連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第82回「社会の課題の変化―雇用形態格差がもたらす貧困と不安」が、発行されました。前回に続き、格差問題を取り上げています。
現在の格差は、非正規雇用の増加によってもたらされています。それは、いったんは消滅したと思われた「階級」が、再び出現したと見えます。所得や資産の差だけではなく、学歴といった文化資本や人脈といった社会関係資本でも、大きな差が付きます。そしてそれは、ある人の一生を決定するだけでなく、子どもにも相続されます。
ところで、昭和後期は現在より貧しく経済格差もあったのに、不安が目立ちませんでした。それはなぜか。前の希望と後ろの安心があったからです。それが小さくなったことが、不安を大きくしています。