取引先とのもめ事の処理

10月27日の日経新聞夕刊「こころの玉手箱」、谷原徹・SCSK社長の「愛用の手帳とノート」から。

・・・愛用の手帳で取引先との会合は赤い字、社内の重要会議は青い字とスケジュールを記している。このほか経営会議の議事録なども自分でノートに記入する。システム会社の経営者はペーパーレスで仕事をしているイメージがあるかもしれないが、私の場合、紙の手帳も手放せない。

赤い字で少なくないのがトラブル処理だ。忘れがたい案件がある。私が総括責任者として取引先の担当専務と話してもなかなか解決せず、当時の青園雅紘社長に相談すると「真剣に謝ってこい。それでも許してもらえないお客様とは付き合わなくていい」と背中を押してくれた。
解決できずに土下座では悔しい。そこで仕切り直して「ヒアリングさせていただきたい」と申し入れると、私ひとりに取引先の役員が11人も出てきた。粘り強く協議したところ、光明が見えてきた。同じ定義のデータが複数存在することがシステムトラブルの引き金になっていたのだ。

取引先とシステム会社がひとつのプロジェクトをどう成功に導くか。しっかり膝を突き合わせて議論すれば方向性を見いだせるはずだと分かった。この取引先とは今でも親密な関係にある。システム開発にトラブルは付きもの。「逃げない」「最後までやりきる」という姿勢を貫けば、信頼につながる・・・