「歴史学の擁護」

リチャード・J.エヴァンズ著『歴史学の擁護』(2022年、ちくま学芸文庫)を、ようやく読み終えました。歴史学とはどのようなものか、どうあるべきかについては、E・Hカーの『歴史とは何か』(岩波新書)が有名です。近藤和彦先生による新しい翻訳も出ました。そこに掲げられた「歴史は現在と過去のあいだの対話である」は有名ですし、有効です。

しかし、原著は1961年に出版されました。歴史学(欧米の)は、当時とその後に大きな転換をしました。政治史から、経済史や民衆史、文化史へと広がったこと。また、事実とは何かという疑問(解釈する人によって異なること。ポストモダニズム)などから、私が学生時代に学んだ歴史学とは全く様変わりしました。歴史家、歴史学者によって、さまざまな考え方があるようです。それをわかりやすく書いた本はないかと、探していたのです。

この本は、まさに20世紀の歴史学の変化を説明してくれます。また、極端な相対主義を論駁します。少々分厚いことが難点なのと、歴史学者同士の「批判」が厳しくて私には付いていけないところがありました。
カーの『歴史とは何か』以降の歴史学を知るためには、良い本だと思います。
歴史の見方の変化」「歴史学は面白い