない。例えばインフラ整備のため。だが木が持つ存在価値を考えれば、看過できないという人々も少なくない。
東京都杉並区内を蛇行する善福寺川沿いの緑地は、散歩道や広場がある都の公園。広場の一つ、通称ロケット公園は、閉鎖される運命にある。都が地下に洪水防止の巨大調節池を造る計画で、シールドマシンを入れる直径30メートルの立て坑を掘るためだ。
都によると、工事で影響を受ける緑地の樹木は約100本に上り、42本を伐採、49本は移植するという。計画に反対する「善福寺川流域の自然と暮らしを守る会」の丸山ゑみさん(80)は「根っこが水を蓄える力など人間を守ってきた自然を犠牲にして、コンクリートの人工物を莫大な税金で造るとは」と批判する・・・

このロケット公園は、孫と毎週のように遊びに行く場所です。ロケット公園の名前は、滑り台のついた遊具がロケットの形をしているからです。階段ではなく、壁などを登らなければならず、子どもにとっては面白いのです。小さい子は登れません。
記事には、プラタナス写真がついています。滑り台の近くにあります。大きな木で、鈴掛の木といわれるだけあって、まあるい実をたくさんつけて、落とします。これがまた、子どもたちの遊び道具になります。滑り台の上から、転がすのです。

先日行ったら、工事の予告が出ていました。大雨の時は川があふれる恐れがあり、サイレンも鳴ります。工事は仕方ないのですが、残念です。あの大きなプラタナスを、移植できるのですかね。大工事になりそうです。

渋谷区 ポイ捨てに過料 1か月で324件

2026年7月4日   岡本全勝

NHKウェッブが「東京 渋谷区 ポイ捨てに過料 開始から1か月で324件」を伝えていました(7月3日)。

・・・ごみをポイ捨てした人に対し、先月から罰則として2000円の過料を科している東京・渋谷区は、開始から1か月で過料を科した件数が324件だったことを明らかにしました。

渋谷区は、渋谷駅や原宿駅周辺の繁華街を中心に路上などでごみが増えていることを受け、先月1日から、ごみをポイ捨てした人に対し罰則として2000円の過料を科しています。区の職員などおよそ50人が24時間体制で巡回していて、区によりますと、過料を科した件数は、先月30日までの1か月間で324件だったということです。
場所は渋谷センター街や道玄坂の周辺が多く、年代別では20代や30代が半数以上だったということで、過料が科された人のほとんどはその場で支払いに応じたとしています。また、ポイ捨てされたごみで最も多かったのはたばこの吸い殻で、そのほかペットボトルや空き缶などがあったということです・・・

過料を定める条例はありますが、それを実行しないと、効果は限られるでしょう。特に一般の人に制限をかける場合は、取り締まりと徴収を行わないと無視されます。「条例に定めてあっても、違反しても大丈夫」だと。それはまた、ほかの禁止規定と罰則に悪い影響を与えます。