連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第228回「政府の役割の再定義ー異論に耳を傾けることの大切さ」が、発行されました。
政治家と官僚の関係がうまくいっていないことの説明を続けています。
国会議員が官僚を怒鳴ることは、過去からありました。私もで何度か、そのような目に遭ったことがあります。説明を求められて議員会館の事務所に行った際に、議員の意向に添えないことを説明したら、罵倒されたことがありました。長時間、半ば「監禁状態」に置かれたこともあります。当時はそれが当たり前と思っていましたが、いま考えると変なことでした。
そのようなことが行われたのは、官僚が「力を持っている」「政治や政策を決めている」という前提があったのではないかと思います。政治家が自らの意思を通そうとするなら、個々の官僚を怒鳴って従わせるのではなく、政治主導によって実行すればよいのです。
第2次安倍政権時代以降、「野党合同ヒアリング」と呼ばれる場が、しばしば開催されました。野党議員が合同で、会議室に各省の官僚を呼んで、特定の政策や案件について質問をするのです。そして時に官僚を怒鳴りつけ、官僚が無言のまま立ち往生したり、頭を下げて謝るといった場面がありました。その様子は動画サイトで中継され、「官僚つるし上げ」ともいわれました。
旧自治省では、「二度は反論して良い」と教えられました。さすがに政治家には二度も反論することは控えましたが、状況を見て異論を言うことを試みました。
私の話を最も聞いてくださった(ただし意見を容れてくださるかどうかとは別です)のが、麻生太郎・総務大臣でした。そして、首相を目指しておられた麻生大臣から、政策についての意見を求められるようになりました。
2008年9月に発足した麻生内閣で、筆頭格の首相秘書官に起用されました。首相秘書官になっても、このような関係は変わりませんでした。というより、他の人が言わないこと、時に首相にとっては「耳の痛いこと」を言うのが、私の任務だと考えていました。