労働組合の役割

10月25日の朝日新聞オピニオン欄「記者解説」、沢路毅彦・編集委員の「連合、新体制の課題 働き手多様化、目配りした運動を」から。

・・・連合は政策決定プロセスに深く組み込まれている。労働政策には、政府、労働者代表、経営者代表の「三者構成」で決めるという原則がある。労働政策審議会や最低賃金を決める審議会の労働者代表は、連合が推薦する委員が独占している。財政制度等審議会、法制審議会、産業構造審議会などにも労働者の代表として参加する。
連合に期待されているのは、非正規労働者を含めて働く人全体の利益を政策に反映させることだ。ところが、近年は政権との間合いの取り方に苦労している。
安倍・菅両政権下で連合の存在感は低下した。官邸の会議が多くの重要政策を決め、その大半で連合は外された。連合も参加したとはいえ、「働き方改革」も官邸主導。最低賃金引き上げも官邸の意向を反映した結果だ。
今の野党が政権をとれば問題が解決するわけでもない。かつて民主党政権実現に連合は力を発揮した。ところが、その政策が連合の主張とちぐはぐなことがあった。事業仕分けでは企業倒産時の「未払賃金立替払制度」の廃止が検討された・・・

・・・何より新体制に求められるのは、企業現場の変化に対応しながら、緊張感ある労使関係を作る取り組みだ。
働き方改革でテーマになった長時間労働の是正や、正社員と非正社員の格差を是正する「同一労働同一賃金」について政権が強く介入したのは、現場で労組が本来の役割を十分に果たしていなかったからだ。危機感は連合の今後2年間の運動方針に表れている。うたわれているのは「多様な働き手を含めた集団的労使関係」の強化だ・・・