カテゴリーアーカイブ:行政

湯浅誠さんの履歴書

2022年12月7日   岡本全勝

日経新聞夕刊連載「人間発見」、今週は、湯浅誠さんです。このホームページにも、何度か登場いただいています。

社会の問題、困った人たちに手をさしのべる活動をしておられます。私は、非営利団体の重要性について、東日本大震災で認識し、その後もそれを主張しています。
・社会の問題を拾い解決するのは行政の役割と思っていましたが、いくつかの分野では非営利団体が先に取り組んで成果を上げています。ある面では行政は非営利団体に負けているのではないかと思いますが、お互いに得意な分野があるのです。
・非営利団体は行政の下請けではなく、得意分野を受け持つ、対等の立場で協働すべきものです。政府も子どもの貧困に力を入れるようになりましたが、こども食堂活動は、彼らの活動がなければ成り立ちません。

2008年末の年越し派遣村では、湯浅さんが日比谷公園で活躍しました。それは、対応の遅い行政に対する異議申し立てでした。私は当時は総理秘書官で、官邸で「批判される立場」にいました。桝添厚生労働大臣からの報告と相談で、その人たちに厚労省の講堂に入ってもらうことを決めたことを覚えています。
まだその頃は、市民活動、今では社会活動は、行政にとって「やっかいな人たち」という程度の認識しかありませんでした。東日本大震災で、その認識を改めたこと(コペルニクス的転換)は、何度か書きました。
今では、湯浅さんと意見交換をするようになり、市町村アカデミーにも講義に来てもらっています。

不登校の子どもの保護者「学校は助けにならず」

2022年12月6日   岡本全勝

11月23日の読売新聞教育欄に「「不登校前より支出増」9割 保護者「学校助けにならず」6割 支援NPO調査」が載っていました。

不登校の子どもを持つ保護者の9割が「不登校前より支出が増えた」と実感していることが、支援団体のアンケートで分かった。学校に相談しても「助けにならなかった」と感じた保護者が6割おり、経済面も含めて支援が不十分な現状が明らかになった。

学校の担任に相談したうちの58・4%、学年主任や校長、教頭に相談したうちの57・9%が「助けにならなかった」と回答。一方、フリースクールに相談したうちの86・6%は「助けになった」とした。

外国出身高校生の日本語学習

2022年12月1日   岡本全勝

11月21日の日経新聞に「外国出身高校生の日本語学習 官民連携の教室、進路描く」が載っていました。

外国出身の高校生らの支援が課題になっている。日本語が不自由なままで学習や進路選びで困難を抱える生徒も少なくない。高校と教育委員会、NPO(非営利組織)が協力して手助けしている現場を訪ねた。
10月下旬の土曜日。神奈川県立川崎高校(川崎市)の教室に14人の若者が三々五々集まった。中国、フィリピン、ネパールなどの出身で、同市や横浜市北東部の高校に通う生徒たちだ。
川崎高では毎週土曜日、日本語学習支援教室が無償で開かれている。この日は日本語指導員ら10人の運営スタッフが生徒を迎えた。
教室は午前、午後の2部制だが1日通しで学ぶ生徒も多い。学習内容は一人ひとり違う。「げた箱」「体育館」といった初歩的な単語を学ぶ生徒もいれば、日本語能力試験で最高難度のN1レベルの問題に挑む生徒もいる。ある女子生徒は大学の推薦入試を前に、志望理由を書く作業に真剣な表情で取り組んでいた。

教室は2020年7月に開始。認定NPO法人の多文化共生教育ネットワークかながわや県教委、川崎高など4つの拠点校の協力で運営されている。同NPOによると、3者連携の取り組みは全国でも珍しい。
発足の背景にあったのは外国出身の生徒らの高校中退率の高さだった。18年度の文部科学省調査によると、日本語指導が必要な生徒の中退率は9.6%で全公立高校生の1.3%(17年度)を大きく上回った。
21年度調査では5.5%と改善したが全公立高校生(1.0%)との差は大きく、就職者のうち非正規の職に就いた割合も4割と非常に高かった。高校を中退すれば一段と不利になるだけに、中退防止の取り組みは「安全網として大きな意味を持つ」(同NPOの高橋清樹事務局長)。

外国出身の生徒たちには日本語力以外のハンディもある。進路選択や将来のキャリアを描くのに必要な情報の不足や、ロールモデルとなる"先輩"の不在だ。
そこで川崎高の教室では大学生が指導に加わっている。

アメリカ政府への信頼度の低下

2022年11月30日   岡本全勝

11月18日の日経新聞経済教室は、渡辺靖・慶応義塾大学教授の「トランプ氏前面に反発強く 中間選挙後の米国」でした。
今回のアメリカの中間選挙については、共和党の大勝利という事前予測が外れました。その点についてはたくさんの評論がなされています。この記事で注目したのは、それとは別の、政府への信頼度の低下です。記事に1958年から2022年までのアメリカ政府への信頼度が図になって載っています。
当初70%を超えていた信頼度は、60年代と70年代に急速に低下し、20%台になります。80年代は40%台に復活しましたが、90年代初頭には19%に低下します。2000年初めに54%に急上昇しますが、その後低下して現在は20%程度です。
この要因には、政治や行政の要因だけでなく、アメリカ経済や国力の好不調があると思われますが、大きな問題です。日本も同様なことが指摘できるでしょう。

・・・もっとも、米国の歴史は分断と対立の歴史であり、合衆国憲法の前文に記された「より完全な連邦」は一度も実現したことがない。独立や憲法制定を巡っても激しい政争があった。さらに言えば、建国の指導者らは三権を分立し、さらに議会を二院に分割し、州の権利を拡大することで、いわば分断や対立を意図的にビルトインしたともいえる。「決められない政治」によって権力者や世論の暴走を防ごうとしたわけだ。
ただ、だからといって、今日の状況を「よくある話」と片付けてよいとは思えない。例えば公民権運動やベトナム反戦が盛んだった1960年代は騒乱の時代でもあったが、政府への信頼度は高く、64年には77%を記録している。その後、01年の米同時テロなどの有事の時期を除き、総じて右肩下がりを続け、近年は20%前後の歴史的低水準にとどまっている。

長年、米政治をけん引してきた民主・共和両党の主流派(中道派)は信用を失い、「反ワシントン」を掲げるアウトサイダー候補が「変革」の担い手として待望されるようになった。この点はオバマ氏もトランプ氏も同じで、いわば政治不信の時代の産物といえる。「国民の和合」を求めたオバマ氏の試みは挫折し、国民を「我々」と「やつら」に分けたトランプ氏の試みは分断を加速させた。
コロナ禍のような国民の生命(いのち)と財産(くらし)を脅かす国家的危機を前にしてもワシントンが求心力を取り戻すことはなかった。民主党では左バネ、共和党では右バネが強まるなど、主流派と争うポピュリズム(反エリート主義)が遠心力を増し、両党のアイデンティティーを揺さぶっている。米国が分断と対立を繰り返してきたことは確かだが、近年の状況は質的により深刻に思える。
バイデン氏は半世紀にわたり国政に携わり、ワシントン政治を熟知している大統領だ。同氏がどこまで政治に対する信用や主流派の求心力を回復できるか・・・

官邸一強の弊害

2022年11月28日   岡本全勝

日経新聞は10月31日から5回連続で「ニッポンの統治 官邸1強の後」を連載していました。私の関心分野なので、「ここに書かなければ」と思いつつ、時間が経ってしまいました。記事だけ紹介しておきます。

10月31日「すご腕」雇えぬ政府 人材確保、企業と争奪戦
課長級公務員の給与 米国は日本の2倍、英国は1.2倍
11月1日 霞が関、2カ月無人の「幽霊部屋」 官僚縛る縦割りと兼務
肥大化する内閣官房、10年で定員1.5倍に
11月2日「秘書官政治」が官僚を二分 国を動かす実感どこに
首相秘書官8人体制 「官邸主導」定着で増員傾向
11月3日 草刈り場の霞が関 転職しても役所の仕事
若手キャリア官僚、年100人超の大量退職続く
11月5日 政策決定に空白と困惑 省庁が縄張り返上、押しつけ合い
首相出席の官邸会議、月平均10回超 小泉政権で急増