8月16日の読売新聞に、大塚隆一・編集委員が「データセンター 重工業化加速」を書いておられました。
・・・人工知能(AI)向けの大規模データセンターが次々と建てられている。産業史上で屈指の巨額投資も相次ぐ。AIデータセンターとはどんな施設なのか。なぜ大量の電気と水が必要なのか。建設ラッシュの先には何があるのか。インフラ(社会・産業基盤)の歴史も踏まえて考えてみた。
数千のラックが並び、その棚には計数十万個もの画像処理半導体(GPU)が収まる。GPUは猛烈な計算で二つの仕事をする。
一つは大量のデータからAIモデルを作る「学習」。もう一つはチャットGPTのような完成したモデルを使い、利用者の質問への回答を生成する「推論」だ。その際にGPUは大量の電気を使い、大量の熱を出す。
米エヌビディアの最新GPUである「B300」の場合、本体は手のひらに収まるほど小さいのに電気ストーブ以上の電力を消費する。この電気エネルギーはほとんどが熱として放出される。
GPU72個が入るラックはどれほど熱くなるのか。ラック内部は衣料品店の試着室を縦に二つに割ったほどの広さ。図の右側の計算が示す通り、その空間に電気ストーブ100台分の熱が発生する。
そのうえ発熱はわずか数平方センチほどのGPUに集中する。エアコンのような「空冷」ではGPUは焼き切れかねない。だから大量の水でがんがん冷やす。この冷却にも大量の電気が使われる。
現時点で最大規模のAIデータセンターは米スペースXがテネシー州に建設した「コロッサス2」だ。最大消費電力はGPUなどのIT関連機器だけで約1ギガ・ワット。これは原発1基分の電力に相当する。
1施設当たりでこれほどの電力を使う産業はほとんどない。「電気の缶詰」とされるアルミニウムの精錬工場に迫る水準だ。
ここまで来ると重厚長大産業や重工業と肩を並べるレベルだ。もはや単なるネット企業ではない。
重厚長大産業は文字通り、鉄鋼や造船など重くて大きいものを作る。一方、IT業界が扱うデータは重さも大きさもゼロだ。個々の計算などに要する電気は微々たるものだが、処理量の激増で電力消費は無視できなくなってきた・・・