カテゴリーアーカイブ:このページの歴史

慶應義塾大学、地方自治論Ⅱ第5回目

2017年10月20日   岡本全勝

今日は、慶應大学で地方自治論Ⅱの第5回目。先週の授業でたくさんの質問が出たので、今日はその補足説明から。
個人所得課税について、地方税である住民税所得割は、県税と市町村税を合わせて10%の定率課税、国税である所得税は5%~45%の累進課税です。これは、先年の税源移譲で、わかりやすくなりました(かつては住民税も累進課税でした)。しかし、国税の累進課税を説明しておかないと、学生は分かりません。
その前に、所得税の課税について、確定申告書の例を見せて、(収入ー経費=所得)ー控除=課税対象所得。これに税率をかけることを説明しました。私も自分で申告するようになって勉強したので、学生の多くは初めて見ることでしょう。未来の高額納税者になってもらう彼らなので、説明しておくことがよいでしょう。
法人課税は、地方税の法人事業税が外形標準課税になり、国税の法人税が所得課税なので、これも説明する際にはしやすくなりました。しかし、企業の6割が赤字決算だということも説明しておかないと。
消費税の多段階課税の仕組み、消費税は逆進性かについても、図を書いて説明しました。学生に聞くと、分かったという人と、わかりにくかったという人に別れました。

本論は、地方税の課題について。税収が少ないこと(かつては3割自治と呼ばれましたが、最近は4割自治に近くなっています)、地域間格差が大きいことを説明。そして、法定外税や超過課税について。しかし、課税を強化すると住民や企業は他の自治体に逃げる可能性があること。ここは、地方税の重要論点です。
あわせて、健康保険料、介護保険料、上水道料金の自治体間格差も説明しました。こちらの方も、大きいのです。
実際どうなっているのかを説明すると、理論や制度だけを説明するより、理解してもらいやすいですよね。学生の食いつきがよく読めて、楽しいそして内容のある1駒でした。

被災地企業、新商品開発の支援

2017年10月15日   岡本全勝

10月11日の読売新聞「大震災再生の歩み」が、「支援の輪、生まれ変わる商品」を大きく解説していました。
被災地企業は、施設設備が復旧しても、売り上げが戻らない場合もあります。その対策として、復興庁などが、商品開発や販路開拓の支援をしています。復興庁は商品開発の専門家ではないので、その道の専門家や支援をしてくださる企業と、被災企業とを結びつけるのが役割です。「結いの場」や「ハンズオン支援」といった取り組みをしています。
記事では、ハンズオン支援で、高級割り箸を作っていた企業が、その杉材を使った枕を開発し成功した例を取り上げていました。復興庁で担当したのは、岩見哲夫君です。彼は、NTT東日本から復興庁に来てくれていました。民間企業支援は、公務員(一筋)より、企業の人の方が知識や人脈は豊富です。記事では、サバを使ったハンバーグなども取り上げられています。
これらの支援事業も、どのような成果が出ているかを取りまとめています。ご覧ください。「平成28年度の例

続、宮城県沿岸部視察

2017年10月14日   岡本全勝

先日行ってきた、被災地の復興状況視察の報告、続きです。

宮城県南三陸町歌津地区では、「南三陸ハマーレ歌津」商店街でも、話を聞いてきました。これは、近くにあった仮設商店街の、「伊里前福幸商店街」を本設に移転したものです。国道沿いで道の駅の機能とともに、地域住民のための商店です。歌津地区も町の中心部がすべて流されました。住宅は近くの高台に移転しています。これらの商店はなくてはならないもので、お客さんも多いとのことです。こちらの絵(下の方、上は志津川さんさん商店街)が、わかりやすいです。

次は、住民の活動について。
雄勝にある「雄勝ローズファクトリーガーデン」を訪ねました。雄勝地区を通ると必ず目に入るバラ園です。被災した住民が立ち上げました。多くの支援者にも支えられています。オリーブ栽培の北限に挑戦しています。文字で説明するより、ホームページをご覧ください。

東松島市あおい地区にもお邪魔して、久しぶりに小野会長さんにもお会いしました(前回の記事2016年2月7日)。町内会を立ち上げるために、1年間に120回会合を持った、あの地区です。その後も、活発な活動を続けておられます。町づくりが、住宅建設ではなく、住民のつながり作りであることが、よくわかります。
ところで、現在は、コミュニティ再建の補助金が活動の一部を支えています。しかし、このような財政支援は、今後も必要でしょう。公民館や集会所を作っただけでは、コミュニティ活動はできません。住民の参加と中心になる人が必要です。事務局も必要です。市役所が「直営する」と、公民館に職員を置くことになります。しかし、それで自治会活動ができるわけではありません。それを考えると、自治会への財政支援は、大きな経費がかからず、効果は大きいです。
町づくりの記録も、出版されたようです。

大震災、産業復興状況

2017年10月14日   岡本全勝

東北経済産業局が、グループ補助金交付先へのアンケート調査結果(第7回)を公表しました。この補助金は、大震災で被災した中小企業が、施設設備を復旧する際の補助金です。交付先がどうなっているか、毎年調査をしています。これは重要です。補助金を交付したら終わり(役所仕事にはしばしばあるのですが)ではなく、それがどのような成果を生んでいるか、また課題は何かが分かるのです。

うち、東北4県を見てください。交付先9,315者のうち5,912者から回答がありました。卸小売・サービス業、製造業、建設業、水産・食品加工業、運送業、旅館・ホテル業と、業種は多岐にわたっています。
売上が震災前の水準以上まで回復したと回答した企業の割合は、45%。業種別では、建設業75%、運送業57%、製造業48%です。低いのは、水産・食品加工業29% 、卸小売・サービス業34%、旅館・ホテル業35%です。
売上が回復した主な要因は、「復興特需、その他要因による新規顧客の確保」、「新商品・新サービス開発等」。主な経営課題は、「人材の確保・育成」、「販路の確保・開拓」です。

この傾向は、前年と大きくは変わっていません。この補助金は、大震災の際に初めて作ったもので、大きな効果がありました。しかし、補助金で施設設備は復旧できるのですが、売り上げを戻すのは難しい点もあります。