10連休対策

今年は4月27日から5月6日まで、10連休です。
多くの勤め人にとっては、朗報なのでしょうが。連休の際にいつも書きますが、暦通りに休める人って、意外と少ないのです。病院、警察、消防を始め、商店や交通関係も。サービス業は、かき入れ時のところもあります。行楽地は、特にそうでしょう。NHKのニュースを見ていたら、暦通りに休める人は、約半分だそうです。

すると、休みを楽しむ人たちの影に、そこで働いている人、そしてお父さんお母さんもたくさんいます。テレビニュースが「行楽地では連休を楽しむ家族連れが・・・」と報道する度に、「僕んちは、旅行に行かないの」と子供に詰め寄られている、お父さんもいるのでしょうね。このようなニュースも、意外と罪作りです。

休みが続くと、困ることもあるようです。保育園やゴミ集めなどは、特別な対応を取るところも多いようです。日給制の人からは、ぼやきも聞かれます。
私は、10連休です。仕事をしてくださる人たちに感謝します。
皆さんも、春の休日をお楽しみください。

連載「公共を創る」全体の構成

(全体の構成、予定)
目次1」「目次2」「目次3」「目次4」「目次5」「目次6」「目次7

第1部 町とは何か
第1章 大震災の復興で考えたこと
1 想定外が起きたー政府の役割を考える(連載第3回~8回)
(1)東日本大震災の衝撃(2)試された官僚の能力(3)これまでにない対策
2 町を再建するーまちとは何か(連載第9回~11回)
(1)町を作り直す難しさ(2)町を復旧する(3)暮らしを再建する(4)町のにぎわいの3要素
3 哲学が変わったー成長から成熟へ(連載第12回~23回)
(1)神話の崩壊(2)成熟社会の行政(3)主体と手法の拡大(4)変貌した社会への対応
第2章 暮らしを支える社会の要素
1 公私二元論から官共業三元論へ(連載第24回~28回)
(1)社会の要素(2)社会を支える3つのシステム(3)非営利活動の重要性
2 社会的共通資本(連載第29回~38回)
(1)社会の財産(2)この国のかたち(3)次代への責任

第2部 社会は変わった
第3章 日本は大転換期
1 成長から成熟へ(連載第39回~50回)
(1)昭和後期の経済成長(2)平成の停滞
2 成熟社会の生き方は(連載第51回~70回)
(1)豊かな社会の不安(2)満足による停滞(3)生き方の模索
第4章 政府の役割再考
1 社会の課題の変化(連載第71回~96回)
(1)社会のリスクの変化(2)新しい不安への対応(3)個人の責任と政府の責任
2 社会と政府(連載第97回~150回)
(1)社会を支える民間(2)政府の社会への介入(3)社会をよくする手法
3 政府の役割の再定義(連載第151回~)
(1)社会の変化と行政の役割(2)政治の役割
第5章 社会は創るもの

連載「公共を創る」目次1

時事通信社『地方行政』に、2019年4月から連載。
これからの行政を、これまでの行政の範囲を超えて、より広い視野で考えようと思います。私たちの暮らしとそれを支えている社会が、大きく変化しています。住みよい社会をつくるには、広く公共を考え、その中での行政が果たすべき役割を考える必要があるのです。「全体の構成」「執筆の趣旨」「日誌のページへ」「目次2」「目次3

(目次)
2019年
4月25日 1はじめに 公共を考える
5月9日 2はじめに 公共とは何か

第1章 大震災の復興で考えたこと
1 想定外が起きたー政府の役割を考える
5月16日 3想定外が起きた―政府の役割を考える 東日本大震災の衝撃
5月23日 4想定外が起きた―政府の役割を考える 何をするかを考える
5月30日 5想定外が起きた―政府の役割を考える 試された官僚の能力
6月6日 6想定外が起きた―政府の役割を考える これまでにない対策
6月20日 7想定外が起きた―政府の役割を考える 被災地へのさまざまな支援
6月27日 8想定外が起きた―政府の役割を考える 未曾有の震災に前例のない政策を

2 町を再建するーまちとは何か
7月4日 9町を再建するーまちとは何か 町をつくり直す難しさ
7月11日 10町を再建するーまちとは何か 町を復旧・復興する
7月18日 11町を再建するーまちとは何か 町のにぎわいの3要素

3 哲学が変わったー成長から成熟へ
8月1日 12哲学が変わった-成長から成熟へ 東日本大震災が覆した常識
8月8日 13哲学が変わった-成長から成熟へ 発展の暴走に制御が必要
8月22日 14哲学が変わった-成長から成熟へ 震災を機に行政の役割も変化
8月29日 15哲学が変わった-成長から成熟へ 成熟社会に入った日本の行政
9月5日 16哲学が変わった-成長から成熟へ 町を支える民間
9月12日 17哲学が変わった-成長から成熟へ 民間との連携
9月19日 18哲学が変わった-成長から成熟へ 公共を支える民間
9月26日 19哲学が変わった-成長から成熟へ 自立への支援
10月3日 20哲学が変わった-成長から成熟へ 非正規雇用があぶり出したこと
10月10日 21哲学が変わった-成長から成熟へ 日本型行政にはまらない課題
10月17日 22哲学が変わった-成長から成熟へ 平成時代は日本社会の曲がり角
10月31日 23哲学が変わった-成長から成熟へ 日本型行政の曲がり角

第2章 暮らしを支える社会の要素
1 公私二元論から官共業三元論へ
11月7日 24公私二元論から官共業三元論へ 公私の区分
11月14日 25公私二元論から官共業三元論へ 公私二元論の問題
11月28日 26公私二元論から官共業三元論へ 政府と共助と企業が支える公共
12月5日 27公私二元論から官共業三元論へ 民間非営利活動
12月19日 28公私二元論から官共業三元論へ 中間集団の意義

2 社会的共通資本
12月26日 29社会的共通資本 地域で安心して暮らす条件とは
2020年
1月9日 30社会的共通資本 資本の継承により安定社会が持続
1月23日 31社会的共通資本 文化資本がつくる社会の違い
1月30日 32社会的共通資本 憲法と文化資本
2月13日 33社会的共通資本 社会の変化に応じて変更を
2月20日 34社会的共通資本 低い共助と政治参加
2月27日 35社会的共通資本 不変ではない国民の意識や習慣
3月5日 36社会的共通資本 「この国のかたち」を変える
3月12日 37社会的共通資本 働き方改革の重要性
3月26日 38社会的共通資本 住民参加で文化資本を変える
目次2」に続く。

『イタリア史10講』

北村暁夫著『イタリア史10講』(2019年、岩波新書)を紹介します。
本書の「あとがき」にも書かれているように、イタリアの歴史といえば、私たちは、すぐに古代ローマやルネッサンスを思い浮かべます。しかし、それはイタリアを舞台にした歴史であって、イタリアという国家は、たかだか150年ほどの歴史です。「イタリア国民をつくる」。
この素材をどのように「料理する」のか。そのような関心を持って、読みました。

様々な歴史上の出来事や変化を、どのような視角で切り取るか。そこに、歴史家の力量が示されます。「歴史の見方の変化」「文化史とは何か」。
その点では、「歴史10講」シリーズでは、近藤和彦著『イギリス史10講』(2013年)が出色です。このホームページでも、何回か取り上げました「覇権国家イギリスを作った仕組み」。
昨今のイギリス政治の混迷も、この国の分裂と統合の歴史、政治の機能を見ると、そんなに意外なことではありません。

そして、私たちが意外と知らないのが、現代史です。イタリア現代史では、伊藤武著『イタリア現代史』(2016年、中公新書)があります。

「金融政策の効果は金融資産価格の上昇だけだった」

4月19日の日経新聞オピニオン欄、ファイナンシャルタイムズのラナ・フォルーハーさん「金融政策の限界直視せよ」から。

・・・トランプ氏は、FRBを自分の言うことをすぐ聞く取り巻きで埋め尽くすことしか考えていないが、重要な真実に光を当ててもいる。金融政策はこの10年、実体経済よりも市場にばかりプラスに働く面が大きかったという真実だ。
以下の数字を見てほしい。米国の時間当たりの実質賃金は10年の年初以降6%しか上昇していないが、実質的な不動産価格は20%以上、株式市場の時価総額(インフレ調整済み)は倍増した。家計所得は雇用が拡大したおかげで賃金より大きく伸び、10~17年に10%増えたが、資産価格の上昇には及ばない。一方、米国の格差拡大は07~16年、過去最高を記録した。

企業債務の国内総生産(GDP)比率が過去最高水準に達していることを含め、こうした事態はFRBが様々な努力を重ねる中で、意図せずして招いた結果だ。FRBは資産価格を押し上げることはできたが、経済成長を阻む主な問題を解決することはできなかった。これらはカネの不足から生じるものではなく、金融政策では解決できない深い課題を背負った問題だからだ。労働人口の高齢化や米国内の人の移動の減少、大企業による寡占化の進展などにより、求められているスキルと求職者のスキルにミスマッチが生じている。また技術革新が次々に起きることに労働市場が対応し切れていないといった問題に根ざしている。

これらの問題は、低金利や量的緩和だけでは解決できない。官僚ではなく、選挙で選ばれた行政の責任者たちが決める財政政策が必要ということだ。だが、今のような二極化した議会を抱えていては、政府がそうした政策を実現することはできない。
この難問には米国だけでなく、欧州も直面している。欧州では、欧州中央銀行(ECB)による量的緩和が経済のてこ入れにどれほど効果を上げたのか、そしてユーロ圏全体で緊縮財政を緩めた場合に得られるメリットを巡って、激しい議論が戦わされている・・・