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慶應義塾大学、地方自治論Ⅱ第4回目

2017年10月13日   岡本全勝

今日は、慶應大学で地方自治論Ⅱの第4回目。地方税に入りました。税は、財政の基本です。

ところで気になって、学生諸君に、経済学、財政学、会計学を履修したことがあるかを問うと、ほとんどの学生が履修していません。う~ん、すると複式簿記を説明しても、通じませんね。
企業の幹部を目指すなら、社長を目指すなら、複式簿記は読めないと。法学部のカリキュラムには、ないのですかね。会計学までは手が回らないですが、私の授業では、財政の基礎はお教えしましょう。

一定税率と累進課税の説明は、住民税と所得税を税率を図示して説明すると、分かってもらいやすいです。
法人課税は、法人事業税の外形標準課税を説明しましたが、その前に法人税の所得課税の説明が必要でした。赤字法人の説明が必要です。
地方消費税は、消費税と一緒に説明したのですが、これは説明不足でした。多段階での課税と重複課税の防止、帰属地をどうするか、逆進性など、授業後に「分かりませんでした」との意見がたくさんあったので、来週、説明しましょうか。関心ある人は、自分でも勉強してください。

宮城県沿岸部視察、産業復興

2017年10月12日   岡本全勝

10,11日に行ってきた被災地視察の報告です。まずは、産業復興から。
南三陸町のさんさん商店街は、今年春に仮設から本設に移転しました。施設の設計は、隈研吾さんがしてくださいました。三陸自動車道が近くまで開通したので、仙台市から1時間半で着きます。予想以上に観光客で連日賑わっています。海鮮丼がよく売れるそうです。

石巻市雄勝町では、末永九兵衛商店を訪ねました。雄勝町は奥深い入り江を囲んだ、漁業の町です。入り江が良い養殖場だったのです。津波はその地形で増幅され、壊滅的な被害を与えました。
末永商店は、銀ザケとホタテの養殖をしていましたが、津波で流されました。補助金を受けて再開し、さらに売れる商品に加工しています。「海から46秒のうまさ」が売りです。目の前に、養殖のいけすが浮かんでいるのですから。安い回転寿司店ではなく、より高い店に卸しているとのことです。ホームページを見ると、格好良い当主が、自信を持って提供しています。このような事業主が増えると良いのですね。

11日の朝は、女川魚市場に、7時からの競りを見に行きました。ここは、完全衛生設備になっていて、ガラスを隔てて視察できるようになっています。私たちの後にも、島根県の高校生が来るとのことでした。
今年はサンマが捕れず、捕れてもやせているようです。今のところ、昨年の3分の1だとか。私の行った朝は、大型船が2隻入って、けっこうな水揚げがありました。この調子が続いてくれることを望みます。
女川駅前の商店街も、どんどんと店が建っています。余裕を持った配置、建物の意匠(外観や色)を統一しているので、きれいです。駅横に移転してきた、トレーラーハウスのホテルに、今回も泊まりました。

石巻市の中心部は、人口減少と郊外に大型店ができて、さみしくなっていました。そこに、「いしのまき元気いちば」ができました。川に面した、景色の良い場所です。それを見ながら、飲食ができます。
これまで、地元の名産品を売る施設がなかったとのこと。もったいないですよね。サンマにしろ、お酒にしろ。町の中心部のにぎわい復活につながることを期待します。

それぞれ、ホームページにリンクを張りましたので、ご覧ください。
ここで紹介した事例は、それぞれやる気のある事業主や、まとめる世話役がおられます。行政は、財政的支援や情報をつなぐ支援はできますが、担い手がいないとどうにもなりません。地域振興、地域のにぎわいは、なんと言っても産業=働く場があることです。

ところで、これら本設商店街や工場になるまでは仮設の商店と工場で、事業を続けてもらいました。仮設の建物は、中小企業基盤整備機構が整備してくれました。無償で、市町村を通じて事業者に貸しています。これは、大震災でのヒット施策でした。これがなければ、多くの事業者は廃業したでしょう。機構の調べによると、644か所(1,270棟)で作った内、135か所が終了(撤去)し、509か所が残っています。
その調査(資料の8ページ、4退去事業者の動向)によると、退去した事業者の内、約6割が本設に移行しています。この数字が、事業を本格的に再開できた割合とみて良いでしょう。ほかの仮設に移った事業者もいますが、廃業した者もいます。

復興状況視察、宮城県

2017年10月11日   岡本全勝

10月10日、11日と、宮城県沿岸部に、復興状況視察に行ってきました。気仙沼市、南三陸町、女川町、石巻市、東松島市、仙台市、名取市です。昨年も秋に、宮城県と岩手県の被災地に復興状況を見に行きました。「1年に1度は来ます」と首長さんたちに約束しているので、今年もまず宮城県を訪ねました。

復興は急速に進んでいます。石巻市では、40か所を超える場所で、高台移転など宅地造成を計画していましたが、すべて完成しました。40か所と言えば簡単ですが、それはそれは大変な作業だったのです。当初は、か所数の多さに、「本当にできるのだろうか」と市の幹部と話していたことを、思い出しました。
ほかの市町村でも、高台移転の宅地造成と公営住宅の建設が終わりつつあります。まずは、住宅を優先したのです。
場所と規模を決め計画を作ります。あわせて住民の合意を取り付け、設計し、山を切り開いたり、土盛りをしたり。それから基礎工事です。ここまで来れば、後は早いのです。それで、この1年間に、次々と完成しているのです。

南三陸町と女川町では、町の中心部に土を盛って、かさ上げをしました。この工事も、ほとんどできています。かつて、高台にあった病院が、すぐそこの高さにあります。そこまで、周囲の土地がかさ上げされたと言うことです。初めて行った人は、その土地が元からの高さだと間違うでしょうね。
コンパクトできれいな町並みができています。仮設の商店も本設に移行し、予想以上にお客さんが来ているとのことです。町のにぎわいが戻りつつあります。もっとも、人口減少は続いていて、決して楽ではありません。

住宅やインフラ復旧が進むと、次の課題は産業となりわいの再開、コミュニティ再建です。そこで今回は、各地で民間の方にお話を聞いてきました。旧知の首長さんたちや新しく就任された首長さんとも、話をしてきました。仙台では、郡和子市長に。市長は、初期の頃に復興政務官などを勤めてくださいました。
現場は、行くとかならず勉強になります。それについては、改めて書きます。
今回も、宮城復興局の諸君が、現在の課題に沿った視察先を入れてくれました。そして、いつものようにびっしりと盛りだくさんに。ありがとう、皆さんも疲れたでしょう。

政策から見た原発事故復興の方向

2017年10月8日   岡本全勝

10月8日朝日新聞1面「問う2017衆院選」、大月規義・編集委員の「原発事故6年 直視されぬ教訓」から。
・・・政権は復興にあたる上で、福島を「沖縄にしない」「チェルノブイリにしない」という意図で進めた。米軍基地問題のような地元との対立は避ける。旧ソ連の事故処理のように原発を「石棺」にしない。福島原発の周辺にはいずれ人が住めると説き伏せた。除染や復興の予算、賠償金の上積みは惜しまなかった・・・

慶應義塾大学、地方自治論Ⅱ第3回目

2017年10月6日   岡本全勝

今日は、慶應大学で地方自治論Ⅱの第3回目でした。
前回、予算の概要を説明しました。相模原市役所から提供いただいた冊子は、学生から「わかりやすかった」との評価でした。
予算書で見えることと見えないこととあわせて、フローとストックを説明しました。「今まで分からなかったのが、分かりました」と書いた学生がいました。経済学や財政学を履修していないと、知らないでしょうね。

今日は、予算の機能をお話ししました。機能の一つは、税金を中心とした歳入と歳出予算によるサービスの執行、資金の調達と支出という観点です。これは経済(学)です。もう一つは、住民の要望、議会による審査(予算案と決算)という、民主主義的統制です。これは、政治(学)です。
「地方財政」の「財政」は、経済(財)と政治(政)の結節点です。主体と作用を図示したので、学生からは「わかりやすかった」との感想をもらいました。経済学、財政学における「地方財政の地位と役割」は、地方財政学の主要論点の一つなので、日を改めてじっくり説明しましょう。