公文書の管理、諸外国との違い

11月26日の日経新聞に「公文書軽視 浮き彫りに 米は職員のメールも管理」が載っていました。森友学園に関する財務省の決裁文書改ざんを巡り、大阪地裁が25日、元国税庁長官への賠償請求を退ける判決を下したことの解説記事です(ネット記事は紙面とは少し異なっているようです)。

・・・改ざん問題を受けて国は2018年、各府省庁に専門部署を設置するといった公文書の監視強化を柱とする再発防止策を取りまとめた。同時に公務員の意識改革を進めようと、新規採用職員に文書管理の方法に関する研修も始めた。
しかし、京都大学の奈良岡聰智教授(日本政治外交史)は「公的な責任を負う組織が文書を保存・公開し、後世に検証できるようにするという意識が日本の社会に根付いていない」と指摘。その証左として欧米との所蔵量の違いや管理を担当する職員数の格差を挙げる。

公文書の所蔵量は書架の長さで比較する。国立公文書館の22年3月時点のまとめでは、日本は69キロメートル。米国の約1500キロ、ドイツやフランスの400キロ台より圧倒的に少なく「所蔵量の多寡は保存対象とする文書の範囲の違いにも起因している」(奈良岡氏)。
日本では公務員個人が職務上発信したメールに重要な内容が書かれていても「私的メモ」と解釈して公文書に含まれていないケースがある。これに対し、米国の連邦記録法は政府職員に原則、職務に関して公用のメールアドレスの利用を義務付け、全ての記録を国が管理すると規定する。

大統領の場合は退任時、在任中の職務に関する記録はメモやメールを含めた全てを国立公文書記録管理局に提出するよう大統領記録法で定められている。英国に目を向ければ、二大政党(保守党、労働党)の党運営に関わる文書についても行政文書に準じる形で自主的に保存・公開している。

公文書を管理する機関の職員数も、米国が約2750人、欧州諸国は500~600人台だが、日本は約200人にとどまる・・・