今日の放課後、旧知の新聞記者さんと、意見交換会をしました。そこでの話題です。
「20年後に、新聞はどうなっているか?」
いろいろと悲観的な意見が出ましたが、私は次のように考えています。
新聞は、なくならない。ニュースを見るなら、インターネットで、素早くたくさんの記事を読むことができます。しかし、新聞の「機能」は、あふれるほどのニュースから、ある基準で選択し、そして優先順位をつけて、一定の紙面の中に納めてくれることです。
忙しい社会人としては、この機能はありがたいです。そしてこの「選択」が社会での「標準」になります。重要なニュースを知っていないと、会社でついて行けません。他方で、新聞に載っていない記事は、知らなくても恥をかきません。もちろん、常に記事の取捨選択や優先順位付けが「正しい」とは限りません。そこに、各新聞社の「考え方や趣味の違い」が現れます。朝日新聞と、読売新聞と、毎日新聞と、産経新聞との違いです。
もう一つの新聞の機能は、解説です。日々のニュースを流すだけでなく、それらを歴史的社会的背景から位置づけ、どのような意味を持っているかを解説してくれることです。もちろん、この機能は専門誌などが担うことでもありますが、新聞はお手軽です。
朝刊と夕刊が、毎日宅配されているか。これは、疑問です。自宅にあるプリンターで、印刷するようになるでしょう。新聞配達員はいなくなるでしょうね。
現在、日本語という「非関税障壁」に守られている「記事の内容」「解説の水準」についても、大きな変化を受けていると思います。グローバルな記事や解説が増え、それは日本語でなく英語になっている可能性が高いです。あるいは、英語の記事が翻訳されているでしょう。
20年後には、実際はどうなっているでしょうね。私の予想は、当たったためしがありません。苦笑。
月別アーカイブ: 2013年2月
先進民主国家体制の危機、2
・・・「新たな民主主義の危機」にわれわれは直面しているのだろうか。アメリカの大衆は間違いなくそう感じている。いまや市民は政治家と政府機関に対して、1975年当時以上に大きな怒りを感じている。1964年に実施された世論調査によれば、「常に、あるいはほとんどの場合、ワシントンは正しい判断をする」という見方に、アメリカ人の76%が同意すると答えていた。だが、70年代末までには、そう答える人は40%代後半へと低下し、2008年には30%へ、そして2010年には実に19%へと低下していた・・・
先進民主国家体制の危機
『フォーリン・アフェアーズ・リポート』2013年2月号、ファリード・ザカリア執筆「先進民主国家体制の危機―改革と投資を阻む硬直した政治」から。
・・・「民主主義の危機」という言葉を耳にするのは、今回が初めてではないだろう。1970年代半ばまでには欧米経済の成長は鈍化し、インフレが急速に進行していた。ベトナム戦争とウォーターゲート事件は人々の政治システムへの信頼を損ない、新たに力を得た社会活動家が、既存の体制への反対を表明しだしていた。
1975年の三極委員会リポート「民主主義の危機」で、米欧日の著名な研究者たちは、先進世界の民主国家政府は非常に大きな問題を前に、機能できなくなっていると指摘した。この報告でアメリカの分析を担当した政治学者のサミュエル・ハンチントンは、特に憂鬱な近未来を予測した。
だが、その後すべてがうまくいくようになったことを、われわれは知っている。インフレは落ち着きをみせ、アメリカ経済はブームに沸き返り、システムへの信頼も回復された。10年後に崩壊したのは、資本主義と西側ではなく、共産主義とソビエトだった。欧米の先行きを悲観する人の声もなりを潜めるようになった。
だが、それから20年もしないうちに、先進民主世界は再び暗い雲に覆われ、悲観主義が漂うようになった。経済成長が停滞し、ユーロが危機にさらされているヨーロッパでは、欧州連合(EU)そのものが解体するのではないかという声も聞かれる。日本ではこの10年間で8人の首相が誕生し、政治システムは分裂している。経済も停滞したままで、さらに衰退の道を歩みつつある。だが、これまで果たしてきたグローバルな役割からみて、おそらくもっともやっかいで危機的な状況にあるのはアメリカだろう・・・
富田林市講演会
今日は大阪府富田林市に、講演に行ってきました。求められたテーマはまちづくりでしたが、「復興から見た町とは何か」という観点で話しました。100人近くの方が、聞いてくださいました。
久しく、地方行政の現場から離れているので、勘を取り戻すのに少し苦労しました。共同通信社に寄稿した『被災地から見える「町とは何か」』を基礎にしましたが、この2年間に経験した実例を盛り込んで、臨場感ある話を試みました。どの程度、成功したでしょうかね。
毎度のことですが、これもしゃべりたい、あれも伝えたいと、話す内容はきりがありません。終わってからも、「あれを話せば良かった」と反省ばかりです。
参加者の皆さんへ(補足)。
今日お話ししたことに関連して、次のページをご覧ください。
お詫びの仕方。
支援物資を運ぶ。無償で協力してくださった企業。調達したもの。支援チームの仕事ぶり(ページの下に写真があります)。
ボランティアとの連携。企業との連携。
少し早めに行って、市内を案内してもらいました。富田林市は、南河内の中心地です。寺内町という古い町並みが、きれいに残っています。これだけの「面」で残っているところは、珍しいでしょう。お勧めです。もちろん、残すためには、大変な努力が必要です。
久しぶりの東海道新幹線でした。富士山がきれいに見えました。後は、集中して資料や本を読むことができました。引き受けた時は、一泊してゆっくりしようかとも考えたのですが、前日15日金曜日は夜まで仕事。明日17日は朝から福島で会議なので、とんぼ返りしました。現在の職場は、時間に余裕がなくていけません。
憲法を改正する力、民主主義
読売新聞2月10日「地球を読む」は、北岡伸一先生の「憲法改正の道筋」でした。
・・私は憲法改正に賛成である。護憲論には強い違和感がある。自分たちのルールを自分たちで作り、作り直すことは、民主主義の基本である。これを否定する護憲論は、民主主義の否定だと思っている。
しかも現行憲法は、占領軍が原案を書き、その監視のもとで成立した。戦争は懲り懲りだと思っていた国民は、戦争放棄などの内容を歓迎したが、十分な検討を経た上での賛成ではなかったし、占領下、強い言論統制のもとで憲法を作ることは国際法違反である。
とはいえ、制定から60年余、憲法は定着した。私は、制定経緯だけを理由に改正すべきだとは考えない。不都合なところがあるから改正が必要なのであり、そうしたところは順次変えていけばいいと考えている。その際、実効性が乏しく、リスクの大きい改正方針は避けるべきだと思う・・
ごく一部を引用したので、原文をお読みください。