経済同友会、人を育てる支援

経済同友会の会報「経済同友」3月号が、「東北未来創造イニシアティブの5年間」を特集しています。詳しくは、原文をご覧いただくとして。この企画は、被災地での人材育成を、経済界が応援してくださるものです。企業から派遣されて活躍された方々、受け入れた自治体、塾で養成された人たちの話が、詳しく紹介されています。
お金や物資以外の支援、これが今回の東日本大震災で目立った、企業の支援です。人材派遣、ノウハウの提供など、各企業の特性を生かした支援です。私は、企業の社会責任・社会貢献に、新しい地平を開いたと考えています。
今回の取り組みを良い事例として、今後、様々な分野でこのような企業と地域との連携ができると良いですね。しかし、お金やモノの支援と違い、いろいろと難しい課題があります。また、受け入れる自治体側の意欲、両者をつなぐ役割が必要です。
このような支援をしてくださった同友会と企業の皆さんに、お礼を申し上げます。ありがとうございました。

危機対応、マニュアルを作っても。

3月27日の日経新聞の法務欄は、「DeNA問題、法令順守迫る」でした。いわゆる「まとめサイト」が、出典不明や根拠のない記事、著作権侵害の記事のコピーを載せていた問題です。詳しくは本文を読んでいただくとして。ここでは、問題が起きた際の対処について、上沼紫野弁護士の発言から。
・・・DeNAがトラブルを広げてしまったのは、問題を初期段階で見つけ、対処する体制が整っていなかったためだ。第三者委員会の報告書を読むと、部門間、現場と管理者などの間で意思疎通ができていなかったことが分かる。マニュアルを作っても、内容が適切か、正しく運用されているかをチェックする体制ができていなかった。
法的責任を避けることだけを重視してモラルが低下したことが、確認の甘さにつながり、著作権法や医療関係の法律に触れる事態を招いた。企業が挑戦することは悪いとはいえないが、行為の結果を背負うのは企業自身だ。挑戦はリスク管理と両輪で行わなければならない・・・

憲法改正論議

3月23日の朝日新聞オピニオン欄「改憲議論とアメリカ」、阿川尚之さんの発言(3月28日の記事)の続きです。
・・・私も改憲論者ですが、大幅な改正、新憲法の制定は、約70年間、最高法規として機能してきた憲法の正統性を傷つける可能性があります。米国の憲法史から学べることの一つは、条文ごとに修正の是非を議論し、実質的改憲についても議論を重ね、大方の国民が納得する憲法の改変を一つ一つ慎重に実現しながら、憲法全体の正統性を保ってきたことでしょう。
保守派が憲法の根本的見直しを主張する一方で、リベラルの側が一切改正すべきでないと主張しているのは皮肉です。9条をめぐる議論をはじめ、私にはいずれも「鎖国状態」、国内だけで通じる「一国立憲主義」に思えます。
米国憲法制定の際には、独立した13の旧植民地の安全保障が強く意識されていました。日本でも、現行憲法はもちろん明治憲法、さらに古くは律令制度を採用したのも、当時の国際環境に対応し国家の安全を保障する必要があったからだと思います。憲法を考えるには、安全保障や国際関係からの視点が欠かせません・・・

経済成長の軌跡

この表は古く、別に新しい図表があります(2021年9月24日)。

(日本の経済成長と税収)
戦後日本の社会・政治・行政を規定した要素の一つが、経済成長であり、その上がりである税収です。この表は、拙著「新地方自治入門-行政の現在と未来」p125に載せたものを更新したものです。
次の4期に分けてあります。すなわち、「高度経済成長期」「安定成長期」「バブル崩壊後(失われた20年)」、そして「復活を遂げつつある現在」です。
1955(昭和30)年は、戦後復興が終わり、高度経済成長が始まった年。1973(昭和48)年は、第1次石油危機がおき、高度成長が終わった年。1991(平成3)年は、バブルがはじけた年です。第2期は「安定成長期」と名付けましたが、この間には石油危機による成長低下とバブル期が含まれています。2012年が区切りになるかどうか。それは、しばらく見てみないと分かりません。ひとまずの仮置きです。


高度経済成長が、いかにすごかったかがわかります。年率15%の成長は、3年で1.5倍、5年で2倍以上になるという早さです。池田総理が「所得倍増論」を唱えました。それは「10年で所得を倍にする」というものでした。名目値では、5年で倍になりました(もちろん物価上昇があったので実質価値では違います)。

税収も同じように伸びていますが、実はこの間に毎年のように減税をしました。累進課税なので、減税をしなければ、もっと激しく伸びたと予想されます。石油ショック後も結構な成長を続けたこと。バブル後はそれが止まったことも。
そして、参考(65歳以上人口)に示したように、高度経済成長期は日本が「若く」、社会保障支出も少なくてすみました。当時ヨーロッパ各国は、すでに10%を超えていました。現在ではヨーロッパ各国を追い抜いて、世界一の高齢国になっています。人口の増加率も、もう一つの要因でしょう。2004年をピークに減少し始めました。
なお、より細かい景気循環については、次のページを参照してください。
内閣府の景気基準日付 http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/150724hiduke.html
日本の30年 http://www.geocities.jp/sundayvoyager/index.html

(GDPの軌跡と諸外国比較)
次は、日本、アメリカ、韓国、中国の4か国のGDPの軌跡です。「新地方自治入門」p6の図表「日本の国民一人当たりGDPの軌跡と諸外国の比較」を更新したものです。この図は、縦軸が対数目盛になっています。一つ上は2倍でなく10倍です。等間隔目盛にすると、とんでもない急カーブになります(縦に100枚つないだ状態を想像してください)。
これを見ると、かつてなぜ日本が一人勝ちできたのか、そして近年そうでなくなったかが、わかります。上に掲げた、日本の経済成長の数字だけでは見えないものが見えてきます。2018年12月23日に図を更新しました。今回も、小黒桂君の助けを借りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これらの図表は、昔から使っていたものです。なかなかの優れものです。日本の社会と行政を規定する経済要因を、2つの図表で示すことができます。

今回は、小黒桂君の助けを得ました。旧サイトの「戦後日本の経済成長と税収」のページ(引っ越しの際にリンクがうまく移行できなかったらしく、新しいサイトでは、一部の図表が出てきません。よって、ページを作り直しました)。

祝、図表の貼り付け

今日、このホームページに、図表を貼り付けることに成功しました。「経済成長の軌跡」のページです。写真の貼り付けはできるようになったのですが、図表はどうしてよいかわからず。
社長に聞いて、やり方が分かりました。エクセルを貼り付けることはあきらめ、画像(jpeg)にして、貼り付けました。とはいえ、適当な大きさにするには、何度も試行錯誤を重ねました。表の作成も、画像化も、小黒桂君に頼みました。大学の授業で使うために、必要だったのです。