カテゴリーアーカイブ:行政

社会学的想像力と政治的想像力2

2022年12月13日   岡本全勝

社会学的想像力と政治的想像力」の続きです。
社会学が、人が暮らしていく際の困難を社会の側から摘発します。その困難を個人の責めに帰すのではなく、社会の側に問題があることを突き詰めます。すると、その解決はその個人や家族ではなく、社会の側を変える必要があります。ここに政治の出番があります。

すると、社会学では「社会学的想像力」が必要であるように、政治においては「政治的想像力」が必要でしょう。
それは、社会学が発見した暮らしの困難を、解決することです。
それらの問題を政治や行政の課題として取り上げること、そして誰がどのように解決するか道筋をつけることです。必要な場合は、人と金を投入しなければなりません。法律や補助金をつくっただけでは解決しない問題が多いです。すべてを取り上げることはできず、優先順位をつける必要もあります。
それらをどのように動かすか。それを政治的想像力と呼びましょう。政治的構想力と政治力とも言えます。

社会学的想像力と政治的想像力

2022年12月12日   岡本全勝

「社会学的想像力」は、アメリカの社会学者C・ライト・ミルズが、同名の書で唱えた概念です。
社会学を学ぶ意味とは何か、それは日々遭遇する困難を根本的に解決するにはどうすればよいかを考えることで、そのためには日常を社会と関連づけて捉える知性が必要である。その知性が社会学的想像力であり、社会学の最大の効用であると主張します。個人の身近な生活の問題を広い文脈(社会)と結びつけて考える能力です。

「社会学、社会科学とはなんぞや」を考えていて、「実用社会学への期待」「実用の学と説明の学」に行き着きました。長谷川公一先生ありがとうございました。
それに触発されて、社会学的想像力を思い出しました。
ミルズは、この大前提を元に、さまざまな社会学、特に抽象的な体系論を批判します。私の問題関心「実用の学と説明の学」に、ぴったりの説明です。

社会の問題、暮らしていく際の困難を考える、その際に個人の暮らしから考えるという「社会学的想像力」は、わかりやすいです。人が暮らしていく際の困難を社会から考えることが社会学の役割、その際の手法が社会学的想像力とすると、その問題を解決するのが政治の役割です。続く

公文書の管理、諸外国との違い

2022年12月11日   岡本全勝

11月26日の日経新聞に「公文書軽視 浮き彫りに 米は職員のメールも管理」が載っていました。森友学園に関する財務省の決裁文書改ざんを巡り、大阪地裁が25日、元国税庁長官への賠償請求を退ける判決を下したことの解説記事です(ネット記事は紙面とは少し異なっているようです)。

・・・改ざん問題を受けて国は2018年、各府省庁に専門部署を設置するといった公文書の監視強化を柱とする再発防止策を取りまとめた。同時に公務員の意識改革を進めようと、新規採用職員に文書管理の方法に関する研修も始めた。
しかし、京都大学の奈良岡聰智教授(日本政治外交史)は「公的な責任を負う組織が文書を保存・公開し、後世に検証できるようにするという意識が日本の社会に根付いていない」と指摘。その証左として欧米との所蔵量の違いや管理を担当する職員数の格差を挙げる。

公文書の所蔵量は書架の長さで比較する。国立公文書館の22年3月時点のまとめでは、日本は69キロメートル。米国の約1500キロ、ドイツやフランスの400キロ台より圧倒的に少なく「所蔵量の多寡は保存対象とする文書の範囲の違いにも起因している」(奈良岡氏)。
日本では公務員個人が職務上発信したメールに重要な内容が書かれていても「私的メモ」と解釈して公文書に含まれていないケースがある。これに対し、米国の連邦記録法は政府職員に原則、職務に関して公用のメールアドレスの利用を義務付け、全ての記録を国が管理すると規定する。

大統領の場合は退任時、在任中の職務に関する記録はメモやメールを含めた全てを国立公文書記録管理局に提出するよう大統領記録法で定められている。英国に目を向ければ、二大政党(保守党、労働党)の党運営に関わる文書についても行政文書に準じる形で自主的に保存・公開している。

公文書を管理する機関の職員数も、米国が約2750人、欧州諸国は500~600人台だが、日本は約200人にとどまる・・・

統合失調症

2022年12月10日   岡本全勝

11月26日の日経新聞に「統合失調症をもっと知る 回復して社会復帰も」が載っていました。

・・・かつては精神分裂病と呼ばれていた統合失調症。妄想や幻覚の症状ばかりが注目されがちで、治らない病気だと誤解されることも少なくない。適切な治療で、安定した生活に戻れることを知っておきたい。
統合失調症は約100人に1人が発症する身近な精神疾患である。多くは思春期から青年期に発症し、男女で罹患率の差は見られない。
2002年に病名が精神分裂病から変更された。その理由には「病気への偏見や差別が影響していた」と話すのは、国立精神・神経医療研究センター理事長の中込和幸医師。しかし、病名が変わっても発症をオープンにする人はまれで、罹患率の割には身近に感じられない病気のままだ。発症すると入院治療が続くと思われがちだが、通院で回復し社会復帰する人も多い。

病気の原因はいまだ明らかになっていないが、遺伝的な気質に加え、強いストレスがかかることがきっかけで発症すると認識されている。
治療には薬物療法や心理社会的療法が行われる。薬物療法は発症初期ほど効果が高い。病気の特徴に病識(自分が病気だという認識)がないことが挙げられるが「心理教育で病気が理解できると、能動的に病気と向き合え再発予防になる」と中込医師。
この病気は再発率が高く、再発につながるストレスのコントロールが必要だ。受験、進学、就職、結婚など環境の変化はストレスが生じやすく、再発リスクを高める。生活リズムを整え、心の負担を減らすよう心がけたい・・・

私を含め多くの人は、この病気について詳しくは知らないでしょう。学校でも社会でも教えてもらえませんでした。100人に1人の割合で発症するなら、個人はもちろん、管理職としては知っておかなければならない知識です。

国会での与野党協議

2022年12月8日   岡本全勝

12月4日の朝日新聞「日曜に想う」、曽我豪・編集委員の「合意形成、国会に残る良き前例」から。

旧統一教会問題を受けた被害者救済新法の与野党協議がまさに正念場だ。政府案の実効性を疑う声が弁護士ら現場から出たが、岸田文雄首相が旗を振って修正へと歩み寄る。防衛費など今後の政策論議を思えば、合意形成の成否は重い。
国会は良き前例を持つ。自民党政権とて1992年には国連平和維持活動(PKO)協力法を野党・公明、民社両党との修正合意により成立させ、98年にも自民・塩崎恭久、民主・枝野幸男両氏ら「政策新人類」が与野党の垣根を越えて金融再生法をまとめた。逆に民主党政権下の2011年には塩崎氏ら野党の提起が超党派の合意を生んで国会に原発事故調査委員会が設置された。
いずれも政権党が参院選で大敗して衆参のねじれを抱え、野党の協力を不可欠とする事情はあった。だが冷戦の終結に伴う国際貢献から金融不安の解消、東日本大震災が残した原発事故の原因究明まで、危機の時代に即応する処方箋作りが国会に問われた共通点は見逃せない。

どうやって国会は合意形成への道を切り開いたのか。事故調の設置当時、民主党で衆院議院運営委員会の与党側筆頭理事だった松野頼久氏(62)に聞いた。
「私はずっと議会運営を担当してきておかしいと思っていました。本来は国民の代表である国会が法律を作るのが筋なのに、日本では行政が執行ばかりか法律作りまで担う。閣法が議員立法より優先され、与党は行政に気兼ねし古い慣習や前例にすがる。政権交代を果たしたからこそ、国会を本来の姿に戻したかった」
「議運の野党側筆頭理事だった自民党の菅義偉氏から事故調の提案を受けた際に『やりましょう。この問題では与党も野党もない』と即答したのはそのためです。原発の安全神話が崩れても、それを推進してきた経済産業省などにフェアな原因究明はできまい。行政をチェックする国会の本領発揮と思い、臨時国会延長の機会をとらえ一気にまとめました」