カテゴリー別アーカイブ: 連載「公共を創る」

連載「公共を創る」第93回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第93回「社会の課題の変化―「弱者発見」とその対応の拡大」が、発行されました。

今回から、「第4章1(3)個人の責任と政府の責任」に入ります。
第4章(連載第71回から)では、日本が成熟社会に入ったことで、社会の問題と行政の課題が変化したことを説明しています。新しく生まれた格差と孤立という不安は、これまでの行政の方法では対応が難しいものでした。
新しい弱者が発見され、行政がその救済を引き受けることになりました。これまで個人や家庭の責任だったリスクが、政府の責任になりました。それが、行政の在り方に大きな変更を求めています。この変更は、国の在り方や憲法の議論にも及ぶ、大きなものだと、私は考えています。

今回は、新しい弱者が発見され、その対応を拡充してきた歴史を振り返ります。
極めて簡単にまとめると、19世紀には労働者を発見し、次に働けない人たちを、20世紀後半に消費者を、21世紀には社会生活において自立できない人を発見したと言えるでしょう。
近代の行政の歴史は、弱者を発見し、それに対する救済の方法をつくってきた歴史です。国民みんなが必ずしも「自立した市民」ではないことを発見し、その人たちを支える手法をつくり出してきました。
そして今また、新しい種類の弱者が発見されました。その人たちを支援する手法は、これまでの社会保障を超えるものです。

2人孤独死

9月14日から朝日新聞社会面で、「2人孤独死」が連載されています。
内容は、記事を読んでいただくとして。高齢者の2人暮らしで、2人とも倒れる、あるいは世話をしていた方が倒れることでもう1人も倒れる事例が載っています。このようなことも起きるのですね。

高齢者の一人暮らしは孤立し、孤独死の可能性があります。このことは、世間では認識されていますが、2人暮らしでも危険性は高いのです。
ここでわかるのは、独り暮らしが危険、2人暮らしが危険というのではなく、孤立していることが危険だということです。外部の人と毎日の付き合いがあれば、助けを求めることができるでしょうに。
プライバシーが守られる、扉を閉めれば内部の様子がわからないアパートやマンションででは、孤立はさらに高まります。

他方で、新型コロナウイルス感染症で、一人暮らしでの危険性も報道されています。
一人暮らしで何かあった際の危険、そして孤立していることの危険。これらへの対処が求められています。連載「公共を創る」で取り上げている主題の一つです。

連載「公共を創る」第92回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第92回「社会の課題の変化―生活省は「制度」より「課題」に取り組む」が、発行されました。

前回に引き続き、生活省構想を説明しています。
あわせて、制度所管思考と課題所管思考の違い、このような問題には課題所管思考が必要なこと。理想に向かって先頭を進む前衛の役割とともに、ついてこられない人を拾っていく後衛の役割も必要なこと。公務員に求められる専門性が変わってくることを説明しました。
行政に求められる優先課題が変わったことによって、公務員に求められる思考も能力も変わる必要があります。

連載「公共を創る」第91回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第91回「社会の課題の変化―新たな課題対応のために生活省の設置を」が、発行されました。

この連載では、日本が経済成長に成功し成熟社会になったのに、社会の意識と仕組みが変わっていないことを主題の一つとしています。そのような視点で見ると、改革への取り組みは30 年は遅れています。

私は、「生活省」の設置を主張しています。それは、社会生活問題に本格的に取り組むためであり、行政の任務が大きく変わったことを明らかにするためにも必要だからです。先日の読売新聞でも話しました。「読売新聞に出ました「首相に直言 秘書官の役割」
各府省に散らばっている、国民の生活の悩みに関する部局を集めて、一つの省にするのです。「生活」と言っても広いですが、軸は、生活者、消費者、社会的弱者を守る施策です。そのような施策を任務としている課や局を統合して、一つの省をつくるのです。明治以来、省庁のほとんどが、生産者と提供者側に立っていました。それに対して、国民の生活側に立った省をつくるのです。
名称は「国民生活省」でもよいのですが、それでは定住外国人が外れることになります。あるいは「生活者省」「暮らし省」といった名称も考えられます。
対象と想定している部局は、次のようなものです。これらの組織あるいはその一部を、生活省に再編統合します。

(共生社会など)内閣府政策統括官(政策調整担当)のうち共生社会に関するもの、男女共同参画局、政策統括官(経済社会システム担当)のうち共助社会づくりに関するもの、関係する本部(子ども・子育て本部、子ども・若者育成支援推進本部、高齢社会対策会議、犯罪被害者等施策推進会議、子どもの貧困対策会議)
(消費者など)消費者庁。食品安全委員会
(家庭や子育て)厚生労働省子ども家庭局
(働き方)厚生労働省雇用環境・均等局、職業安定局、人材開発統括官、労働基準局
(社会的弱者)厚生労働省社会・援護局。法務省保護局、人権擁護局
(定住外国人)出入国在留管理庁在留管理支援部

連載「公共を創る」執筆状況報告

恒例の、連載「公共を創る 新たな行政の役割」の執筆状況報告です。
第4章1(3)個人の責任と政府の責任を書きあげました。右筆たちに手を入れてもらい、それを反映して、編集長に提出しました。4回分くらいには、なりますかね。これで、9月は乗り切れるでしょう。

いや~、今回も難渋しました。集中力が続かないことと、議論している内容が難しいことによります。
孤独・孤立対策や社会的包摂にあっては、近代市民社会が前提としたこと、それによって作られた近代憲法が限界にあることを主張しています。みんながみんな、自立した市民ではありません。そして、孤立対策や社会的包摂は、従来の社会保障制度では救済できないのです。
話が大きいのと、法律学などを踏まえた議論をしなければならないので、ええ加減なことは書けません。とはいえ、私はその分野の専門家ではなく、また適当な書物もないので、四苦八苦しました。

こんな時は一人で悩まず、専門家に聞くのが早道です。ということで、今回は右筆を増やし、たくさんの人に見てもらい、意見をもらいました。ありがたいことに、いくつも鋭い意見をもらいました。それらを反映したので、これで安心して活字にすることができます。
400字詰め原稿用紙で、60枚近くの分量です。ワープロと右筆たちがいないと、とても書き上げることはできなかったでしょう。

この猛暑にも負けず、早起きして、頭がさえている時間帯に書きました。夜の異業種交流会ができないので、時間と体力は余っているはずなのですが。集中力は、そんなに長くは続きませんね。
今回も、締めきりを守りました。ホッとしましたが、ゆっくりはしておられません。その続きの原稿に、取りかからなければなりません。
第4章政府の役割再考 1社会の課題の変化を書き上げたので、次は、2社会と政府です。徐々に完結に近づいています。