カテゴリーアーカイブ:社会の見方

若者による殺人が減った

2022年12月13日   岡本全勝

12月3日の日経新聞「犯罪減っても体感治安は? 戦後最も安全 実感できぬ理由」には、若者による殺人が減ったことも書かれていました。

・・・殺人を犯す性別と年齢をみると、20代前半の男性に鋭いピークがある。「20代前半に自分の評価を高めるための個体間の強い競争が、特に男対男で生まれるから」(長谷川真理子さん)だ。世界で共通するこの傾向は「ユニバーサルカーブ」と呼ばれる。
ところが日本だけは20代前半の男性の殺人率が低下し始めた。長谷川さんはその理由を「失業率低下や終身雇用など労働環境の改善」に求め、経済情勢が悪化すれば再び増えると予想した。だが実際の殺人率は直近でも減り続けている。長谷川さんは「競争を避けるようになったことが一因」と分析する。若者の怒りは陰湿ないじめや自殺に向かってはいまいか・・・

図がついていますが、一目瞭然です。

犯罪が減っても体感治安は悪く

2022年12月12日   岡本全勝

12月3日の日経新聞に「犯罪減っても体感治安は? 戦後最も安全 実感できぬ理由」が載っていました。

・・・犯罪の認知件数は約20年で5分の1以下に激減した。日本の社会は数字上「戦後最も安全」であることを示す。しかし「治安は悪くなった」と感じている人は多い。なぜか。背景を探った。

刑法などに触れる刑法犯の認知件数は2002年の約285万件をピークに減り続け、21年は約56万件と7年連続で戦後最少を更新した。
減った原因はさまざまだ。刑法犯はバブル期の1980年代から増加傾向が鮮明になり、90年代後半に急増。「治安」が重要な政治課題になった。犯罪を防ぐ法改正や警察官の増員、頑丈なカギや防犯カメラの普及など官民挙げて対策を講じた。国民の防犯意識も高まった。地域の防犯ボランティアの数は03年の約18万人から20年末には約248万人に増えた。

法務省法務総合研究所によると、認知件数の減少は「刑法犯の7割以上を占める窃盗の件数が大幅に減少し続けた影響」が大きい。なぜ窃盗は減ったのか。防犯を研究する立正大学教授の小宮信夫さん(犯罪学)は「特殊な用具でカギをあけるピッキングが激減した。とりわけ中国から来た窃盗団がほとんど消えた。この20年で日中の経済格差が縮小したため、日本で稼ぐ必要がなくなった」とみる。

ところが、人々は安全や安心を実感していない。内閣府が1月に発表した世論調査では、日常生活での悩みや不安について「感じている」「どちらかといえば感じている」と答えた人は77.6%と過去最多になった。
警察庁が21年11月に実施した、この10年の日本の治安に関する関するアンケートでは、合わせて64.1%の人が「悪くなった」「どちらかといえば悪くなった」と答えた。いわゆる体感治安が悪化しているのだ。悪化を感じる人が思い浮かべた犯罪(複数回答)は無差別殺傷事件が約8割で最多。オレオレ詐欺などの特殊詐欺が約7割で続いた。
刑法犯が全体で減る中、特殊詐欺やネットを利用したサイバー犯罪など「非対面型」の犯行は増えている。21年のサイバー犯罪の検挙数は前年比約24%増の1万2275件と過去最多。「見えれば」身を守りやすいが、無差別殺人も特殊詐欺もサイバー犯罪も「相手が見えない」犯罪だ。「見えないことが不安をあおる」(小宮さん)・・・

宇宙への挑戦を支える民間の保険

2022年12月9日   岡本全勝

12月1日の朝日新聞に「民間初の挑戦、支える宇宙保険 三井住友海上、オーダーメイドで設計」が載っていました。

・・・日本の宇宙ベンチャー「ispace(アイスペース)」(東京)が、無人の月着陸船を打ち上げる。無事に月までたどり着けば、民間初の偉業となる可能性がある。その歴史的な挑戦を陰で支えているのは、日本の損害保険会社による宇宙保険だ。
民間初となる月探査計画「HAKUTO―R」で保険を引き受けるのは三井住友海上火災保険。アイスペースと共同で「月保険」を開発した。打ち上げから月面着陸までに起こりうる損害を切れ目なく補償する。月着陸船から発信されるデータによって異常を検知して、保険金を支払う仕組みだという。
三井住友海上は宇宙保険との関わりが古い。宇宙開発事業団(NASDA、現宇宙航空研究開発機構〈JAXA〉)初の人工衛星「きく1号」が打ち上げられた1975年、打ち上げ場所の周辺家屋などへの損害リスクを補償する「宇宙賠償責任保険」を国内で先駆けて開発した。以来、50年近く手がけてきた・・・

保険の起源の一つは、中世欧州での船舶保険です。航海は儲かる代わりに危険も大きく、その危険を分散したのが保険です。現在においても、これまでにない新しい事業に乗り出す場合には同じ問題があります。それを支えるのが、損害保険です。経済発展を支える大きな公共的役割があります。

小宮隆太郎先生

2022年12月5日   岡本全勝

11月24日の日経新聞経済教室は、八代尚宏・昭和女子大学特命教授の「小宮隆太郎氏の思想の原点 経済学に基づく政策目指す」でした。

・・・小宮隆太郎先生が逝去された。その経済思想の原点は「経済学の論理を現実の政策に生かすこと」にある。
東大助教授となった1955年当時の日本の経済学界は、観念的なマルクス理論が中心で、現実の経済政策は官僚の試行錯誤で進められていた。こうした中で、経済学の理論に反した様々な政策に対し、少数意見としての「小宮理論」を一貫して唱えてきた。
その対象は専門の国際貿易論を超えて、税制、企業金融、土地問題から経済計画まで幅広い分野に及ぶ、それは、経済学の理論はあらゆる社会問題の解決に貢献できるという信念に基づくものだ・・・

今の学生たちはには理解できないでしょうが、私が大学に入る前までは、日本の経済学、特に東大経済学部はマルクス経済学(マル経)が主流だったそうです。当時は「マルクス主義を理解しないと知識人ではない」くらいの位置づけで、ソ連や中共への(現実を知らない)憧れもあり、力を持っていました。で、私も少しかじりましたが、すぐにやめてしまいました。
八代先生がおっしゃる「観念論」が先にあり、それに歴史を当てはめます。現実経済の分析には、ほぼ役に立たない議論でした。

「マル経」に対し現在の経済学は、「近代経済学」「近経」と呼ばれていました。こちらは、はじめは難解でしたが、思考方法が理解できると、頭に入りました。マル経と近経の対立構図を知ったのは、もう少し後のことです。当時のマル経の先生方は、現在の経済学の状況をどのように見ておられるのでしょうね。

少子化の日本、国民の本音

2022年12月4日   岡本全勝

11月22日の日経新聞に「縮小ニッポン、私たちの本音 人口と世界 男女1000人アンケート」が載っていました。結婚、出産、育児についての意識調査結果が載っています。とても興味深いです。

「結婚はした方が良いと思うか」。人生を大きく左右する結婚について「そう思う」「少しそう思う」と考える人は51.5%だった。未婚化が進む中でも結婚に肯定的な意見はまだ多い。
年齢別にみると、やや様相が異なる。60代は6割超が結婚に肯定的なのに対し、20代と30代は5割に満たなかった。男女別では女性の方が結婚に慎重で、特に30代の女性は「そう思う」がわずか9%だった。
結婚が減っている理由を問うと、女性が結婚に慎重な理由がみえてくる。男女とも最多は「若年層の収入・賃金が低い」で6割超だが、「仕事のキャリアに影響する」は女性21.4%に対して男性は9.4%。出産・育児によるキャリアの断絶が結婚に二の足を踏ませている。
「出会いがない・出会いの機会が少ない」と考える人も全体の4割超と多い。特に20代、30代の女性は5割を超えた。国立社会保障・人口問題研究所の2021年の調査ではSNS(交流サイト)やアプリで出会った人が1割を超えた。婚姻支援は社会の変化を踏まえる必要がある。

結婚が減っている理由を問うと、女性が結婚に慎重な理由がみえてくる。男女とも最多は「若年層の収入・賃金が低い」で6割超だが、「仕事のキャリアに影響する」は女性21.4%に対して男性は9.4%。出産・育児によるキャリアの断絶が結婚に二の足を踏ませている。
「出会いがない・出会いの機会が少ない」と考える人も全体の4割超と多い。特に20代、30代の女性は5割を超えた。国立社会保障・人口問題研究所の2021年の調査ではSNS(交流サイト)やアプリで出会った人が1割を超えた。婚姻支援は社会の変化を踏まえる必要がある。

自分は親世代に比べて経済的に豊かになった――。こう考える人がわずか13.6%にとどまることが明らかになった。61.1%が豊かになっていないと答えている。
特にバブル崩壊後に生まれた20代は親世代より豊かだと考える人がわずか6.0%、豊かになっていないと考える人が63.5%に上った。一方で高度経済成長を経験した60代は豊かになったと考える人が24.5%だった。

山田昌弘・中央大教授の分析が載っています。
「そこそこ幸せ」で日本貧しく
結婚や出産が減っている理由として経済的要因を挙げた人が多かった。若年層だけでなく50~60代の親世代も若年層の家計に懸念を持っていることが調査で明らかになった。若年層への経済支援は不可欠だ。
結婚減の理由として50~60代女性の4割超が「独身者が親との生活に満足している」と答えたのも興味深い。一部の若年層は便利で快適な実家生活を捨ててまで結婚をしようと思わないのかもしれない。
移民は変化を好まない日本人の志向が表れた。移民のみならず日本社会は年代を問わず今のままでよいと考える人が多い。社会全体が豊かになり、目先の生活に困る人が減ったのが背景にあると考えている。日本人は徐々に貧しくなることは受け入れてしまう。社会保障費の増加も一定程度は受け入れつつ「そこそこ幸せ」を続けるのだろう。