カテゴリーアーカイブ:社会の見方

減少するお寺と神社

2026年8月31日   岡本全勝

8月10日の日経新聞に「もう神様や仏様に祈れない 宗教法人、2040年に3分の1が消滅危機」が載っていました。

・・・神様や仏様に祈りたくても近くに神社やお寺がない。人口の減少や都市への移動で地方の檀家や氏子が減り、維持費を賄えない寺社が増えている。2040年には全国の宗教法人の約3分の1が存続の危機に陥るとの試算もある。

困窮している宗教法人は全国でも珍しくない。文化庁の調べによると、4割を超える寺で年間の収入が300万円未満だ。地方の寺社を中心に檀家や氏子が減り、葬儀や法要は簡素になり収益は細る。
国学院大学の石井研士名誉教授は15年の調査で、40年には宗教法人の3分の1超が消滅の危機にひんすると推計した。14年に日本創成会議が「消滅可能性都市」とした自治体と宗教法人名簿を照合し、該当する自治体に所在する宗教法人を集計した。全国に約18万ある宗教法人が11万4000法人を下回る計算だ。

新型コロナウイルス禍を機にお盆の墓参りなどの習慣が途絶えた家庭も多い。石井氏は「宗教離れが加速して、寺社が存続の危機を迎えるペースは当時の試算よりも速まっている可能性が高い」と警鐘を鳴らす・・・

桜井義秀・北海道大学特任教授の発言
・・・宮司や住職の担い手不足も深刻だ。北海道の過疎地ではなり手が足りず、1人で50〜60社を兼務する宮司も珍しくない。全国には約18万の宗教法人があるが、現状の数を維持し続けようという考えは非現実的だ・・・

SNS子どもの利用時間制限、アメリカの裁判

2026年8月29日   岡本全勝

8月28日の朝日新聞が「米メタ、子のSNS2時間まで アメリカの訴訟、2.8兆円で和解」を伝えていました。実施されれば画期的ですが、年齢確認の方法をどうするかといった問題があり、他社も同様の措置をとることを条件にしているので、先行きは不透明でしょう。

・・・子どもの依存対策を怠ったとして提訴されていた米国のSNS大手メタ(旧フェイスブック)は26日、和解金として10年間で最大180億ドル(約2兆8600億円)を支払うことで48州と和解した。18歳未満の子どもがインスタグラムを使える時間を1日2時間に制限する措置も設ける。悪影響への懸念が強まるSNS業界全体の転換点となる可能性がある。

テック企業による和解金としては、過去最高額とみられる。ただ、メタは敗訴した場合、制裁金が2千億ドル(約32兆円)規模に上る可能性もあり、経営上の大きなリスクとなっていた。
原告の48州は、メタが自社製品の中毒性を知りながらも利用者拡大を優先し、子どもたちに依存症や精神的な害を及ぼしたとして提訴した。
和解に基づき、メタは米国内で、インスタグラムやフェイスブックに1日合計2時間の利用制限を設けるほか、深夜0時から午前6時までは利用を禁止する。年齢確認をより厳しくすることなどでも合意した・・・

・・・SNSはたばこと同様に中毒性があり、子どもに睡眠障害やうつ病、摂食障害などを引き起こしている――。今回の裁判は、「欠陥的な設計」を作り、そうした事態を誘発した企業の責任や是正策が問われていた。
メタは和解案で、18歳未満の利用者を対象に、1日2時間の利用や深夜の利用を制限する措置などに踏み切った。
「子どもや親に求められていた責任が、企業やその設計に移った。非常に画期的だ」と、カリフォルニア大学サンフランシスコ校小児科のジェイソン・ナガタ准教授は話す。「他の国々や他のSNSも含めて適用していくべきだ」とも言う。

子どもへの健康被害を知りながら放置していたとされるメタに不利な証拠が裁判で明らかになりつつあった。
サンタクララ大ロースクールのエリック・ゴールドマン教授(サイバー法)は、「和解金は、メタの企業規模からすれば経営に影響を与えるような金額ではない」と話す。メタは和解に合意したものの不正行為と子どもの被害への責任を認めてはいない。ゴールドマン氏は「メタが責任を認めないのは、他にも訴訟を抱えているから。ここで認めれば、防御が難しく、あるいは不可能になる」と話す。
メタは和解金の一部の支払いについて、ティックトックやユーチューブが同様の安全措置を導入することを条件とした。
自社だけが厳しい規制を受ければ、若者が競合サービスに流れるリスクがあるからだ。国や州政府が競合にも同水準の対策を求め、業界全体に共通のルールが広がるか、今後注目される・・・

コンビニの存在

2026年8月27日   岡本全勝

8月9日の朝日新聞「コンビニと:1」「人々の暮らし 社会のニーズ映す鏡、変幻自在」から。
・・・米国を起源とするコンビニエンスストアが日本で誕生してから半世紀余り。全国に約5万6千店を数える現在、その機能は物販にとどまらない。コンビニとはいかなる存在か。建築、ファッションなどの視点から、全5回で考える。

コンビニジャーナリストとして長く業界を見つめてきた吉岡秀子さんは「コンビニは日本社会を映す鏡」だと語る。
セブン―イレブンを率いた鈴木氏は、顧客目線や変化対応を提唱した。吉岡さんによると、「小さな商店主の集まりであるコンビニでは、地域や時代ごとの細かなニーズが、商品ラインアップや機能の拡充といった形で反映されてきた」。

経済成長下の1970~80年代、黎明期のコンビニが提供したのは「時間」という価値だった。長時間労働が広がる中、深夜まで営業するコンビニは働く人に重宝され、社会に定着していく。
バブル崩壊後は、各社は「質」の追求にかじを切る。セブン&アイのプライベートブランド「セブンプレミアム」のように、価格を抑えながらも高品質な商品が人気を集める一方、店舗はATMやコピー機、宅配の窓口など生活を便利にするサービスを次々に実装。2000年代以降、自治体と包括連携協定を結ぶ動きも広がり、社会インフラ化した。
11年の東日本大震災ではライフラインとしての機能に注目が集まり、近年は、こども食堂の支援や過疎地への出店といった地域社会の課題をビジネスチャンスと捉える動きが加速している。

公的な性格を強める背景には、ドラッグストアやホームセンターといった競合との競争激化もある。ただ吉岡さんは、その社会的責任の範囲を考え直す段階に来ているのではないかと指摘する。
「大型スーパーとの差別化を目指して登場したコンビニは、今や縮小する街や行政の機能の多くを肩代わりし、人々の『居場所』にもなる存在へと変化した。ただし過剰な期待はオーナーや従業員ら現場の負担にもなりかねない。何をどこまで任せるべきか、改めて考える必要がある」

ではこの半世紀、コンビニの「便利さ」は、人々の生活感覚にどんな変化をもたらしたのか。
不便益システム研究所代表で、京都先端科学大学の川上浩司教授(システム工学)は、「食の外部化」が与えた影響を次のように説明する。
「かつてコンビニ弁当やおにぎりは、あくまで自炊を補う手段として存在した。だが今は選択肢が反転し、出来合いの弁当や総菜がデフォルト(規定値)という人も少なくない」
最近、学生が初めて自炊した時の感動を語るのを聞いて驚いたという。
「コンビニ弁当が当たり前だったから、自炊の価値に気づく機会も与えられなかった、と。便利さがデフォルト化すると、手間のかかる他の手段や価値は不可視化されていく。コンビニがなかったらと想像することすら難しい時代を、私たちは生きているのかもしれません」・・・

都心のカラス、25年で8割減

2026年8月26日   岡本全勝

8月8日の日経新聞に「都心のカラス、25年で8割減 野鳥の生態系にも変化」が載っていました。
・・・かつて社会問題化するほどいた東京都心部のカラスがこの25年で8割以上減り、スズメの存在感が増している。全国では急減している野鳥も少なくなく、生態系が変わってきた・・・

民間の研究会が都心3か所で実施した調査では、カラスの数は一番多かった2000年に比べ、2025年では84%減ったとのこと。東京都による40か所での定点調査でも8割減です。理由は、生ゴミの管理が徹底され、食べ物が減ったことだそうです。

確かに、我が家の周りでも、減ったと思います。しかし、まだ残党がいて、電柱の上で鳴いています。餌になる生ゴミがあるということですね。

不機嫌ハラスメント

2026年8月25日   岡本全勝

8月8日の朝日新聞オピニオン欄は「もしかして不機嫌?」でした。
・・・度を過ぎれば、ハラスメントにもなる不機嫌。当たり散らすのはもちろん、だんまりを決め込まれても周囲は閉口します。職場や家庭、学校に不機嫌な人はいますか。あなた自身は?・・・

津野香奈美・神奈川県立保健福祉大学大学院教授の発言から。
・・・「フキハラ」と略される「不機嫌ハラスメント」は、不機嫌な態度をとることで相手に不快な思いをさせたり、過剰に気を使わせたりすることを指します。相手に精神的苦痛を与えるモラルハラスメントの一種で、パワハラ未満の「インシビリティ=無礼な態度」に含まれます。無視する、にらみつける、嫌そうな顔をすることは代表的な行動とされています。

 回数や頻度などによって深刻度は様々です。日本のハラスメントに関する法律は、職場で起こることを想定しています。パワハラの3要件(〈1〉優越的な関係を背景とした言動で〈2〉必要かつ相当な範囲を超えたものにより〈3〉就業環境が害されるもの)を全て満たすのであれば、法的にハラスメントと認定されます。たとえば、力のある人が特定の相手を数カ月無視し続けて、業務遂行に著しい支障がおきた、などです。
2020年に改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)が施行され、22年には中小企業にも対策が義務づけられました。あからさまなパワハラは減り、フキハラ関連の相談件数が増えています。ただ企業はパワハラ認定できないからと放置すると、当事者のネガティブな言動は止まりません。それでは職場の生産性が落ちるので、積極的に注意することが必要です。

フキハラは日本独自の言葉で、5年ほど前から話題になっています。名前が付くことは重要です。困っているのは自分だけではないのだと問題が可視化され、悪気なくやっている側も気づくきっかけとなります。
ただ、不機嫌そう、怖そうというのは、その人の顔つきにも関係するので問題視するのは注意が必要です。あくまで注意すべきは舌打ちやため息といった能動的な行動です。

家庭内のフキハラは、職場のものとは仕組みも法律も異なります。不機嫌なだけでDVと認められる可能性は低く、基本的には家族間のコミュニケーションで解決するものという考えが主流です。それでも、安心できる場として家庭が機能しないのは本末転倒です。相手に愚痴を言ってもいいけれど、不機嫌をぶつけるのは避けるべきです・・・