カテゴリー別アーカイブ: 連載「公共を創る」

連載「公共を創る」第176回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第176回「政府の役割の再定義ー長時間労働を減らす三つの方法」が、発行されました。

前回から、職場側に必要な変化を議論しています。その第一は、労働時間の短縮です。意識の改革に続き、実際に残業を減らす方法を考えます。
そこには、仕事のやり方の改革、仕事量を減らす、職員を増やす、という3つの方法があります。とはいえ、役所の仕事の多くは法令で決められていて、仕事量は簡単には減らすことができません。

職員を増やすことは、なかなか国民の同意を得ることができないでしょう。
しかし、行政改革を進め、職員を減らし、民間委託や一部は非正規職員に代えてきたことが、行政能力の低下を招いています。

連載「公共を創る」第175回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第175回「政府の役割の再定義ー官僚の職場を巡る課題─その解決に向けて」が、発行されました。成熟社会の官僚に必要とされる能力として、構想力を説明しています。

官僚には所管している政策の知識だけでなく、広い分野について日本の、そして世界の動向も踏まえることが求められます。特に幹部官僚は、特定の業界の発展やサービスの提供といった「部分最適」を超え、例えば省の所管政策を全体として考える「所管の全体最適」を考えなければなりませんが、それをも超え、所管政策もまたその一部である日本と世界のことを考える「大きな全体最適」の思考が必要となります。がむしゃらに所管政策を広げて「所管の全体最適」を確保したとしても、数十年の単位で見れば「大きな全体最適」になっていなかったこともありえます。
ただしこの問題の基本には、日本社会がどのような方向に進んで行くのか、将来の構想が必要です。各省と各局は、それに従って目標を考えるからです。将来の日本社会をどのようなものにするか。その構想は本来、首相をはじめとする政治家の役割です。

もう一つ、これからの官僚には、自らの人生を企画するという能力、あるいは意思が必要になることも挙げておきます。

官僚に求められるものの変化の次に、職場側の変化を議論します。若者に敬遠される職場をどのように改善するかです。その第一は、労働時間の短縮です。

連載「公共を創る」第174回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第174回「政府の役割の再定義ー課題解決型思考と構想力」が、発行されました。

前回から、成熟社会において官僚に求められる能力を考えています。
その第一は、課題解決型思考です。発展途上期には、産業振興、インフラ整備、公共サービス拡充が主たる任務であり、それが社会の課題解決になりました。しかし、それらがほぼ出そろったことで、これらの分野では既存制度の運用が主になりました。制度運用に力を注いでいると、そこに安住し、新しい課題への取り組みがおろそかになるのです。
そして、新しい課題への取り組みには現場を知ることが必要ですが、これまで欧米からの制度輸入に慣れ親しんできた官僚には、それが得意ではないのです。
実施手法も変わります。施設整備や一律のサービスといった提供者側の考えから、困っている一人一人を相手にしなければなりません。

その二つ目は、構想力です。個別の問題を拾い上げる課題解決型思考とともに、政策全体や社会を考えて、どのような方向に持って行くかを考える能力です。

連載「公共を創る」第173回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第173回「政府の役割の再定義ー成熟社会において官僚に求められる能力とは」が、発行されました。
第171回から、これまでの官僚に求められた能力を解説しています。その中で、「変な能力」についても説明しています。「理不尽なことに耐える能力」「滅私奉公」などです。

次に、官僚を支えた心理を説明します。給料が驚くほど高かったわけでもないのに、私生活を犠牲にして長時間労働に耐えたのです。志を持ってこの職業を選んでいますが、志だけで長い職業人生を続けることはできません。彼らを支えたのは、やりがいだったと思います。社会をよくすることが目に見えたことであり、それに伴う社会的評価です。

次に、これから必要とされる能力について解説します。

連載「公共を創る」第172回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第172回「政府の役割の再定義ー官僚に求められる「交渉能力」とは」が、発行されました。

これまでの官僚に求められた能力について説明しています。前回から、官僚が国家全体の利益を考えず、自身の属する省庁や局の利益を優先することがあった点について論じています。
官僚はそれぞれの政策分野での専門家です。しかし、社会や国家全体を忘れて専門分野の利益拡大に力を注ぐことがあったのです。省庁の幹部候補生(上級職。現在の総合職)を育成する際、省内(業界や専門機関を含んでいました)ではさまざまな分野を経験させるのに、省外に出して幅広い視野を身に付けさせることはしませんでした。

官僚には、理解力と説明力という「頭の良さ」とともに、交渉力もあります。官僚は実務家ですから、必ず折衝の相手がいます。折衝には、自らの考えを相手に理解してもら
わなければならない場面だけでなく、相手からの提案や依頼を断ったり後回しにしたりする場面があります。その際には自説を述べるだけでなく、相手に納得してもらう必要があるのです。

このほかにも、官僚に求められた「変な能力」があります。例えば、理不尽なことに耐える能力です。時に、国会議員に無理難題を吹っ掛けられたり、与野党に対する説明の場で厳しい追及に遭ったりするのです。

年内はこれで終わり、新年は1月11日号からです。