カテゴリーアーカイブ:社会の見方

歩きスマホの危険

2021年11月4日   岡本全勝

道路や駅など公共の場で、歩きスマホはやめて欲しいです。私も、何度かぶつかりそうになりました。NHKが、大変な事故の例を紹介して、注意を喚起しています。

危険なのは自分だけではなかった」(11月2日掲載)
・・・「額にはプレートが埋め込まれています。大変な手術でした」
まぶたが紫色に腫れ上がった、痛々しい写真。全治1年以上の大けがで、今も仕事に支障をきたすほどだといいます。
この男性、誰かに襲われたわけでも、けんかしたわけでもありません。
原因は「歩きスマホ」でした・・・

死亡事故も起きています。
踏切で“待っていた”だけなのに…死亡事故はなぜ起きたのか」(9月8日掲載)
・・・事故が起きたのは、ことしの7月8日。
警視庁によると、亡くなった31歳の女性は駅の改札を出た後、踏切を渡ろうとした際にはねられたとみられています。
その時の様子が、現場周辺の防犯カメラに写っていたということです。
女性は午後7時半ごろに踏切を渡り始めました。この時、両手でスマートフォンを持ち、歩きながら画面を見ている様子だったといいます。
すると遮断機が下り始め、まわりの人たちは足早に踏切の外へ。
しかし、女性に急ぐ様子は見られませんでした。それどころか、下りた遮断機の手前で立ち止まったというのです。
そして数十秒後、左から来た列車にはねられ、亡くなりました。
警視庁が防犯カメラの映像を解析した結果、女性の顔は最後までスマホに向けられていたということです・・・

労働組合の役割

2021年11月4日   岡本全勝

10月25日の朝日新聞オピニオン欄「記者解説」、沢路毅彦・編集委員の「連合、新体制の課題 働き手多様化、目配りした運動を」から。

・・・連合は政策決定プロセスに深く組み込まれている。労働政策には、政府、労働者代表、経営者代表の「三者構成」で決めるという原則がある。労働政策審議会や最低賃金を決める審議会の労働者代表は、連合が推薦する委員が独占している。財政制度等審議会、法制審議会、産業構造審議会などにも労働者の代表として参加する。
連合に期待されているのは、非正規労働者を含めて働く人全体の利益を政策に反映させることだ。ところが、近年は政権との間合いの取り方に苦労している。
安倍・菅両政権下で連合の存在感は低下した。官邸の会議が多くの重要政策を決め、その大半で連合は外された。連合も参加したとはいえ、「働き方改革」も官邸主導。最低賃金引き上げも官邸の意向を反映した結果だ。
今の野党が政権をとれば問題が解決するわけでもない。かつて民主党政権実現に連合は力を発揮した。ところが、その政策が連合の主張とちぐはぐなことがあった。事業仕分けでは企業倒産時の「未払賃金立替払制度」の廃止が検討された・・・

・・・何より新体制に求められるのは、企業現場の変化に対応しながら、緊張感ある労使関係を作る取り組みだ。
働き方改革でテーマになった長時間労働の是正や、正社員と非正社員の格差を是正する「同一労働同一賃金」について政権が強く介入したのは、現場で労組が本来の役割を十分に果たしていなかったからだ。危機感は連合の今後2年間の運動方針に表れている。うたわれているのは「多様な働き手を含めた集団的労使関係」の強化だ・・・

地方の物産を世界に売り込む

2021年11月3日   岡本全勝

奥山雅之ほか著『グローカルビジネスのすすめ 地域の宝を世界80億人に届ける』(2021年、紫洲書院)を紹介します。概要は、アマゾンでの紹介、特に読者の書評(レビュー)をお読みいただくとして。

「海外に産品を売る」と聞くと、大企業が行っている商売と思いがちです。この本は、地方の物産、農産物や中小企業の製品を海外に売り込むことを書いた本です。
諸外国では地方の物産を海外に輸出しているのに、日本では国内市場が大きかったので、やってこなかったと指摘されています。
そうですね。明治時代からの戦前、そして戦後は、日本の産品を海外に輸出して儲けようという意識が国全体にあったようです。国内市場が大きくなかったからです。経済成長に成功する過程で、大企業や商社が輸出する構造が確立しました。他方で、地方の農産物や中小企業は国内市場で満足したようです。
「和僑会」、華僑の日本人版を作ろうという提言には、なるほどと思います。
インターネットや物流が発展して、海外から物を買うことも簡単になりました。ならば、日本各地の小さな企業も、海外に売り込むことは容易です。

近年の日本経済の停滞は、かつて以上に経済の国際化が進んでいるのに、日本がそれに乗り遅れていることが、一因です。経済成長に成功し、満足してしまったのです。日本人の留学生が減少していることも、「内向き」になったことを表しています。日本は、大学院教育と医学教育を、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語など国際的な主要言語でなく、自国語でできる数少ない国です。それは喜ばしいことですが、外国に「他流試合」に行かない内弁慶をつくっているようです。
文化や政治の分野でも、国際社会で存在感を示せていません。日本の行政と官僚も、その一つでしょう。

転職理由は収入増ではなく、労働環境

2021年10月31日   岡本全勝

転職者数の増加」の続きです。10月21日の朝日新聞「日本経済の現在値2」「キャリアアップは一部だけ 13人に1人、25~34歳の転職」から。この記事は昨日30日に載せたのですが、順番を間違えたので掲載し直します。

・・・業界大手のマイナビの調査をみて驚いた。正社員で転職した人の平均年収をみると、転職前は461・2万円だったのが、転職後は453・0万円に減っていたのだ。リクルートワークス研究所の調査でも、転職後に年収が5%以上あがったと答えた人は日本では39・7%のみ。海外では米国やフランスが75%以上で、日本の低さが際立つ。
では、いったい何のために転職しているのか。

マイナビの調査によると、転職先の条件としてこだわった点には、給料アップよりも希望する勤務地や休日・休暇制度が整っていることを挙げる回答のほうが多かった(複数回答)。厚生労働省の19年の雇用動向調査をみても、転職の理由は収入よりも「労働時間・休日等の労働条件」や「職場の人間関係」の方が多い。
マイナビの関根貴広研究員は「最近はワーク・ライフ・バランス(WLB)への注目を感じる。テレワークや育休へのニーズも強くなり、自分らしく働ける仕事を求める意識が高まっている」と話す。

ただ、様々なデータをみる限り、転職のあり方が昔に比べて大きく変わったとは言いがたい。海外のようにキャリアアップで高い賃金を得られるような転職は一部に限られ、むしろ、非正規労働者が仕事を転々としたり、正社員も職場の環境が悪いために転職を望んだりしているようにもみえる。転職しやすい環境を整え、成長分野に人材がスムーズに移動できれば経済も活性化する。そんな政府や経済界が強調してきた転職像とは、ギャップがあるのではないか・・・

転職者数の増加

2021年10月30日   岡本全勝

10月21日の朝日新聞「日本経済の現在値2」「キャリアアップは一部だけ 13人に1人、25~34歳の転職」から。

・・・最近、テレビやインターネットで転職業界のCMや広告をよく見るようになった。まわりでも若い人の転職が増えた気がするが、実際はどうなのだろう。海外では賃金などの条件がいい会社へと転職を繰り返し、キャリアアップをしていくのが当たり前だとも聞くけれど、日本もそんな社会になってきたのだろうか。

まず、総務省の労働力調査を見てみると、たしかにコロナ禍前の2019年の転職者数は過去最多の351万人だった。働く人全体に占める割合を示す転職率も、ちょうど記者(29)と同年代の25~34歳は7・8%と過去最高水準で、13人に1人が転職していた。
ただ、過去にさかのぼってみると、むしろ、どの年代も転職率は00年代半ばごろがピーク。とくに若年層の15~24歳では、05~06年に14%超と、足元を超える転職率だ。いったい、何が起きていたのか。
当時の労働経済白書などをもとに理由を探ると、企業の倒産が相次いだ00年前後の就職氷河期に、希望する待遇や職種の企業に入れなかった人たちが、景気の回復にあわせて転職するケースが多かったようだ。
じつは統計上、転職者数には、景気によって雇い止めなどにあいやすい非正規の働き手も含まれている。19年の転職者も半数以上の192万人が非正規で、同様な傾向は少なくとも00年代初めから続いていた。
00年代半ばに増えてきた転職は、08年のリーマン・ショック後の不況で再び減り、ここ数年でリーマン前の水準に戻ってきた。ただ、その理由を探っていくと、以前とは違う要因も見えてきた。

エン・ジャパン社で人材紹介サービスを統括する藤村諭史さんは、人手不足と若者の意識の変化を挙げる。「人手不足で12年から売り手市場が広がり、18年までは特に若手採用が活況だった。最近の若い世代は自分のキャリアを自分でつくっていく、という風潮がある」と指摘。企業側も即戦力の人材を求める傾向が強まっていて、「35歳以上の世代の転職も今後増えていくのではないか」という。
海外では、自分で将来のキャリアを考え、転職を繰り返すのが当たり前とよく聞くけれど、どれぐらい違うのだろうか。
同じ企業に10年以上働く人の割合を、労働政策研究・研修機構の資料で比べてみた。日本は45・8%で、20%台の米国や韓国との差は大きい。一方、解雇規制が比較的厳しいとされるフランス(45・6%)やドイツ(40・3%)は、日本とそれほど変わらなかった・・・
この項続く