投稿者アーカイブ:岡本全勝

連載「公共を創る」第30回

2020年1月10日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第30回「社会的共通資本 資本の継承により安定社会が持続」が、発行されました。
前回から、社会の財産を説明しています。私たちが社会で暮らしていく際に必要な、「装置や環境」です。

これらの社会の財産を、社会的共通資本として整理しました。
すると、自然資本(自然環境)、施設資本(いわゆる社会資本、インフラ)、制度資本(各種サービス)、関係資本(ソーシャル・キャピタル)、文化資本(気風や助け合い精神、民主主義を支える精神など)と、分類することができます。
そこには、目に見えるもの、これまで行政が力を入れてきたものの他に、重要なものがあります。

困るハイブリッド語

2020年1月10日   岡本全勝

1月9日の日経新聞「私見卓見」は、玉盛映聿・内閣府沖縄総合事務局道路案内標識ローマ字英語表示検討会委員「意味不明瞭なハイブリッド語見直しを 」でした。

・・・在日外国人の友人たちが「日本のハイブリッド語は理解するのが難しい」と言う。ハイブリッド語とは、日本語にアルファベットをミックス(混在)させた表記のことだそうだ。日本語はなんとか理解できても、アルファベットがわからない。外国語のつづりなのか、日本語のローマ字表記か、あるいは和製の外国語か、区別がつかずに困るという・・・
・・・観光客向けレンタカー案内の「1BOXカー」。「ワンボックス」と読む和製英語だ。日本語を覚えた友人は「いち・ボックス」と読んでしまったそうだ。求人広告の「ネイルOKクリニック」もわからない。注意書きを読んで、若い人のネイル(付け爪)をOK(許容)している職場であるクリニックだと理解できたという・・・
・・・訪日外国人客の8割がアジアからである。英語圏からの観光客と違い、アルファベットは苦手だという声が多い。そこで観光ルートの案内標識と関連施設では、中国語、韓国語、タイ語などの表記を用意している。しかし街中は依然、英語、フランス語、イタリア語などの単語に日本語のローマ字と和製外国語が混在したハイブリッド表記であふれている・・・

同感です。英語らしく表記した会社名や商品名は、日本語の文脈になじまないのです。
例えば、JR(ジェイアール)です。これだけでは、初めて見た人は、鉄道会社とは思わないでしょう。また、この単語を日本語の文章の中に入れてみてください。JRでは、据わりが悪いですよね。俳句や短歌には、「ジェイアール」で入れるのでしょうか。みんなが利用する鉄道ですから、もう少しわかりやすい略称はないのでしょうか。

最近よくニュースで取り上げられる「IR」も、わかりませんね。複合観光施設だそうです。これもよくわからない。カジノがある行楽地だそうですが。カジノも日本語ではありません。しいて言えば、賭博場でしょうか。
マンションの名前にも、訳のわからない、英語のような表記やカタカナ語があります。それがかっこよいと思っているのでしょう。

現代人の造語能力の低下を、嘆きます。明治人は苦労しながら、西洋語を日本語に置き換えました。哲学、化学、科学などなど、これが英語をカタカナにしただけの言葉(フィロソフィー、ケミカル、サイエンス)になっていたら、私たちも理解するのに苦労したでしょう。

かつて、次のようなことを書きました。「私の嫌いな言葉」(2006年4月26日)
「ロシアに出張したとき、同行した職員がロシアの友人への土産に「外来語辞典」を持って行きました。彼はロシアで暮らしたことがあり、日本語を勉強している友人への土産だというのです。私は、最初その意味が分かりませんでした。
「何で、そんなの持って行くんや」
彼曰く、「ロシア人にとって、日本語を勉強するとき、カタカナ英語は分かりにくいものなのです」・・・」
この項続く

労働における負の連鎖

2020年1月9日   岡本全勝

12月31日の日経新聞経済教室、小原美紀・大阪大学教授の「貧困の現状と対策(下)労働巡る負の連鎖を断ち切れ」から。

・・・日本の世帯間格差は2000年代後半まで緩やかに拡大した後、高止まりしている。18年の経済協力開発機構(OECD)統計によれば、他の先進諸国でも同じ傾向にある。先進国の格差拡大の背景には高齢化の進展がある。加齢とともに世帯間格差は通常拡大するので、高齢者が増えれば社会全体の格差は大きくなる。
また技術革新とともに教育を受けた者とそうでない者の差も拡大したといわれる。高度な技術を使える者への収益が相対的に増えたことに加え、技術に見合う教育を受ける者が増えていないことも指摘される。
だがこれらだけでは日本の世帯間格差の特徴を説明できない。日本では働いているかどうかの差よりも、働いている者の中での格差が拡大している。特に低所得階層の増加が背景にあるといわれる。これは所得よりも、包括的な世帯の厚生(満足度)を表すとされる消費でみた場合にも当てはまる。多くの先進国でみられる高所得層がますます富む現象とは異なる特徴だ・・・

・・・このように、働きながらも低い階層に分類される世帯の経済厚生は低いとされる。その何が問題なのか。一つにこのグループに属する世帯が将来を考えた行動をとりにくいことがある。例えば不慮の事態、特に好ましくない出来事の発生に備えた貯蓄や投資がなされにくい。そして予備的行動をとれない世帯の方が、負の出来事に直面する確率が高く、発生したときの厚生の損失が大きい可能性もある。このことは個々の世帯の問題にとどまらない。社会全体の厚生の損失だ。
さらにそうした世帯に子供がいれば、予備的な行動をとらないことは長期的な厚生の損失につながる。次世代への負の連鎖である。「Great Gatsby Curve」として知られるように、格差が大きい国で階層移動が少ないという関係がある。これによれば格差が大きい社会では、低所得階層の親から生まれた子供が低所得階層にとどまる確率が高い・・・

・・・貧困層を含む低所得階層で負の連鎖が起きる背景に意欲を持てないことがあるのならば、推奨される行動をとったときに得られる便益を高める必要があるだろう。例えば子供が医療サービスを受けるといった将来のためになる消費に対する補填が求められよう。子供の厚生でいえば、子供が選択する高等教育への補助拡充も望まれるだろう。消費に対する補助ならば、労働意欲を阻害しない。
労働に関する負の連鎖については、厚生の損失が長期にわたり発生するならば、なるべく早い段階でそれを断ち切る政策が必要だろう。若い時点の方が高い生産性を引き出せるし、社会への貢献も大きい。
貧困層を含む低所得層への補助政策には反対意見も聞かれるが、その多くは意欲を阻害することに対する批判だ。そもそも最初に生活困窮状態に陥ったのは、本人の非によるものだけではない。また理由は何にせよ、生活困窮に陥った者の生活補填は社会的費用となる。さらに格差の存在が機会の平等をゆがめることで階層移動の少なさにつながっているならば、政策で是正されるべきだろう。
次世代の高い生産性を引き出すためにも、貧困層の意欲を阻害しない補助政策が社会全体のため必要だ・・・

災害時施設運営管理者研修

2020年1月8日   岡本全勝

災害時施設運営管理者研修を紹介します。NPOの「ダイバーシティ研究所」が行っている研修です。

災害時に、多くの人が近くの施設、公民館や体育館などに避難してきます。そこが、避難所に指定されていても、いなくてもです。
ところが、それらの施設の職員は、必ずしも、避難所運営の知識と経験を持っていません。さらに、近年は、公共施設の運営が民間委託され、職員が公務員でないことも多いのです。電気設備の保守点検の専門家や運動の指導員だったり。

これまでは、「緊急時だから、仕方ないよな」と言っていたのですが、これだけ災害が多発し、避難所暮らしが長引くと、そうも言っておられません。
生活環境も充実しつつあります。例えば、床にマットや畳を敷く、プライバシーのために間仕切りを作るなどです。
避難所運営の知識と経験の差で、避難所での混乱を防ぎ、避難者により快適な生活を送ってもらうことができます。

この研修は、東日本大震災や熊本地震等で実際に避難者支援活動に携わった経験や知見に基づき作成された研修プログラムです。
良いところに、目をつけてくださいました。
各自治体の方に、お勧めです。