カテゴリーアーカイブ:著作と講演

連載「公共を創る」第98回

2021年11月12日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第98回「サービス提供、担い手は官か民か」が、発行されました。

前回に引き続き、社会における企業の役割を説明します。前回は、損害保険の役割を紹介しました。みんなでお金を出し合い、事故や出費の必要性が発生したときに金銭を給付するのが保険制度です。
そのような観点からは、地域や親族での助け合いが、最初の保険とも言えます。助ける側にも、助けてもらう側にもなります。そして、民間会社の保険や、政府の保険に発展しました。また、政府そのものが、保険金を集めない保険とも言えます。税金で、国民や住民の困りごとに応えるのです。

この議論をサービス提供主体の違いに広げると、経済学や行政学の教科書では公共サービスと民間サービスとの違いが説明されますが、官と民との区別があまり有効でないことがわかります。
1980年代から民営化、民間委託が広がりました。他方で、企業が撤退したバス路線などでは、市町村がそれを担う場面も出てきました。
すると、企業が提供するのか行政が提供するのかが重要なのではなく、住民にとっては、サービス提供が確保されること、そしてその質の確保です。そして、行政の役割は、民間が提供しない重要なサービスを提供することと、官民が提供するサービスの質の監視です。

なおこの視点からは、公務員と民間従業員との、一律の区別も有効ではありません。公務員はストを禁止されています。しかし、コロナウイルス感染拡大で分かったことは、役所の内部管理業務などは少々滞っても問題なく、それに比べ保育園、学童保育、介護施設は休まれると住民に大きな支障が出ます。

自分の講義録画を見る

2021年11月11日   岡本全勝

10月27日に、内閣人事局の幹部候補育成課程研修の録画をしました。幹部候補育成課程中央研修の係長級と課長補佐級です。
映像製作会社で編集をして、できあがったので、事務局の指示により目を通しました。それぞれ75分ほどです。

あらためて自分の語りを見ると、反省することが多いですね。
ふだんは早口なのですが、今回はゆっくり話していて、これは合格。これは気をつけました。考えながら話しているので、間が空きすぎているとこもあります。滑舌の悪いところがあります。話は通じると思うのですが。
下を向いて資料を見ている場面や、手振りの下手なところが目につきます。
NHKのアナウンサーたちが、いかに上手かわかります。

事務局職員からは、「これでよいですよ」と許してもらいました。次回からは、今回の経験を生かして、改善しましょう。

連載「公共を創る」第97回

2021年10月29日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第97回「保険に見る企業と政府の協働」が、発行されました。

前回までの「第4章 政府の役割再考 1.社会の課題の変化」(連載第71回〜96回)では、日本が成熟社会に入り社会の課題が変わったこと、それに従って行政の任務も大きく変わるべきであることを説明しました。今回からは「2.社会と政府」に入り、これらの変化を念頭に、これからの政府の役割を検討するために、社会と政府の関係を見直してみます。

本稿では、社会は公私が対立しているのではなく、官(政府・行政)、共(非営利活動、非営利団体)、業(企業・市場経済)の三つの主体・場・仕組みに支えられていると考えるのです。そして、社会が私たちの暮らしを支えている場合には、モノやサービスの提供だけでなく、働く場、他者とのつながり、生きがいや居場所という機能も果たしています。それらは、法律や制度だけでなく、国民の意識と生活がつくっています。
かつて安全で安心といわれた日本、また驚異的な経済成長を支えたのは、これら国民の民度や気風がつくるこの国のかたちでした。
しかし、今や日本社会の安心にほころびが生じ、経済も低迷しています。安心して暮らせる社会をつくるためには、行政の役割を現状に即して変更していくことも必要ですが、民間の役割や国民の意識の変革も重要です。

ここでは、社会を支える民間活動と国民意識を再検討します。まず、改めて企業という存在に注目してみます。保険を例に、企業が私益を追求するだけでなく、社会を支えていることを見ます。

内閣人事局、幹部候補育成課程研修講師

2021年10月27日   岡本全勝

今日27日は、内閣人事局の幹部候補育成課程研修講師に行ってきました。幹部候補育成課程中央研修の係長級と課長補佐級です。オンラインで研修を受けさせるとのことで、それぞれに分けて、録画をしました。

今年度から内容を変えるとのことで、お呼びがかかりました。
私は、幹部に必要な能力とその身に付け方を話すと思っていたのですが、主催者の要望は違っていました。若手職員の不安と不満に答えてほしいとのことです。それで、この夏から人事局と、内容を打ち合わせしてきました。

「どのようにしたら、仕事が片付くか」「どのようにしたら、能力が身につくか」ということとともに、いえそれ以上に「生活と両立しない長時間労働」「取り組んでいる仕事が国家に役に立っているのだろうか」「この仕事で技能が身につくのだろうか」といった不満です。
優秀な学生が官僚を志望しなくなったとか、若手官僚が辞めていくということが報道されています。その原因は、いま述べたような不満と不安にあるのでしょう。そこで、「明るい公務員講座」に書いたような、仕事の悩みの解決方法や、仕事の進め方の術のほかに、彼らの不安と不安について、その背景と対応策を述べてきました。職場の問題は、一人では変えることができませんが、みんなで変えないと進歩はありません。
今回も、私の数々の失敗談を交えてです。さて、受講生には、どのように伝わるでしょうか。

1時間あまりの講義を、午前と午後で2本収録しました。対面講義と違い、録画は気を遣います。いささか、疲れました。

連載「公共を創る」執筆状況報告

2021年10月24日   岡本全勝

恒例の、連載「公共を創る 新たな行政の役割」の執筆状況報告です。
紙面では「第4章政府の役割再考」の「1社会の変化」が10月21日で終わり、28日から「2社会と政府」に入ります。「(1)社会を支える民間」の前半、3回分は既にゲラになっています。
その続きを書き上げ、手を入れてもらうべく、右筆たちに送りました。右筆さんたち、よろしくお願いします。

「(1)社会を支える民間」の後半は、社会を支える国民の意識についてです。日本は民度が高く、関係資本や文化資本も強いと言われています。「この国のかたち」「日本人論」として高く評価されてきました。しかし、それらが新しい暮らしの形に適合せず、社会の活力と安心にほころびが出ています。この通念と社会の仕組みの問題について説明しました。

これまでの執筆で、いろんな角度いろんな分野でこの問題を取り上げたので、それらの集約となります。「この話は、どこかで書いたよな」と、過去に書いたものを見なおしてみると、たくさん出てきます。まあ、この主題で書いているので、当然ですが。
とはいえ、今回も執筆に難渋しています。転職したばかりでいろいろと用務があること、夜の異業種交流会を再開したことから、なかなか執筆の時間を取ることができません。