連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第207回「政府の役割の再定義ー政策の優先順位付けと利害調整」が、発行されました。政治主導がうまくいっていないことについて議論しています。
政治主導へ転換するために、国会での委員会での官僚の答弁機会は減ったのですが、首相や大臣の答弁案を作成する業務は、以前と変わっていません。国会での質疑が、政治家同士の議論になっていないのです。
また、法律案や予算案の与野党への説明も、政治家でなく官僚が担っています。しかも、その際には政治家から官僚に対し時に厳しい要求や追及が行われます。政府提出法案などの内容は、与党の部会で実質的に決定するのですが、これは非公開で行われています。
政治主導がうまくいっていないことの2番目として、政策課題に優先順位をつけることを取り上げます。かつて「官僚主導」と言われた政治過程は、各省官僚と与党各部会がそれぞれの分野を拡大するものでした。しかし経済が停滞すると、どこかを削る必要が出てきました。これは官僚にはできないことです。政治家による利害調整、優先順位付けができていない事例と、うまくいった事例を説明します。