カテゴリーアーカイブ:社会の見方

新手のインターネット詐欺

2023年2月12日   岡本全勝

先日、アマゾンから、次のような電子メールが届きました。
「あなたがこのような商品を購入して、××さんに送るという注文を受けましたが、心当たりはありますか。おかしいと思ったら、次のURLをクリックして取り消してください」と。××さんのか所には、具体的な住所と氏名が書かれています。

アマゾンでは本くらいしか購入しないし、そんな人は知らないので、「詐欺に利用されたのか」「取り消さなければ」と思いました。でも「おかしいよな」と考え直し、差出人のアドレスを見ると、Amazonの綴りの後ろに変な文字がついています。
「そうか、書かれているURLをクリックすると、引っかかるのか」と理解して、直ちに削除しました。
悪人は、いろんな知恵を出すものですね。困ったものです。

池上俊一著『歴史学の作法』

2023年2月9日   岡本全勝

池上俊一著『歴史学の作法』(2022年、東京大学出版会)を紹介します。
歴史とは何か、歴史学と何かを、先生の立場から考えた本です。歴史学の研究方法も書かれています。「近藤和彦訳『歴史とは何か』『歴史学の擁護』などの延長にあります。
先生の立場は明確です。社会史と心性史を中心にすることです。20世紀に西欧歴史学が、政治史からや経済史に広がり、さらに社会史などに広がってきました。先生はその路線を進めるべきだと主張されます。「歴史の見方の変化」「歴史学は面白い

私も、賛成です。社会は個人から成り立ち、その人たちの関係が作っています。すると、社会科学の基本は、個人とその人たちの関係になると思います。個人の行動に焦点を当てる心性史、人々の関係に焦点を当てる社会史が、基本になると思うのです。

先生は、『シエナ―夢見るゴシック都市』(中公新書 2001年)、『パスタでたどるイタリア史』(岩波ジュニア新書 2011年)、『お菓子でたどるフランス史』(岩波ジュニア新書 2013年)、『森と山と川でたどるドイツ史』(岩波ジュニア新書 2015年)など、一般向けのわかりやすい本も書いておられます。私も、楽しみながら読みました。

家族法の不平等との戦い

2023年2月9日   岡本全勝

1月28日の朝日新聞オピニオン欄に、元選択的夫婦別姓訴訟弁護団長・榊原富士子さんへのインタビュー「夫婦別姓、闘った40年」が載っていました。

選択的夫婦別姓を求める憲法訴訟を弁護団長として率いた榊原富士子さんが、昨年、団長を退いた。「夫婦別姓」という言葉が人口に膾炙する前から始めた活動は40年近くに及ぶが、いまだに制度は導入されていない。求める声の広がりと変わらない制度の中で、何を思い、何と闘ってきたのか。

――40年、長いですね。
「まさかこんなに長い間このテーマに関わることになるとは、思ってもいませんでした。もう少し簡単に実現すると思っていましたからね」
「今思えば、見通しが甘かったですね。1990年ごろ、法制審議会の中心の委員に『夫婦別姓も審議会で扱ってください』とお願いしたら、1年もたたないうちにとりあげてくださって、『言ってみるものだ』なんて思っていたものです。法制審でもどんどん審議が進んで、96年には選択的夫婦別姓を認める答申が出て――。『いよいよ日本でも』という雰囲気もあり、その時点では訴訟をする必要も感じませんでした」

「私自身も後回しにしていた面があります。私が弁護士になった当時、家族法の中の平等違反の問題として四つあげられていました。婚姻年齢の不平等、再婚禁止期間、婚外子の相続差別、そして夫婦の姓です。私はこの中で、婚外子差別が最も深刻だと思っていました。婚姻年齢と再婚禁止期間は待てば結婚できるし、夫婦の姓も我慢すれば結婚はできる。しかし、子どもにレッテルを貼る婚外子差別は非常に悪質です。弁護士として、まずはそちらの訴訟に力を入れていました」
「ですが、今残っているのは夫婦の姓だけです。婚外子の訴訟も、95年の最初の最高裁での合憲意見には『むしろ婚外子差別は必然』という趣旨のことが書かれ、当時は『裁判官のこの感覚を変えるのは至難の業だ』と絶望的な気持ちになりました。それでも時代が進んで違憲となった。夫婦別姓を認めるかどうかも、もう理論的には出尽くした状態ですので、違憲と書ける材料はそろっています。『もう書きます』という日はいつ来てもおかしくありません」

『グランゼコールの教科書』

2023年2月6日   岡本全勝

グランゼコールの教科書 フランスのエリートが習得する最高峰の知性』(2022年、プレジデント社)を、図書館で借りて見てみました。
グランゼコール(Grandes Écoles)は、フランスの高等教育機関群です。大学より高い地位にあるようです。フランスのエリートは、ほぼここを出ています。

本書は、そこで学ぶ人のための「教養概論」ともいうべき教科書・参考書のようです。フランスのエリートが身につけなければならない、身につけている教養とはどのようなものか。800ページを超える分厚い本です。とても読み通すことはできそうもないので、どのようなことが書いてあるかを見てみました。
まず、次のような、9つの時代区分になっています。ギリシャ、ローマと一神教、中世、ルネサンスおよび近世、17世紀古典主義時代、18世紀啓蒙の時代、19世紀、20世紀、21世紀。
西欧の歴史は、このような時代区分になるのでしょう。

そして、それぞれの時代の中が、次のような6つのテーマに分けて記述されています。歴史、宗教、哲学、文学、芸術、科学。
なるほど、「宗教、哲学、文学、芸術、科学」のように分けて、文化・教養を見るのですね。
と、今回はそこまでで納得し、本文を読むことは、将来の時間つぶしにとっておきましょう。

経団連の存在感の低下

2023年2月2日   岡本全勝

1月27日の日経新聞「私の履歴書」古賀信行・野村ホールディングス名誉顧問の「財界総本山」から。

・・・結局、副会長と審議員会議長をあわせ8年も経団連と関わった。改めて、経団連とは何だろうと思う。官僚組織がしっかりしている時代は、政策を実現する産業界のカウンターパートとして機能していた。個別業界ではなく、広く産業界の代表だった。

今は官の枠組みが大きく揺らぎ、相手側の経団連も存在意義を問われている。政策をきちんと提言できる組織になることが今こそ求められている、私はそう思う・・・