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経済停滞・高齢化と終身雇用の変貌
かつての日本の雇用慣行は、「年功賃金、終身雇用、企業別組合」と言われていましたが、私は、「新卒一括採用、人事課による配属決定、年功人事管理、終身雇用」が特徴だったと考えています。日本の雇用慣行は、いわゆるジョブ型雇用に対するメンバーシップ型雇用です。もっとも、日本だけだそうですが。
近年、それが代わりつつあります。
早期転職と中途採用の増加は、新卒一括採用をくずし、終身雇用も揺るがしています。
人事課による配属決定は、従業員の不満を招いています。年功人事管理は、実はかつても能力と業績によって差をつけていたのですが、なるべくそれを目立たさないようにしていました。しかし、良くできる社員から管理職を選抜する方法では、真の管理職を養成しないことになり、問題を生じています。「みんな仲良く働きましょう」の班長には向いているのですが、何かを切り捨てる厳しい判断はできないのです。
そして、終身雇用も、不況期にリストラという名の首切りが行われ、崩れてしまいました。そして非正規労働者の増加は、新卒一括採用・終身雇用を一部の人に限定してしまいました。
それに生き残った従業員には、年功人事管理と終身雇用はまだ適用されているようですが、以前とは形が異なっています。
かつては、競争に勝ち残った人が幹部になり、なれなかった人は関係企業や団体に引き取ってもらい、そこでそれなりの処遇を受けました。また、企業が成長している時代は、内部での組織の拡大と関係企業などの増加が、それを引き受けました。しかし成長が止まり、さらに縮小する時代になると、引き受けてもらえなくなりました。
そして、雇用の65歳までの延長は、年長者のみんなを同じような処遇にできなくなりました。「なるべく平等に」が成り立たなくなったのです。また、「経験を積むほど技能が上がり、職位を上げて、報酬も上げるという」年功人事も、できなくなりました。
「年功賃金、終身雇用、企業別組合」と「新卒一括採用、人事課による配属決定、年功人事管理、終身雇用」は、経済成長期に形成されたのですが、その時期にのみ成り立った慣行でしょう。経済成長が止まり、年長者も抱えるには、年功の処遇はできません。組織も生き残りをかけて厳しい競争に生き残るために、管理職や幹部を意識的に養成する必要が出てきました。ここでも、年功処遇は難しくなります。
こうしてみると、かつての企業や役所の職場は「疑似ムラ」であったことがよくわかります。生活共同体です。それは良い働きをしたのですが、企業が経営を維持できなくなると、企業が機能的組織であることが顕現するのです。
それはまた、共同体に面倒を見てもらえる反面、同調を強いられ、共同体を抜けることも難しかった「集団主義」から、個人の才覚で職を代えることができる、しかしそれは自己責任である「個人主義」への転換でもあります。