カテゴリー別アーカイブ: 連載「公共を創る」

連載「公共を創る」目次6

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第4章 政府の役割再考
3 政府の役割の再定義
(1)社会の変化と行政の役割
5月25日 151政府の役割の再定義ー橋本行革における4分類
6月1日 152政府の役割の再定義ー試案─国家の役割と機能の分類
6月15日 153政府の役割の再定義ー課題の転換を迫る背景
6月22日 154政府の役割の再定義ー社会像と行政手法の転換
7月13日 155政府の役割の再定義ー「生活者省」設置の提言─「安全網」への転換を明確化
7月20日 156政府の役割の再定義ー福祉提供国家から安心保障国家へ
7月27日 157政府の役割の再定義ー官僚の役割─現状分析
8月3日 158政府の役割の再定義ー官僚の役割─行政改革の影響
8月17日 159政府の役割の再定義ー官僚の失敗─官僚機構の機能不全
8月24日 160政府の役割の再定義ー政策の失敗、政策転換の遅れ
9月7日 161政府の役割の再定義ー改革は「できるもの」─私の経験
9月21日 162政府の役割の再定義ーなぜ官僚は新しい仕事に取り組まないのか
9月28日 163政府の役割の再定義ー改革の仕組み方と官僚機構の転換方策
10月5日 164政府の役割の再定義ー公務員の「目標」
10月12日 165政府の役割の再定義ー組織の目標と幹部の役割
10月26日 166政府の役割の再定義ー組織の目標と評価ーそのあるべき姿を探る
11月2日 167政府の役割の再定義ー組織における評価のあり方
11月9日 168政府の役割の再定義ー日本の経済と働き方の特徴
11月16日 169政府の役割の再定義ー日本型の雇用・職場慣行がもたらした悪影響
目次7」へ続く

連載「公共を創る」第150回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第150回「現代日本の新しい対立軸」 が、発行されました。前回から、現代日本の、新しい対立軸を考えています。

私が考える第1の対立軸は「非正規格差」です。第2の対立軸は「保守と革新」です。といっても、かつてのような復古的な右翼と、革命を目指す左翼の対立ではありません。
かつての日本社会の安定と経済成長を支えた、日本的経営、労働慣行、「標準的家庭」、男女の偏った役割分担などを忘れられない人たち(保守)と、それを変えようとする人たち(革新)との違いです。

以上の二つの対立軸と交叉するのが、もう一つの軸である「排斥」と「包摂」、多様性を認めるか否かです。国民の中に多様性を認めるとともに、困難を抱えた人を包摂しようとする考え方と、少数者を排斥するないしは自己責任を求める考え方の対立です。

ここに挙げた3つの対立軸は、現在の日本社会に生まれている亀裂です。しかし、個々の問題は議論されていますが、まだ社会を分断する対立軸として認知され、克服のための進行方向が共有されていないようです。対立の両側が組織化されていないことと、それぞれの立場を代表する理論や進行方向(理想像)が示されていないせいでしょう。それを拾えていない政党政治にも、問題があります。

これで、第4章2(3)「社会をよくする手法」を終えて、次回から、3(1)「社会の変化と行政の役割」に入ります。(3)「社会をよくする手法」は、もっと簡単に終わると考えていたのですが、意外と長引きました。

連載「公共を創る」第149回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第149回「対立軸の変化」 が、発行されました。
前半は前回の続きで、社会の新しい課題を非営利団体が発見し、その対応に取り組んだのに対し、行政はそれができていないこと。こうした新しい課題を行政の過程に乗せる方法を考えました。

後半は、社会と政治の対立軸の変化を議論しました。社会の変化に従って、対立軸も変化します。ところが、それに気づくことに遅れているのです。かつての、保守と革新、資本家と労働者といった対立軸は過去のものとなりました。
では、現在の対立軸は何か。まずは、正規労働者と非正規労働者の格差でしょう。

「公共を創る」連載4年

連載「公共を創る」が、2019年4月25日から掲載を始めて、4年になりました。5年目に入るということです。あと2回で150回になります。最初の頃は毎週木曜日に、最近は毎月3回木曜日の掲載です。よく続いたものです。お付き合いいただいた読者の方々に感謝します。

当初の予定が狂い、こんなにも長編になったことは、「「公共を創る」連載3年」をお読みください。私の問題関心は変わっていないのですが、書き進めていくうちに、社会の課題の項目が広がりました。また、読み物とするために具体事例などを豊富に入れるようにしているからでもあります。

若い人が知らないであろう「昔の話」を書くことも意識しています。私の経験や考えたことを、伝えたいという思いがあります。
国家行政論は、書かれたものが少ないのです。特に最近は、官僚がものを言わなくなりました。私はありがたいことに、自治省・総務省だけでなく、省庁改革・再チャレンジ政策・首相秘書官・大震災復興など、行政を考える仕事をさせてもらいました。
原稿に手を入れてくれる右筆が、私の主張を理解してくれて、間違いの訂正だけでなく、違った意見も書いてくれるのです。

去年の今ごろ「あと半年くらいかかりますかね」と書いたのですが。ようやく結論の部分に入ったので、あと半年で終わるでしょう。

図・公私二元論から官共業三元論へ(課題の認知)

図・公私二元論から官共業三元論(サービス提供)」に続いて、第148回「「新しい行政手法」─NPOとの関係」に載せた「図・国家の役割の変化─社会課題の認知と取り組み」を再掲しておきます。

左側は図表2「サービス提供、公私二元論から官共業三元論へ」の右側と同じで、右は左の上下を反転したものです。左はサービス提供という視点で見ているのに対し、右は住民の問題を拾い上げるという視点で見ています。
仮設住宅での孤立防止の見守りや子ども食堂は、非営利団体が考えた仕組みです。子供の貧困と子ども食堂は、非営利団体が拾い上げ対策に乗り出しました。そしてその活動を、政府が支援しています。
公私二元論では、個人の困りごとは本人と家族が引き受けるもので、それを超えると行政が支援します。公共空間を行政が独占するという公私二元論の構図では、このような非営利団体の活動は見えてきません。行政も非営利団体も企業も社会を支えるという官共業三元論の見方では、すんなりと位置づけられます。