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連載「公共を創る」第250回
連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第250回「政府の役割の再定義ー気付きにくい経済と社会の実体的な変化」が発行されました。日本社会が、昭和の働き方から「男女共同参画で仕事も私生活も両立させる暮らし」への転換途中にあることを説明しています。
アジアやアフリカの発展途上国政府幹部に、日本の行政と社会の発展を講義する機会がたびたびあります。当初は、国と地方の行政制度と政策、経済発展と政府の役割を話していたのですが、彼ら彼女らと議論するうちに、日本が成功した要因は行政の有能さだけでなく、それが可能となった社会があったからだと気が付きました。
これまで政府は、モノやサービスの提供に力を入れてきました。しかし現在の大きな課題は、経済停滞と社会の不安です。地域の活力低下と少子化がその象徴です。政府の役割と政策を根本的に変える必要があることは、まだ多くの国民に理解されていません。官僚たちも同様です。モノや制度をつくることに慣れていて、意識や仕組みを変えることを、政府の役割とは理解できていないのです。
ところが、この変化は一部で現実のものとして進みつつあります。男女共同参画、子育て、働き方に関する社会の意識と仕組みは、この30年間に大きく変わりました。
第36回と第37回で「この国のかたち」を変えるためには、国民の意識と生活を変える必要があること、そしてその対象として三つを指摘しました。「国民の政治参加と社会参加」「働き方」「多様性と変化への覚悟」です。また、第149回と第150回で、戦後の日本政治と学問を規定した対立軸が過去のものとなったこと、しかし社会と政治の新しい対立軸の設定に失敗していることを指摘しました。そこで私は、現在の対立軸として、「非正規格差」、昭和後期には適合していましたが現在は足かせになっている社会の慣行についての「保守と革新」、排斥か包摂かという「多様性への対応」の三つを挙げました。これらについての認識と改革が必要なのです。
省庁改革では「この国のかたち」の転換に取り組みました。しかしその省庁改革から四半世紀もたつのに、そしてバブル経済崩壊から35年も経つのに、経済や社会の行き詰まりを解決しようという課題への取り組みは好転しないのか。それは、その後の議論が間違っていたからです。
ところで、「第4章 政府の役割再考」が100回になりました。執筆に着手する前に、大まかな構成を考えたのですが。書いていくうちに、どんどん広がりました。特に「3政府の役割の再定義」(第151回~)が、予想以上に膨らみました。こんなに多くなるなら、章を分割すべきでした。でも、もう少しで完結します。