カテゴリーアーカイブ:社会の見方

人工知能を使って気軽に文学賞に応募

2026年9月5日   岡本全勝

8月17日の日経新聞に「AI小説が文学賞に殺到 増える選考コスト、公募新人賞は存続できるか」が載っていました。
・・・今年に入って、どこの文学賞も応募が急増している――。出版関係者らがそんなささやきを交わしている。人工知能(AI)を使って気軽に大量の小説を出力できるようになった結果、公募新人文学賞の存続が危うくなりかねない事態を招いている。

「いくらなんでも多すぎる」。早川書房編集本部シニアエディターの塩澤快浩氏は目を見張った。今年3月末に応募を締め切った「第14回ハヤカワSFコンテスト」の応募点数は1012点。例年400点前後で推移していたが、突然、倍増した・・・

応募が増えることはありがたいことですが、選考にかかる負担が増えること、作家を発掘することが難しくなるなど困ったこともあるようです。人工知能が書いたのかどうか、選考委員も試されます。

「欧米に学べ」「アジアに遅れるな」

2026年9月2日   岡本全勝

明治以来日本は、多くの面で「欧米に学び、追いつけ追い越せ」を国是としてきました。国民の努力によって、特に高度経済成長で経済的に追いつき追い抜き、産業、教育、行政などでも追いついたと思いました。もちろん「輸入し揃えた」のは制度などで、運用は異なっていることも多かったです。

ところが、バブル経済崩壊後の長期停滞で経済が停滞し、他方でアジア各国の追い上げによって、追いつかれ追い抜かれました。すると、次の標語は「アジアに遅れるな」でしょうか。
「輸出額、韓国と台湾に抜かれる」「電柱王国日本」「ビッグマック指数」

福井ひとし氏の公文書徘徊15

2026年9月2日   岡本全勝

『アジア時報』9月号に、福井ひとし氏の連載「一片の冰心、玉壺にありや?―公文書界隈を徘徊する」第15回「発車オーライ!──日本バス史点描」が載りました。

今回は、バスについてです。よくこんな話題を考えますね。鉄道ファンは多いですが、バスは・・・。
路線バスは、戦前は県庁(国の出先機関)の認可なので、多くの資料は県に、あるいは引き継いだ地方運輸局にあるのでしょうか。今回の記事は、国に残っている公文書を基に調べています。
冒頭に出てくる「田舎のバスはおんぼろくるま~」という歌は、私の子どものころに歌いました。覚えていた歌詞は違っていましたが。
9月20日がバスの日とは、知りませんでした。1903年のこの日に、乗り合いバスが初めて走ったのだそうです。京都でです。

人工知能データセンターは電気の缶詰

2026年9月1日   岡本全勝

8月16日の読売新聞に、大塚隆一・編集委員が「データセンター 重工業化加速」を書いておられました。

・・・人工知能(AI)向けの大規模データセンターが次々と建てられている。産業史上で屈指の巨額投資も相次ぐ。AIデータセンターとはどんな施設なのか。なぜ大量の電気と水が必要なのか。建設ラッシュの先には何があるのか。インフラ(社会・産業基盤)の歴史も踏まえて考えてみた。

数千のラックが並び、その棚には計数十万個もの画像処理半導体(GPU)が収まる。GPUは猛烈な計算で二つの仕事をする。
一つは大量のデータからAIモデルを作る「学習」。もう一つはチャットGPTのような完成したモデルを使い、利用者の質問への回答を生成する「推論」だ。その際にGPUは大量の電気を使い、大量の熱を出す。
米エヌビディアの最新GPUである「B300」の場合、本体は手のひらに収まるほど小さいのに電気ストーブ以上の電力を消費する。この電気エネルギーはほとんどが熱として放出される。
GPU72個が入るラックはどれほど熱くなるのか。ラック内部は衣料品店の試着室を縦に二つに割ったほどの広さ。図の右側の計算が示す通り、その空間に電気ストーブ100台分の熱が発生する。
そのうえ発熱はわずか数平方センチほどのGPUに集中する。エアコンのような「空冷」ではGPUは焼き切れかねない。だから大量の水でがんがん冷やす。この冷却にも大量の電気が使われる。

現時点で最大規模のAIデータセンターは米スペースXがテネシー州に建設した「コロッサス2」だ。最大消費電力はGPUなどのIT関連機器だけで約1ギガ・ワット。これは原発1基分の電力に相当する。
1施設当たりでこれほどの電力を使う産業はほとんどない。「電気の缶詰」とされるアルミニウムの精錬工場に迫る水準だ。

ここまで来ると重厚長大産業や重工業と肩を並べるレベルだ。もはや単なるネット企業ではない。
重厚長大産業は文字通り、鉄鋼や造船など重くて大きいものを作る。一方、IT業界が扱うデータは重さも大きさもゼロだ。個々の計算などに要する電気は微々たるものだが、処理量の激増で電力消費は無視できなくなってきた・・・

減少するお寺と神社

2026年8月31日   岡本全勝

8月10日の日経新聞に「もう神様や仏様に祈れない 宗教法人、2040年に3分の1が消滅危機」が載っていました。

・・・神様や仏様に祈りたくても近くに神社やお寺がない。人口の減少や都市への移動で地方の檀家や氏子が減り、維持費を賄えない寺社が増えている。2040年には全国の宗教法人の約3分の1が存続の危機に陥るとの試算もある。

困窮している宗教法人は全国でも珍しくない。文化庁の調べによると、4割を超える寺で年間の収入が300万円未満だ。地方の寺社を中心に檀家や氏子が減り、葬儀や法要は簡素になり収益は細る。
国学院大学の石井研士名誉教授は15年の調査で、40年には宗教法人の3分の1超が消滅の危機にひんすると推計した。14年に日本創成会議が「消滅可能性都市」とした自治体と宗教法人名簿を照合し、該当する自治体に所在する宗教法人を集計した。全国に約18万ある宗教法人が11万4000法人を下回る計算だ。

新型コロナウイルス禍を機にお盆の墓参りなどの習慣が途絶えた家庭も多い。石井氏は「宗教離れが加速して、寺社が存続の危機を迎えるペースは当時の試算よりも速まっている可能性が高い」と警鐘を鳴らす・・・

桜井義秀・北海道大学特任教授の発言
・・・宮司や住職の担い手不足も深刻だ。北海道の過疎地ではなり手が足りず、1人で50〜60社を兼務する宮司も珍しくない。全国には約18万の宗教法人があるが、現状の数を維持し続けようという考えは非現実的だ・・・