投稿者アーカイブ:岡本全勝

連載「公共を創る」第34回

2020年2月21日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第34回「社会的共通資本 低い共助意識と政治参加意識」が、発行されました。

前回に続き、日本の文化資本の弱点を列挙しました。
意外なことに、共助の精神も、諸外国に比べて低いのです。それも、極端にです。困っている見知らぬ人を手助けする、慈善団体に寄付する、ボランティア活動をするなどの調査です。
また、投票には行きますが、政治への関心も極端に低く、さらには政治にかかわりたくない人が多いのです。
次に、仕事への熱意も低いのです。会社人間が多いといわれていますが、実はそうではないのです。長時間働いていますが、積極的ではないのです。これは、拙著『明るい公務員講座 管理職のオキテ』でも取り上げました。

日本人論には、不正確な話がたくさんあるようです。

移民の受け入れと日本文化の維持

2020年2月21日   岡本全勝

2月14日の日経新聞経済教室、フランソワ・エラン、コレージュ・ド・フランス教授の「移民問題を考える(上) 「経済利益」偏重の政策 避けよ」に、次のような指摘があります。

・・・日本は明治時代や終戦後などの時期に、外国文化との衝突に伴う深刻なアイデンティティー(主体性)の危機を乗り越えてきた。そのたびに日本文化は生き残った。世界の人々が憧れる日本文化は、文学、伝統芸能、食事作法、技術革新などにより拡散している。日本を訪れる旅行者は、人間関係、居住空間、自然との共生、洗練された文字、文化遺産といった日本文化の魅力に圧倒される。

人口に占める移民割合が10%になったからといって日本文化が脅かされるようなことがあるのだろうか。日本人は、自身の文化は外国人の流入に対して脆弱だと思っているのだろうか・・・フランスで過激化した一部の集団による襲撃事件が発生しても、フランスの社会や文化は揺らぐどころか、かえって頑強になった。ここにパラドックスがある。

硬直的な社会は頑強でなく、閉じた社会は持続的でない。民族的な均一性を守ることは安心感をもたらすかもしれないが、それは長期的には維持できない神話だ。日本文化自体も様々な起源を持つ。日本文化とは、元のそうした多様性に投げ込んだ網の中身であり、あちこちで釣ってきた要素の組み合わせではない。
現在、偉大な国の文化は外国で輝き、音楽や料理は世界を駆け巡っている。人間も同様かもしれない・・・

銀座三越で、被災地応援販売会

2020年2月20日   岡本全勝

東日本大震災被災地で、昨年10月の台風19号で被害にあった地域の事業者を支援するための販売会を、銀座三越9階銀座テラスで開催します。
台風19号被災地東北事業者応援マーケット」です。
2月23日(日曜日)、24日(祭日)10:00~18:00
出店団体は、次の通り。
・岩手県釜石市 かまいしDMC
・宮城県丸森町 一社)筆甫地区振興連絡協議会
・福島県国見町 株式会社陽と人

民間企業から復興庁に出向してくれている職員たちと先輩たちが、企画してくれたそうです。
ありがとうございます。

イオンとセブンイレブン、勝利の後に

2020年2月20日   岡本全勝

2月13日の日経新聞オピニオン欄、中村直文・編集委員の「流通0強の時代に セブン・イオン、拡大の大義薄れる」から。イオンがスーパー業界で、セブンイレブンがコンビニで、拡大路線で勝利したことを紹介した後で。

・・・流通2強の競合時代を振り返れば、安さだったり、便利さだったり、消費者が望む"大義"が成長の原動力となってきた。2強は平成の三十数年の間、ショッピングセンター(SC)とフランチャイズ(FC)に金融を絡めたモデルでのしあがった。物量の規模で他社を圧倒、生活インフラとしての価値を生み出した。
ところが、追いすがる敵のいない頂上で、予想もしなかった逆風にさらされている。新しいデジタル消費の現実、アマゾンなど外資の攻勢に対して、足元を固めるのに精いっぱい。勢いが感じられない。業界内、消費者に対して大義を示せないのであれば、それは強者とは呼べない。その意味で、流通は「0強」の時代に突入した。

恐らくこの先、イオンとセブンを中心とした再編劇は見られなくなる。撤退した小売りや店舗の買い手はつかず、各地に荒涼とした風景が広がりそうだ。
1月に突如営業を終了した山形市の百貨店、大沼はその最たる例といえる。00年代、地方中心都市の百貨店なら必ず買い手がついた。三越伊勢丹ホールディングスが系列化を進めた札幌の丸井今井、福岡の岩田屋などがそうだ。これからは単に空き店舗になるだけ。山形県に続き、百貨店の空白県が生まれるだろう・・・

・・・日本経済の本質は海外のコンセプトやアイデアを企業がうまく取り込み、日本人の感覚に合う形にかみ砕き、市場を広げたところにある。流通だけでなく、メーカーも同じだ。島国であることも奏功し、外資からの攻勢を免れた。
だが、デジタル時代で風景が変わった。実物に頼らない経済のソフト化はアイデアなど知的資産がものを言うし、リアルタイムの勝負になる。産業界はこのことを理解しながら手を打てていない。かつての強者が苦しむ姿は流通だけではない。電機、情報機器など様々な分野で、業界をけん引してきた巨人企業が方向感を見失っている。ネット産業も強者は海外。国内に世界企業はいない。

もっとも消費者は楽しんでいる。アマゾンやフェイスブック、ディズニーランドやユニバーサル・スタジオを。だがこれでは国力があがるとはいえない。インバウンドであれ、アウトバウンドであれ、世界で売れるグローバルコンテンツがない限り、どんどん国民の消費の棚は海外で埋め尽くされる。令和の時代、自立性なき未来を楽しんでばかりもいられない・・・

男の育休を妨げる日本型労働慣行

2020年2月19日   岡本全勝

2月14日の朝日新聞オピニオン欄「男の育休 逆風のわけ」。中原淳・立教大学教授の「昭和な同調圧力への悲鳴」から。

・・・小泉進次郎さんの育休は、男性の育休について議論を呼び起こした一方で、この話題が人々の間に、感情的ねじれや反発を呼びやすいことも明らかにしました。反発の中には、「職場では育休をとりたいなんて口にすらできない」というものもありました。育休をとりたくても職場の同調圧力でとれない様子が、叫びのようにこだましています。
背景には、日本企業独特の職場風土や働き方の問題、さらには「メンバーシップ型雇用」という慣行があります。決まった職務に人をつけるのではなく、人に仕事をつけていくという雇い方をします。職場の中で、どこまでが自分の仕事かが明確でないので、仕事が終わっても帰ることができません。同調圧力が強くなり、長時間労働が横行します。しかしそれに耐えられれば終身雇用が保障されます。

高度経済成長期に広がった働き方ですが、時代は変わりました。産業の中心が製造業から、知識の陳腐化が早いIT・サービス業に移り、企業が同じ従業員を長期雇用することは難しくなっています。

ところが昭和モデルが染みついた上の世代は「暗黙の前提」として、育児は女性がするものという性別役割分担意識を持っています。そういう意識は会社の中でも再生産され、職場の中に広がります。 人手不足ですから、育休をとられると回らない、という経営者もいるでしょう。しかし本当に回らないのか、暗黙の前提を排して考える時です。このままでは、共働きしたい若い男性は会社から逃げだし、さらに人手が足りなくなります。それでも変われないという経営者は、市場から退場するしかないでしょう・・・