カテゴリーアーカイブ:人生の達人

内永ゆか子さん、リーダーに必要な4要素

2022年5月2日   岡本全勝

4月21日の日経新聞夕刊「私のリーダー論」は内永ゆか子・J-Win理事長の「部下をもっと好きになる」でした。

――部下との関わりで印象に残っていることは。
「役員になる前の40代前半、数カ月ごとに副社長補佐、担当部長などを転々としていた時期がありました。いつも100人以上の部下がいましたが、ほとんどが男性で、その分野での経験が長い人も多かった。私は『バカにされたくない』と思っていました」
「あるとき次の部署への異動が決まり、長い間課長を務めていた男性に『私へのアドバイスがあったら言ってください』とお願いしたことがあります。すると彼から『内永さん、私たちをもっと好きになってください』と言われ衝撃を受けました」

――その後、行動は変わりましたか。
「当時の私は、部下が素晴らしい発言をしても、もっと良いことを言おうとしたり、部下たちと張り合ったりすることがあった。部下を好きになるよりも、負けたくないと構えてしまっていたのです。そうすると相手にも構えられます。それからは仕事で誰かと対立することがあっても、心の中で『私はこの人が好きなの』と思うようにしています」
「そうすると不思議なことに、自然に顔がにこやかになり、相手との関係もほぐれます。この言葉は長らく私の座右の銘になりました」

そこに、リーダーに必要な4つの要素が示されています。
――内永さんが考えるリーダーに必要な素質は。
「第1にきちんとしたビジョンを持てる人。夢を語るだけでなく、実現するためのマイルストーンまで考えられることです。2つ目は自分なりの価値判断があり、適切に決定を下せるかどうか。3つ目は顧客はもちろん、社員も大事にできることです。リーダー1人でできることは限られていますから」
「そして4つ目は前向きに考えられること。頭が良くてもリーダーに向かないタイプの典型は、問題指摘優先型です。批判は上手だけど、ゼロから新しいアイデアを考えて計画することは苦手という人は適任ではありません」

――これまで出会ったなかで「真のリーダー」と感じた人はいますか。
「女性役員を集めた米国での講演会で、英国のサッチャー元首相にお会いしたことがあります。近くで話しているときは優しいおばあちゃんという印象だったのですが、一度舞台に上がり、英国の政治や産業に自分がどう取り組んできたかを話し出すと、強烈なエネルギーを感じました。『鉄の女』と呼ばれるだけあって、自分の信念を確立している方なのだと感じました」

面談が社員の安心感を高める

2022年4月30日   岡本全勝

4月18日の日経新聞「働き方innovation 生産性上がっていますか」は「積水ハウス、キャリア面談は安心感が要 挑戦意欲高める」でした。
・・・積水ハウスが気兼ねなく意見をぶつけ合える関係づくりに力を入れている。生産性が高い組織に共通するといわれる「心理的安全性」を確保し、社員自身がキャリア目標をどう達成していくかを上司がフラットな立場で聞く機会を設けた。部門を超えて事業アイデアを練り上げるアプリも用意。社員の挑戦意欲も高まりつつある・・・

・・・同社はキャリア面談を組織風土改革の根幹と位置づけ、2021年から始めた。目標達成度などを確認する面談とは別で年5回、職場によってはそれ以上実施することもある。「部下の話を『聞き切る』ことで、心理的安全性の醸成につながる」と藤間美樹・執行役員人財開発部長は説明。社員が自らキャリアを考え、決める「キャリア自律」を支援する狙いがあるという。キャリア自律は一人ひとりが何をなし遂げたいかを積極的に発信し、上司もそれを受け止める安心感があって成り立つとみる。
積水ハウスでは部下を持つ管理職4000人に対し、動画研修などを通じてキャリア面談のやり方を学んでもらった。「どうした?」「それで?」「どういうこと?」「で、どうするの?」の4つの言葉を投げかけるといった簡単なコツを伝えた。岩本さんの場合は3人の部下に対して週1回10分程度のキャリア面談を実施。気を付けているのは「自分の考えを押しつけない」「自発的に問題や課題を発見してもらう」「店長としての話はしない」の3つだ。
入社して10年になる沢田さんは「上司とこれほどしっかりプライベートな話をする機会はなかった。心にゆとりが生まれるし、ポジティブな感じになる」と話す。目指すのは、部下が育って生産性が上がる→上司の仕事の質も高まる→チームや組織が強くなるという好循環だ・・・

記事には、心理的安全性(働きやすい職場)について、次のような話も載っています。
・・・心理的安全性は米グーグルが社内で最もパフォーマンスの高いチームの特性の筆頭に挙げたこともあり、「それ以降、特に注目が集まっている」とリクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所の今城志保主幹研究員は説明する。
人材サービス大手のエン・ジャパンの調査(有効回答約8900人)では、職場のどこに心理的安全性を感じるかという質問に対する複数回答で「他愛のない雑談ができる」(75%)が首位。「心身の状態を配慮し合える」(28%)、「人格や発言をむげに否定されない」(27%)などの回答も目立った・・・

一対一の面談を行うことが広がっています。しかし面談にも、二つの違ったものがあります。評価のための面談は「評価」であり、お互いに緊張します。心配を少なくする「相談」とは別のものです。

堀田力さん、敵は後ろにも

2022年4月22日   岡本全勝

先日紹介した読売新聞連載の堀田力さんの回顧録。4月18日と19日は、ロッキード事件の捜査過程で、アメリカの司法当局から資料をもらう話でした。初めてのことですが、堀田さんはそれに成功します。
資料には、日本側の政府高官の名前が含まれています。資料は捜査に使うためで、起訴までは政府高官の名前の公表しないことが条件です。起訴しない場合は、名前が出ると名誉毀損になります。

ところが、野党とともに三木首相や大平財務大臣も、その名前を知らせろと迫ります。三木首相にも大平財務大臣にも、それを要求する法的根拠がありました。しかし、堀田さんは官邸での総理の要求に抵抗します。心臓が止まったでしょうね。

私たちの仕事、組織でする仕事、相手や関係者がいる仕事には、しばしば前の敵のほかに、後ろにも敵がいます。そして、こちらの方がやっかいなのです。それを外部に言うわけにもいかず。
部下をそのような立場に追い込まないことが、良い上司の資格でしょう。このようなことは、一般の指導者論には書かれていないのですよね。
上司は気がついていない、あるいは気づいていても言わない。部下は他の人にも言えず、一人で悩むのです。反抗すると、左遷やクビが用意されている場合もあります。

岡本行夫さんを偲ぶ会

2022年4月21日   岡本全勝

今日は、岡本行夫さんを偲ぶ会に、キョーコさんと行ってきました。
行夫さんの活躍と交遊の広さを語るように、各界から大勢の方が参加されました。森元総理、小泉元総理、岸田総理、外務省幹部、財界などなど。
交遊の広さだけでなく、あの熱血に惚れた人が多かったからでしょう。政治家でも官僚でも、これだけの人を集めることができるのは、そうはおられません。内政が主な仕事の私と妻も参加するのですから。

別室に、行夫さんの子どもの時からの写真と、行夫さんが撮られた海の写真が飾られていました。ここに行夫さんがおられれば、楽しい会だったのですが。
遺言とも言うべき『危機の外交 岡本行夫自伝』(2022年、新潮社)が出版されました。
ご冥福を祈ります。「追悼、岡本行夫さん

堀田力先輩

2022年4月20日   岡本全勝

読売新聞連載「時代の証言者」、4月12日から堀田力「鬼から福へ」が始まりました。堀田さんには、東日本大震災の際に大きな支援をいただきました。私が非営利団体との付き合いに目覚めた一つには、堀田さんがあります。

第1回は「司法30年 福祉に30年」です。
・・・「戦後最大の疑獄」といわれるロッキード事件。米国発、元首相の逮捕という異例ずくめの事件を担当したのが東京地検特捜部の検事だった堀田力さんだ。その後、福祉の世界に転身し、世間を驚かせた。巨悪を追及する「鬼」検事から、助け合いを広める「福」の伝道師となって30年。その歩みと、今の時代への思いを語る・・・

・・・司法の世界で30年、福祉の世界に飛び込んで30年。今日、88歳の誕生日を迎えました・・・
・・・1991年に法務省官房長の職を辞し、「今後はボランティアを広めます」と言ったら反響がすごくてびっくりした。「なぜお前がやるのだ」「検察に不満があるのか」などの質問やお叱り、「もっと検察を元気にしてほしかったのに」と嘆くお言葉もたくさんいただきました。いわゆる出世ルートに乗っていたので、「訳がわからん」と思われた方が多かったようです。
でも、私としてはもう限界、自分が自分らしくあるためには辞めるしかない、このまま続けていたら腐ってしまう、そんな切実な気持ちでした。
検察には感謝こそすれ、不満は全くありません。ただ、東京地検の特捜部長になれないとわかった時、僕の人生はそこで燃え尽きてしまった・・・