選挙を伴う権威主義

5月10日の朝日新聞夕刊、東島雅昌・東京大学准教授の「権威主義の国、民主主義の国 現実の政治は何色か」から。

・・・一方において、独裁政治の特徴は近年大きく変化している。スターリンやヒトラー、毛沢東といった歴史上の独裁者たちは暴力と抑圧を用いて体制の力を誇示した。対照的に、シンガポールのリー・クアンユー、ベネズエラのチャベス、カザフスタンのナザルバエフなど現代の独裁者たちは、利益誘導によって人々の「自発的支持」を取り付け、選挙ルールを戦略的に変更して自らの望む選挙結果を得るなど、剥き出しの暴力と不正にできる限り依存しない統治手法をとる。権威主義も民主主義を装うようになっているのだ。

 他方、長らく安定した民主主義であった国々でポピュリスト政治家が台頭し、人々の権利や自由が脅かされている。政治指導者の横暴を抑止する権力の抑制と均衡の仕組みは、一部のエリートの既得権益を守り、「真の民意」を損なうものだと攻撃される。党派の異なる支持者たちの暴力的対立も起きている。

 公正で自由な選挙は現代民主主義の基礎であり、それが独裁制と民主制を分ける試金石だ。しかし、このことをもって、「抑圧=権威主義、自由=民主主義」という図式で世界を色分けすることはできない。「民主主義陣営」と「権威主義陣営」の二項対立が取り沙汰される今、我々が予断を排して現実の政治を観察する必要性は、これまでになく高まっている・・・

新型コロナウイルス予防接種6回目

先日、新型コロナウイルスの予防接種をしました。これで6回目です。区役所からの指定をインターネットで変更して、近所の行きつけの病院で打ってもらいました。今回の副反応は、少なくてすみました。

医者からもらった接種済証によると、次のように書かれていました。
第1回、2021年6月
第2回、2021年7月
第3回、2022年2月
第4回、2022年7月
第5回、2022年11月

最初のころは、新型コロナの症状も心配でした。集団接種会場に行ったり、大変でしたよね。最近は慣れてきたのと、時間が経ったので、当時のことが遠い昔のことのように思えます。

連載「公共を創る」目次6

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第4章 政府の役割再考
3 政府の役割の再定義
(1)社会の変化と行政の役割
5月25日 151政府の役割の再定義ー橋本行革における4分類
6月1日 152政府の役割の再定義ー試案─国家の役割と機能の分類
6月15日 153政府の役割の再定義ー課題の転換を迫る背景
6月22日 154政府の役割の再定義ー社会像と行政手法の転換
7月13日 155政府の役割の再定義ー「生活者省」設置の提言─「安全網」への転換を明確化
7月20日 156政府の役割の再定義ー福祉提供国家から安心保障国家へ
7月27日 157政府の役割の再定義ー官僚の役割─現状分析
8月3日 158政府の役割の再定義ー官僚の役割─行政改革の影響
8月17日 159政府の役割の再定義ー官僚の失敗─官僚機構の機能不全
8月24日 160政府の役割の再定義ー政策の失敗、政策転換の遅れ
9月7日 161政府の役割の再定義ー改革は「できるもの」─私の経験
9月21日 162政府の役割の再定義ーなぜ官僚は新しい仕事に取り組まないのか
9月28日 163政府の役割の再定義ー改革の仕組み方と官僚機構の転換方策
10月5日 164政府の役割の再定義ー公務員の「目標」
10月12日 165政府の役割の再定義ー組織の目標と幹部の役割
10月26日 166政府の役割の再定義ー組織の目標と評価ーそのあるべき姿を探る
11月2日 167政府の役割の再定義ー組織における評価のあり方
11月9日 168政府の役割の再定義ー日本の経済と働き方の特徴
11月16日 169政府の役割の再定義ー日本型の雇用・職場慣行がもたらした悪影響
目次7」へ続く

先生と生徒との対話

5月9日の日経新聞教育欄、三田村裕・東京都八王子市立上柚木中学校長の「教員と生徒の対話時間創設」から。

東京都八王子市立上柚木中学校は全8学級、生徒数260人ほどの小さい中学校である。本校は2022年度から週1回「ユニバタイム(UT)」という時間を設けた。この名称はユニバーサルタイムの略で、様々な生徒を分け隔てなく支援で包む時間にしたいとの思いを込めた。
その基本は教員が生徒と一対一で向き合うことにある。複数の生徒と教員1人でもいい。勉強、部活動、進路、友人関係など生徒が話したいことを話したい教員と対話する。補習を受けたければそれもありだ。

UTは水曜日の5時間目に2コマ(1コマ20分)設定。教員は1コマずつ違う生徒と話すことが基本だが、40分間通しで対話することもある。生徒が話したい教員や相談内容を記入した申込書を担任に提出すると、当該の教員から時間や場所を指定した「招待状」が担任経由で届く。
UTの時間を確保するため、毎週水曜日は4時間授業にした。午後0時半過ぎに4時間目が終わるとUTのない大多数の生徒は給食後下校し、午後3時まで自宅学習に取り組む。
しかし、最初は生徒から申し込みがないことが予想された。生徒全員に教員と一対一で話すことのよさを実感させる必要もあると考えた。そこで22年度は生徒全員に1回、UTを体験させるようにした。多い教員は38人から申し込みがあり私も十数人と対話した。

1970〜80年代のように中学校が荒れた時代と異なり、今は素直で穏やかな生徒が多い。大人が理想とする子どもの姿を知っていて、それが彼らの行動基準にもなっている。
これは悪いことではないが、自らエネルギーを発動し自ら考え行動する点が弱い。だがこうした力こそ、これからの時代に求められるものである。
そこで本校は22年度、校訓を「自主自律」から「自己決定 自己実現」に変えた。我々の理念である「一人ひとりを大事に」を実行しながら自己実現を図れるようにする。UTはそれを具体化するのに貴重な一歩であると考えている。

40年間の手帳

思い立って、本棚に積んであった、これまでの手帳を引っ張り出しました。なんと、昭和58年(1983年)、鹿児島県庁に赴任した年からのものが、欠けることなく残っていました。合計40冊、40年分が残っていたのです。
それ以前は社会人になってから、ノートほどの大きさのものを使っていました。今回探しましたが、見つからないので、多分捨てたのでしょう。

かつては、背広の内ポケットに入れていたので、この大きさのものを使っていました。見開き2ページで、1週間分です。それに慣れたので、引き続きこの大きさです。いくつか例外がありますが、最初は鹿児島県の県民手帳、その後に富山県の県民手帳、最近は国会手帳です。昔の手帳は、1週間が、日曜日から始まっていました。

手帳は、毎日の予定と出来事を書いてあるので、半年や1年で何をしたか、何を考えていたかも書かれていません。ブローデルの言う短い出来事の時間であって、中期的、長期的時間が分からないのです。とはいえ、カンボジアPKO出張の行動記録は確認できました。さて、そのほかのページに目を通すことはあるでしょうか・・・。