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山梨県市町村職員研修

今日7月19日は、山梨県市町村職員研修会の講師に、甲府市まで行ってきました。主題は、働き方改革です。
100人を超える方が、熱心に聞いてくださいました。管理職が中心でしたが、市長さんも。
なぜ今、働き方改革が必要かをお話ししました。改革には、仕事の量を減らす方向と、仕事の仕方を変えて能率を上げる方向があります。

機械化や民間委託が進みました。最近ではAIに期待する人がいますが、私の経験では、パソコンやコピー機が入って、仕事は減るどころか増えました。企業は商売ですから、新しい機械やパソコンのソフトウェアを売ろうとします。でも、多くの場合、それが仕事の効率化につながらないのです。

そもそも、これだけ機械化が進んで、それでも欧米先進諸国に比べて、日本の生産性は低いのです。何がその原因か。
日本の社員も公務員も、優秀です。そして、まじめです。ところが、生産性は低いのです。それを直視しないと、機械化などの願望では、事態は好転しません。夢のない話ですが、それが現実です。

企業の採用面接に見る「日本型雇用」その2

企業の採用面接に見る「日本型雇用」」の続きです。

・・・まず、面接で学生に何を聞いているのか。「学習(研究)」「サークル・体育会」「アルバイト」「旅行や読書などの趣味」「その他」の選択肢から、それぞれにかけている時間の合計が10になるよう配分してもらった。顕著な差がみられたのが「学習(研究)」である。
事務系総合職の面接経験者のうち、日系非グローバル企業勤務者は10のうちの3.47を、日系グローバル企業は3.53、外資系企業は4.65を「学習(研究)」に充てている。
技術系総合職の場合、日本企業は非グローバル4.15、グローバル4.38と割合はやや高まるが、外資系5.08には及ばない。面接時間の約半分を学習の質問に割く外資系企業と、サークル活動、アルバイト、趣味などの学生生活を総合的に把握する日本企業という明瞭な差異がある。

これには、多様な仕事をローテーションする日本企業、特定の知識・スキルを求めるジョブで構成されている外資系という構造の違いがあろう。
自社に大学での専門との関連が明瞭な事務系総合職のポストが「ある」企業は、日系非グローバル26.0%、日系グローバル44.0%、外資系56.5%だった。技術系総合職ではやや増え、日系非グローバル43.9%、日系グローバル65.9%、外資系78.0%である・・・

日本の企業文化とともに、レジャーランドと化した大学についても、考えさせられます。採用面接の際に、会社は「大学でどのような学問をしたか」ではなく、「学生時代に一番力を入れたことは何ですか」と問うのだそうです。
先日、ある大企業の方に教えてもらいました。新入社員に聞いた結果です。「学生時代にもっとも力を入れていたことは何ですか?」との問に。部活動やサークル活動が約5割、アルバイトが約3割、学業は1割です。日本の大学がどのような場所かが、よくわかります。恥ずかしいことですが。
学問に励まない学生、卒業生という「製品」に品質保証をしない大学、大学に学問を求めない企業。三者のなれ合い構造です。そしてそれを当然と思っている国民も、同罪です。

企業の採用面接に見る「日本型雇用」

7月15日の日経新聞教育欄、吉田文・早稲田大学教授の「日系企業の採用「空気読む人材」優先続く」が、興味深かったです。日本の企業(国内型)が、学生に学校で得た知識や学問でなく、空気を読むことを期待していることが分かります。

・・・近年の大学教育改革の喫緊の課題は「学修成果の可視化」、すなわち、学生がどのような能力を獲得したのかをエビデンスで示すことである。ここには、新たなタイプの人材を求める産業界からの要請があるという。確かに、グローバル人材、イノベーション人材という言葉はすっかり人口に膾炙した。
しかし、企業はそうした学生を求めているのか。新卒総合職の採用面接経験がある企業人を対象に行った調査(2014年10月実施、調査会社のモニターから過去5年間の経験者を抽出し、ウェブで調査。有効回答2470人)から検討する。
日本企業の特性を浮かび上がらせるため、回答者の勤務先を日本企業と外資系企業に分け、日本企業も事業をグローバル展開している企業と、そうでない企業に区分し、日系非グローバル企業、日系グローバル企業、外資系企業の3つのタイプ別に比較する・・・

・・・だが、それだけではない。そもそも企業が求める人材が異なっているとも考えられるからだ。その一例を表に示す。日本企業の採用担当者は事業のグローバル展開の有無にかかわらず、事務系総合職には「空気を読んで、円満な人間関係を築くことのできる人材」の方が、「論理的に相手を説得できる人材」よりも望ましいと考えている。
外資系は70%が「論理的に相手を説得できる人材」が望ましいとするのと対照的である。技術系も事務系ほどではないものの同様の傾向がある。面接で学習だけでなく、サークル、アルバイト、趣味などを聞くことで、空気を読める者を選ぼうとしているのだろう。
ところで、空気を読むという、暗黙裡に状況を推察しての行動が重要だとするのは、それを可能とする同質的な空間があるからではないだろうか。「男子、学部卒、日本人」から構成された環境である。
そこで、その対極にある「女子、大学院生、外国人留学生」に抱いているイメージを見よう。自社で「採用したい者が多くいると思う」か否かを聞くと、全カテゴリーにおいて、見事なほどに日系非グローバル企業、日系グローバル企業、外資系企業の順で「多くいる」比率が高くなる・・・
この項続く。

『明るい公務員講座 管理職のオキテ』重版

明るい公務員講座 管理職のオキテ』が、重版になりました。4月に出版して、3か月です。
いくつかの自治体では、管理職研修にまとめて買っていただいています。「職員に読ませているよ」と、報告くださる首長さんもおられます。数百冊買ってもらった自治体もあります。ありがとうございます。

類書がないことが、売れている理由だと思います。書いた内容は、経験者なら知っていることばかりです。しかし、それを「教科書」の形で整理したものがないのです。
また、一般的な管理職論はたくさん本屋に並んでいるのですが、抽象的です。本書は、私の経験その多くは失敗ですが、それを基に具体例を書いているので、わかりやすく身につくと思います。

自信が持てない教師

7月7日の朝日新聞教育面に「自信が持てない日本の教員 OECD、48カ国・地域を調査」が載っていました。
・・・経済協力開発機構(OECD)が5年に1回実施している、国際教員指導環境調査(TALIS)の結果が公表された。日本の教員が、どのような指導や自己評価をしているのか。学校を取り巻く状況は、他の国と比べてどうなのか。調査結果から浮かぶ傾向を、2回にわたって報告する・・・

・・・調査結果で際立つのは、日本の教員の自己評価の低さだ。例えば、「生徒に勉強ができると自信を持たせる」という質問に対し、「非常に良くできている」または「かなりできている」と答えた中学教員は24・1%。調査に参加した48カ国・地域の平均の86・3%の3分の1未満だった。
似たような質問で、「批判的思考を促す」は24・5%(参加国・地域平均82・2%)、「学習の価値を見いだせるように手助けする」は33・9%(同82・8%)で、いずれも参加国・地域で最低の数値だった。「デジタル技術を利用した学習支援」も35・0%(同66・7%)にとどまった・・・

世界の趨勢との違いに、驚きます。このような状況で、良い教育ができるとは思えません。日本の教員が謙虚だということもあるのでしょうが、これだけもの差がつくのですかね。
他方で、多くの小中学生が学習塾に行くことも、異様です。有名校を受験させるという目的もあるのでしょうが、学校教育では不十分なので塾に行かせている親も多いのでしょう。高校生になると、塾に行くのが当たり前のようになっています。学校教育が不十分なのでしょう。おかしな話です。

次のような指摘もあります。
・・・調査は、日本の教員が授業以外の業務で忙しい状況も明らかにした。中学教員の1週間の仕事時間は56・0時間で、平均の38・3時間を大きく上回った一方、授業時間は18・0時間で、平均の20・3時間より短かった。その分、部活などの課外指導(7・5時間)と事務業務(5・6時間)はいずれも参加国・地域で最長。知識や専門性を高めるための「職能開発」に費やした時間は0・6時間で、最も短かった・・・

かつては、世界一の水準にあるともいわれた日本の初等教育。何かおかしいですね。そして、長く指摘されていながら変わらないということも、おかしいです。
明治以来の画一的教育に成功したが故に、方向転換に失敗しているのだと思います。文部科学省の教育行政の仕組み、教育大学・教育学部の教員養成の仕組みです。