連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第223回「政府の役割の再定義ー与野党の政策立案能力の低下」が、発行されました。
政治主導がうまくいっていないことの一つとして、政治家の間の役割分担を議論しています。首相と大臣との役割分担の次に、各府省での大臣と副大臣と大臣政務官との分担について見ます。
前回で述べたように、首相と大臣の役割分担が混乱すると、大臣と官僚、そして大臣と副大臣や大臣政務官との役割分担も混乱します。
大臣や副大臣、大臣政務官の多くが1年で交代することの弊害もあります。1年では、予算年度を一巡する間に、決裁などの事務処理や多くの行事をこなすのが精いっぱいで、疑問や問題を見つけても、改善することができません。官僚たちと政策を議論する時間的な余裕がないのです。さらには、将来の職歴上昇に向けて、じっくりと大きな政策構想を築くための勉強もできないのです。
次に、政治家の役割分担の一環として、政府(内閣)と与党との関係について取り上げます。
政府と与党の二元制では、与党(議員)は多くの政策を行政機構(官僚)に依存することになります。自ら政策を検討することがなく、各省から出てくる政策案を議論したり、支援者などからの情報に基づく関心事項を各省に示して政策を検討させたりするからです。
もちろん、議員が関心事項について、各省に問い合わせることはあることです。また、議員に寄せられた情報を、各省の政務職や関係の部局に伝えることもおかしいことではありません。しかし官僚が、あたかも与党政策審議会の下部組織のように仕事をしてきたのがこれまでの実態です。