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連載「公共を創る」第268回
連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第268回「これまでの議論ー人間らしい生き方とは」が発行されました。
前回から、第1次安倍晋三内閣で取り組まれた、再チャレンジ政策について説明しています。私が、格差や社会生活問題など「人間らしい生き方への被害」に関心を持ったのは、これに従事したことからだったのです。古典的なリスクとは違った対応が必要でした。しかし、行政はそれを全体として把握していませんでした。
再チャレンジ政策に取り組んでいると、弱者や困っている生活者を生んでいる原因として、日本社会の特性も見えてきました。どこにも明文はないのですが、国民の多くが信じている(あるいは信じていた)「通念」です。
一つ目の問題は、日本社会は「単線型社会」であり、標準型に乗らないと負け組になると考えられていたことです。日本社会の問題の二つ目は、「外部に冷たいムラ社会」ということです。 三つ目は、「仕事優先社会」「会社優先社」だということです。
再チャレンジ政策に取り組んだころは、その背景にある単線型社会、外部に冷たいムラ社会、会社優先社会という「この国のかたち」を変えることは、とてもできることとは思えませんでした。ところが私の予想に反し、この20年間に社会は大きく変わりました。
一つ目の単線型社会については、転職が増え、中途採用も普通になりました。 二つ目の外部に冷たいムラ社会については、疑似ムラであった会社が、従業員の家族を含めて面倒を見ることができなくなりました。三つ目の仕事・会社優先社会も、急激に変化しました。それを崩したのは男女共同参画の進展だと、私は考えています。
男女共同参画も働き方改革も、政府が方向性を示し、法律をつくったりして誘導しました。それは国民の意識改革を後押しする効果がありましたが、何といってもその原動力になったのは、女性の社会進出です。働く女性が増え、男社会の昭和の職場が変化せざるを得なくなったのです。
憲法には男女同権が定められましたが、半世紀の間、実態は変わらず、この20年間に急速に進みました。これは驚異的なことです。
「夫は会社、妻は家庭」という「この国のかたち」を崩したのは、政治の力や指導者層というよりは、国民、特に女性の行動であったように見えます。社会の指導者層は単線型社会での勝者であり、ムラ社会を取り仕切る側であり、仕事優先社会の代表であり、何より男性でした。そのように見ると、これは「男性支配」「男社会」を崩した「革命」なのです。