地方の物産を世界に売り込む

奥山雅之ほか著『グローカルビジネスのすすめ 地域の宝を世界80億人に届ける』(2021年、紫洲書院)を紹介します。概要は、アマゾンでの紹介、特に読者の書評(レビュー)をお読みいただくとして。

「海外に産品を売る」と聞くと、大企業が行っている商売と思いがちです。この本は、地方の物産、農産物や中小企業の製品を海外に売り込むことを書いた本です。
諸外国では地方の物産を海外に輸出しているのに、日本では国内市場が大きかったので、やってこなかったと指摘されています。
そうですね。明治時代からの戦前、そして戦後は、日本の産品を海外に輸出して儲けようという意識が国全体にあったようです。国内市場が大きくなかったからです。経済成長に成功する過程で、大企業や商社が輸出する構造が確立しました。他方で、地方の農産物や中小企業は国内市場で満足したようです。
「和僑会」、華僑の日本人版を作ろうという提言には、なるほどと思います。
インターネットや物流が発展して、海外から物を買うことも簡単になりました。ならば、日本各地の小さな企業も、海外に売り込むことは容易です。

近年の日本経済の停滞は、かつて以上に経済の国際化が進んでいるのに、日本がそれに乗り遅れていることが、一因です。経済成長に成功し、満足してしまったのです。日本人の留学生が減少していることも、「内向き」になったことを表しています。日本は、大学院教育と医学教育を、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語など国際的な主要言語でなく、自国語でできる数少ない国です。それは喜ばしいことですが、外国に「他流試合」に行かない内弁慶をつくっているようです。
文化や政治の分野でも、国際社会で存在感を示せていません。日本の行政と官僚も、その一つでしょう。