カテゴリー別アーカイブ: 行政

行政

男女差大きい自治体給与

11月12日の読売新聞に「自治体給与 男女差大きく」が載っていました。読売新聞が今年8〜9月、都道府県と政令市、県庁所在地、東京23区の計121自治体に行った調査です。

・・・都道府県や政令市など主要自治体の71・9%にあたる87自治体で、2022年度の女性公務員の平均給与が男性の7割台以下だったことが、読売新聞の調査で分かった。女性職員の平均給与が男性よりも低い理由として、半数以上の自治体が非正規雇用の多さや給与の高い管理職への登用が少ない点を挙げた・・・
・・・男性に対する女性の平均給与の割合が最も低かったのは長野市の48・0%。市によると、男性の8割が正職員であるのに対し、女性の7割が非正規職員だという。最も高かったのは香川県(93・7%)で、県の担当者は「課長補佐や係長の職務についている女性が多い」と話している・・・

育児しにくい企業を去る父

11月6日の日経新聞に「育児しにくい企業 パパ去る」が載っていました。
・・・育児を理由に働き方を変える男性が増えている。夫婦で平等に家事や育児を担う考えが若い世代を中心に広がっていることが要因で、長時間労働が常態化し柔軟な働き方ができない企業からは転職・退職を選ぶケースもある。男性の人材流出を防ごうと、業務や風土の見直しにより残業を抑制したり、働く親のネットワークを強化したりする会社も出てきた・・・

詳しくは記事を読んでもらうとして、図がついています。「将来のパートナーに対する未婚男性(18~34歳)の期待」です。1987年頃は、専業主婦コースと再就職コースがそれぞれ40%くらいで、両立コースが10%ほどです。その後、専業主婦コースは激減し、最近では10%を下回っています。再就職コースも近年減って30%ほどです。両立コースが急増し、現在は40%程度です。

11月21日の日経新聞「私見卓見」、前田将吾・博報堂キャリジョ研プラス研究員の「男性にこそ家事育児両立支援を」には、次のような話が載っています。
・・・23年の内閣府男女共同参画白書では、共働き世帯においても、妻の家事関連分担率が77.4%にのぼるという結果がでた。企業はこのような不均衡を解消していく責務があるだろう。
近年、女性社員に対して仕事と家事育児の両立を支援する企業が増えているが、家事育児の負担が妻に偏っている現状において女性側に両立を促すだけでは限界がある。むしろ男性側の両立を促すことが重要だ。
私たちが実施した意識調査では「出産育児関連の制度が整っている会社で働きたい」と答えた人の割合は、男性全体では36%だったが、男性20代は50%、30代は43%と高かった。男性も仕事と家事育児の両立という視点で企業を評価し始めているようだ・・・

女性の社会での活躍についての社会の意識が、急速に変化しました。女性だけでなく、夫もそれを理解しました。職場の方が、それに追いつけていません。

夫や妻の海外帯同

10月30日の日経新聞に、「海外帯同 キャリアつなぐ」という記事が載っていました。

・・・配偶者の海外転勤について行っても、キャリアを途絶えさせない新たな「駐妻」や「駐夫」のロールモデルができつつある。共働きが当たり前になる中、長年のブランクはキャリアの妨げになりかねない。人手不足が進み、配偶者の転勤への帯同で社員を失うのは企業にとっても痛手だ。配偶者の海外転勤への帯同を理由に社員が休職できる制度の導入や、帰国後の再就職を支援する動きが出てきている・・・

海外駐在に帯同するのは妻に限りません。夫がついていく場合もあります。国家公務員にもそのための休職制度があります。それを使っている職員もいます。かつて専業主婦が当たり前の時代とは、変わりました。
他方で、企業勤めの知人は、5年ほど前に夫が海外勤務になりましたが、帯同休職制度がなかったので、夫が単身で赴任しました。徐々に変わるでしょうね。

インフレ下での地方税財政のあり方

11月1日の日経新聞オピニオン欄に、斉藤徹弥・上級論説委員の「地方税財政にインフレの影」が載っていました。詳しくは原文を読んでいただくとして。

・・・久しぶりに政治課題に上った所得税・住民税減税は評判が芳しくなく、税を巡る課題をいくつも浮き彫りにした。その一つにインフレ下での地方税財政のあり方がある。
所得税と住民税とでは、多くの納税者にとって負担感が重いのは住民税の方だろう。住民税は一律10%で、所得税は5%の人が6割を占めるためだ。所得税も10%の納税者は2割。残りの2割が所得税の方が高い層である・・・

・・・住民税の課税最低限が所得税より低いのも減税を複雑にする。これも町内会費はできるだけ多くの人が負担すべきとの考え方からだ。町内会費は生活保護世帯も負担する。
かつて住民税の課税最低限は所得税と同水準だった。戦後税制の基礎であるシャウプ勧告で住民税は所得税と一体と考えられていたためだ。その見直しを促したのが高度成長期のインフレである。
賃金と物価が上昇すれば生活保護の基準も上がる。生活保護世帯から所得税はとらないため、所得税の課税最低限が引き上げられる。すると、所得税と一体の住民税も課税最低限が上がり、所得の伸びない市町村は住民税の納税者が減ると悲鳴をあげた。
そこで所得税の課税最低限と切り離し、所得税は納めなくても住民税は納める所得階層を設けた。インフレが国税の所得税と、地方税である住民税との税の論理の違いを明確にさせた形だ。
再び迎えたインフレの季節は、地方税財政に新たな課題を生む。物価が上昇すれば地方税収も増加基調になるが、それに伴って人口や企業といった税源の多い東京都と地方の税収格差が広がることだ。地方税収が増えても増収分は東京都に集まりかねない・・・

この主張にあるように、自治体格差の拡大に対し、どのように対策を打つのかが問われます。
税制議論を聞くのは、確かに久しぶりです。景気が拡大しないデフレ下では、議論する余地がなかったのでしょうか。

男らしさのつらさ

10月26日の日経新聞夕刊に「男性らしさへの向き合い方」が載っていました。

男性と聞いたとき、無意識に思い浮かべるイメージはないだろうか。内閣府の調査によると、女性より男性の方がいわゆる「男性らしさ」の規範にとらわれがちな様子が浮かび上がる。これが生きづらさにつながっている人もいるだろう。男性像を巡る近年の議論や状況について専門家に聞いた。

「求める像ひとつではない」日本男性相談フォーラム代表理事の福島充人氏
――電話による男性相談事業を続けてきました。
「1995年に前身となる団体がホットラインを開設した。現在月3回、夜間に相談を受けている。私たち相談員も男性であり、当事者の目線を持ち対話する姿勢を重視している。相談は強くあろうとする男らしさのよろいと、弱さがせめぎあう葛藤と矛盾の場だ。年間150〜200件ほど電話がかかってくる。近年は減ったが、それでも無言は15%を占める」
「男性相談は言葉を発するまでに高いハードルと長い滑走路があるといわれる。こんな話を聞いてもらえてうれしかった、といって電話を切る人は多い」

――悩みを共有できる場が少ないのでしょうか。
「男性はそもそも悩みを語り合う場があまりないし、語っていいと思っている人も少ないというのが実感だ。それは望まない孤立も生んでいる」