カテゴリー別アーカイブ: 連載「公共を創る」

連載「公共を創る」第84回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第84回「社会の課題の変化―成熟社会が生みだした孤独と孤立」が、発行されました。

本稿では、成熟社会になって生まれて新しいリスク、人間らしい生き方への被害を、格差と孤立として整理しています。
前回まで、格差について説明したので、今回から孤立について説明します。

一人で暮らすことは自由であり楽しいことです。しかし、さみしさを感じると孤独になります。他者とのつながりが薄くなった場合です。
それがひどくなると、孤立になります。一人で悩んだり、助けを求めることができない場合です。一人暮らしでなくても、引きこもりになると孤立です。
孤立や孤独の問題は、近年「発見」されたものですが、最近でも、若年介護者(ヤングケアラー)が「見つかり」ました。

連載「公共を創る」執筆状況報告

恒例の、連載「公共を創る 新たな行政の役割」の執筆状況報告です。続きを書き上げ、右筆たちに提出しました。第4章1(2)「新しい不安への対応」のうち、「変わる安心提供の手法」についてです。

格差と孤立といった、社会生活の新しく生まれている不安は、これまでの政策では効果が少ないです。失業対策では、非正規雇用格差は是正されません。引きこもり、社会保障給付では、自立につながりません。これまでに書いてきた、これら新しい不安への対策について、何が変わるかを整理しました。

もう一つは、私が提唱している「生活省構想」です。
行政の主要な課題が、インフラやサービス提供から、生活の不安に変わっています。政府も、孤立など社会生活問題に取り組んでいますが、バラバラです。これらを、一つの省にしようというものです。
これまでの省庁は、生産者や提供者側でした。これれに対抗して、生活者を軸にした省をつくって、国民に政策をわかりやすく提示し、また行政の変化を象徴したいのです。

先月に7月掲載分を書き上げたときは、余裕だったのですが。時間はあっという間に過ぎます。遂に追い込まれて、早朝の頭のさえている時間帯と、夜のビールを控えて夕食後に執筆しました。事前のめどでは、今回は分量も少ないはずでしたが、どんどん膨らんで。書き終えると、400字詰め原稿用紙で60枚にもなりました。
ひとまず、右筆たちに提出して、ほっとしています。右筆さん、よろしくお願いします。

ところが、この余裕がくせ者なのです。「まだ時間があるわ」と思っているうちに、時間が過ぎていきます。たぶん来月の今頃も、「追い込まれています」と同じことをぼやいているでしょう。そうならないように、ぼちぼちと次の執筆に取りかかりましょう。

連載「公共を創る」第83回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第83回「社会の課題の変化―格差縮小へ正規雇用増と最低賃金引き上げ」が、発行されました。

現在の非正規雇用格差を放置すると、社会の不安が高まり、亀裂が入るでしょう。早急に対応しなければなりません。主な手法は、同一労働同一賃金の実現と、最低賃金の引き上げでしょう。
先進諸国の中で、日本の賃金は低いのです。マクドナルドのビッグマックの価格は、アメリカ590円、イギリス493円に対し、日本は390円です。タイの443円、韓国の428円よりも安いのです。喜んでいてはいけません。(原材料費などが大きく違わないとすると)それだけ労働者の時給が低いと言うことです。

本来、労働者を守るのは労働組合の任務です。しかし、正社員から構成される労働組合は既得権を守るために、非正規社員との格差是正に反対することもあるとのことです。知人の社長が、ぼやいていました。

連載「公共を創る」構成再検討

例によって、連載「公共を創る 新たな行政の役割」の執筆状況、苦難の報告です。
ひとまず、7月掲載分を編集長に提出し、続き第4章1(2)の残りに着手しています。それと並行して、第4章1(3)、第4章2、3に盛り込む項目も、随時見なおしています。
執筆を開始する際に、粗々の全体の構成を考えました。目次をつくり、これまでに書きためた文章などを、ひとまずその目次に沿って並べてあります。また思いつく度に、それらをこの素材集に放り込んであります。他方で、執筆する過程で、「ここで書いた方がよいなあ」と思う項目を、素材集から引っ張り出し、前倒しで登場させてています。

当初作った目次も、書いていくうちに、話の展開や分量が想定から外れ、見直しが必要になります。ところで、これもなかなかやっかいな作業です。分量が多いのと、話が広がって、そう簡単に整理できないのです。
文章をあっちに持っていったり、こっちに持ってきたり。その作業は、パソコンで簡単にできるようになったのですが。頭の整理は、パソコンは代わってくれません。早起きしたときなど、頭のさえているときに、何度もやり直しています。よって、「全体の構成」は、当初に比べ変わっています。
原稿執筆の前に、これをきちんとしておかないと、執筆はできません。

連載「公共を創る」第82回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第82回「社会の課題の変化―雇用形態格差がもたらす貧困と不安」が、発行されました。前回に続き、格差問題を取り上げています。
現在の格差は、非正規雇用の増加によってもたらされています。それは、いったんは消滅したと思われた「階級」が、再び出現したと見えます。所得や資産の差だけではなく、学歴といった文化資本や人脈といった社会関係資本でも、大きな差が付きます。そしてそれは、ある人の一生を決定するだけでなく、子どもにも相続されます。

ところで、昭和後期は現在より貧しく経済格差もあったのに、不安が目立ちませんでした。それはなぜか。前の希望と後ろの安心があったからです。それが小さくなったことが、不安を大きくしています。