カテゴリーアーカイブ:人生の達人

「ぼんやりの時間」

2022年4月14日   岡本全勝

ぼんやり考える時間」の続きにもなります。
辰濃和夫著『ぼんやりの時間』(2010年、岩波新書)が本の山から発見されたので、読みました。辰濃さんは、朝日新聞の天声人語を長く執筆された方です。

自らの経験と古今の書物などから、多角的に「ぼんやり」を分析されます。もちろん、仕事などの際に「ぼんやりするな」と叱られる「ぼんやり」「ぼんくら」ではなく、ぼーっとしている「ぼんやり」です。
ぼんやりについて書かれた本ですが、ぼんやりとは読むことはできません。難しくない文章と内容ですが、それなりに頭を動かす必要があります。

先日書いた「ぼんやり考える時間」は、物事を考える際の「集中しないで思い浮かべる」手法でした。辰濃さんの「ぼんやりの時間」は、さらに緩めて「物思いもしない」状態のようです。さらに緩めると、意識が落ちて寝てしまうのでしょうね。

偉い人ほど優しい

2022年4月13日   岡本全勝

4月7日の日経新聞私の履歴書、野路國夫・元コマツ社長の「アトランタ 入社8年、念願の海外赴任」から。

・・・住んだのは、会社が借り上げた郊外の立派な屋敷だ。15畳ほどの大きなリビングルームと4つのベッドルーム、広々とした庭もあった。もちろん若輩の私がそんな豪邸を独り占めするわけはなく、日本から来る出張者を泊めて、面倒を見るお世話係の役目も兼ねていた。

多くの出張者に接するうちにあることに気がついた。アトランタには当時の河合良一社長はじめ様々な人が来たが、偉い人ほど優しいのだ。社長からはねぎらいの言葉を頂き、技術部門のトップだった本部長は妻子から預かった手紙を持参してくださった。
ところが部課長クラスにはやたらと威張る人もいて、「飲み屋に案内しろ」「もっと楽しい場所へ連れて行け」と好き勝手を言う。顔では笑って対応したが、内心では「管理職になっても、こんな振る舞いは絶対にしない」と自分への戒めにした・・・

最悪を想定しておく

2022年4月11日   岡本全勝

3月31日の日経新聞夕刊「私のリーダー論」、EY新日本監査法人・片倉正美理事長の「変革へ少数派強みに」に、次のような話が載っています。

「私は最悪の時がどういうものかを常に考えます。そのうえで、こうなったらこうすればいい、こういう時は誰に相談しようなどと道筋を作っておく。そうすれば大丈夫だと信じられます。理事長選挙の時も『前理事長のかいらいで理事長をやろうとしているのでは』『女性で大丈夫か』など自分がへこむ質問の想定問答をいっぱい考えました。実際は出ませんでしたが、準備したから自信を持って臨めたし、皆さんから信頼してもらうことにつながったのだと思っています」

白黒をつける、折り合いをつける

2022年4月5日   岡本全勝

世の中には、意見が対立する場合や、利害が反する場合があります。あちらを立てれば、こちらが立たない場合です。

新型コロナ感染対策でも、人の動きを制限すれば拡大を防ぐことができますが、それは社会活動や経済活動を止めてしまいます。ウイルスが強毒性で感染すれば直ちに重症化するのなら、厳しい行動制限をするべきでしょう。国民もそれを支持すると思います。しかし、それほどの強毒性でない場合に、どこまで行動制限をするかが議論になります。
厳しく外出を制限する案とふだん通りに生活をする案と、どちらを取るのではなく、その中間で折り合いを付ける必要が出てきます。

答が白黒の二つに分かれている場合と、右端は白く左端が黒で境目がなく次第に色が濃くなっている場合があります。
時代劇にあるような善人(庶民)と悪人(越後屋と悪代官)がはっきりしている場合は分かりやすく、最後に悪人がやっつけられると、見ている人もすっきりします。数学の問題で足し算や引き算も正解と間違いがはっきりしていて、答は100点か0点かです。
ところが、私たちの日常生活は、白黒がはっきりしている場合は少なく、どこかで折り合いをつけなければならない場合が多いのです。正解は一つに決まりません。

そのような演劇を見慣れている人は、早く結論を求め、白黒を付けることを望みます。込み入った事情を説明すると、イライラします。また、学校での正解がある勉強になれている人は、正解があると思い込みます。
残念ながら、現実世界はそうなっていません。だから、分かりやすい演劇が好まれ、明快な学問が好まれるのでしょう。

判断の4類型

2022年4月4日   岡本全勝

私たちが物事を決める場合に、いくつかの手法があります。よく考えて決めたとか、好き嫌いで決めたとかです。

さまざまな手法があるのですが、次の4つに分類すると、わかりやすいのではないでしょうか。
1理性(弁別)=冷静に考え、自分が正しいと思う、あるいは社会で正しいと思われることを選ぶ。
2欲望(利害)=欲得を考え、自分に得になることを選ぶ。
3感情(好悪)=好き嫌いで選ぶ。
4慣習(惰性)=いつもと同じものを選ぶ。

私は、仕事では1を心がけていますが、ビールを選ぶ場合は4です。俳優などは3で、ものを買うときは2です。毎日の生活で一つ一つ1を使っていては、時間がかかります。多くの人は、たいがいは4で済ませています。

重要なのは、どの局面でどの判断類型を使うかです。
仕事の際に2を使うと、下品になります。3を使うと、よい組織になりません。時に、それを間違う人がいます。