カテゴリーアーカイブ:人生の達人

詰め込み文書の改善

2016年12月20日   岡本全勝

12月12日の日経新聞夕刊くらし面の「脱・詰め込み文書見やすく」が、良いことを書いていました。
・・・とにかく全部書いておけば、消費者から「情報が載っていなかった」とのクレームは来ない――。そんな考えにとらわれると、役所や企業の消費者向け文書は、細かい文字の羅列になっていく。だが、それでは文書が読まれず、情報が伝わらないリスクが出る。これに気付いた自治体や企業は、情報の見やすさを重視するユニバーサルコミュニケーションデザインを、文書に取り入れ始めた・・・

思い当たる人も多いでしょう。宇都宮市は、通知はがきに、ユニバーサルコミュニケーションデザインを取り入れました。
・・・このデザインの目的は、誰にでも(1)見やすく(2)わかりやすく(3)伝わりやすくすることだ。超高齢社会を迎え、薬の効能書きのように細かい文字で情報を詰め込むスタイルは通じない。推進団体の一般社団法人ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会(UCDA、東京・中央)は、文書の強調点を明確化し、文字が文書の表面を占める面積を19%未満にし、色合いを最適化することが重要と指摘する・・・

詳しくは、本文をお読みください。確かに、商品の取扱説明書などには、「こんな細かい書類、誰が読むのかね」と思うものがあります。
文字が文書の表面を占める面積を限定するとは、良い手法ですね。私は職員に、資料はA4一枚、活字は12ポイント以上に大きくすること、3行以上になる文章は「。」を打ち(文を切り)、改行することを求めています。

先の見えない残業が疲弊に拍車をかける

2016年12月15日   岡本全勝

12月11日の朝日新聞オピニオン欄「長時間労働」から。
・・・産業医として30社ほどを担当する大室正志さん(38)が長時間労働の最大の要因と指摘するのは、管理職のマネジメント能力です。「発注にノーと言わない人が昇進し、無理難題を部下に押しつける。いつ何が降ってくるか分からない状態が、部下の心身を疲弊させる」・・・
・・・心身の健康を保つために必須だと言うのは、残業時間の上限規制の導入です。「先が見える場合は多少の無理もきくが、終わりの見えない状態だと月40~60時間の残業でも心身に深刻な影響が出る。36協定(労働基準法を根拠とする労使協定)で基準とされている45時間くらいを上限とするのが妥当では」
大室さんは「仕事の内容や、やり方は急速に変わっている。上司の経験したことのない仕事をする部下も多い。上司は部下の話を聞き負担を把握することが大切。『大丈夫?』と聞かれると反射的に『大丈夫』と答えてしまうので、聞き方の工夫もいる」。部下についても「負担を上司に伝えることが必要。産業医との面談を含め、『きつい』と言うことのマイナスを心配する人も多いが、無理を続けるマイナスとどちらがマシか考えてほしい」と話します・・・

・・・長い時間働けば、その分成果があがるのでしょうか。日立製作所で人工知能の研究を率いる矢野和男さん(57)は、加速度センサーを身につけ、10年以上にわたり自身や被験者の1日の動きを記録しました。明らかになったのは、1日に動ける時間の長さや、体の部位を動かせる回数は人それぞれに決まっていて、「昨日の遅れを今日取り戻そう」と長時間働いても、こなせる仕事量は実はほとんど増えないということです・・・
原文をお読みください。

司馬遼太郎さんのサラリーマン向け人生講話

2016年12月13日   岡本全勝

司馬遼太郎著『ビジネスエリートの新論語』(2016年、文春文庫)が、書評などで取り上げられています。司馬さんの本、サラリーマン向けの人生講話となると、読まないわけにはいきません。
各項目に古今の名言が掲げられ、それをテーマに、いつものと言うか、いつもの司馬遼太郎節よりさらに軽妙な文章が綴られています。例えば、「サラリーマンの元祖」は、鎌倉幕府の初期を支えた文官、大江広元の生き様を描き、サラリーマンの元祖として紹介しています。これなどは、さすがと思わせます。随所に、なるほどと思う記述があります。
もっとも、書かれたのは昭和30年、私の生まれた年です。司馬さんもまだ32歳、小説家としてデビューする前、新聞記者の福田定一として出版しています。
サラリーマンの一種を38年間続けた私としては、司馬さんは若くしてよくこれだけ見抜いているなあと思うとともに、まだまだ若いなあとも思います。大先輩に向かって失礼ですが。
また、戦後すぐの昭和30年と平成28年との、60年の社会の変化も感じられます。たぶん司馬さんも生きておられたら、原文のままの形での再刊は、同意されなかったでしょう。

仕事の上での間接部門

2016年12月11日   岡本全勝

週刊「日経ビジネス」12月5日号は「彼らが仕事を邪魔する理由 おのれ!間接部門」です。企業などで、直接利益に結びつく部や課(製造・開発・営業・販売など)を直接部門と呼び、直接部門の業務を支援する部や課(経理・総務・人事・情報システムなど)を間接部門と呼びます。
行政においては、製造や販売という概念が薄いので、この違いは明確ではないようです。政策を扱っている課(直接部門に当たる)を原課とか事業課と呼び、それを支援する課(間接部門)を総務とか庶務と呼ぶことが、それに当たるのでしょうか。
この記事でも取り上げられているように、間接部門の課題は、2つあります。1つは、直接部門の職員からすると、仕事の「邪魔」をしないでくれです。もう1つは、経営者の立場から考えると、なるべくその費用を抑えたいことです。

これは、役所でも同じです。職員の立場から考えると、給料は人事課で計算してもらうとしても、超過勤務の申請、旅費の申請、税金の年末調整などから始まり、さまざまな研修(座学、インターネットでの研修)、防災訓練、調査への回答など、けっこうな手間を取るのですよね。
昔に比べると、勉強しなければならないことが増えました。機密情報の扱い、個人情報保護、サイバーセキュリティ、公務員倫理、セクハラやパワハラの防止、分煙、男女共同参画、ダイバーシティなど。私が公務員になった頃は、「おおらかなもの」でした。

そして、次々と来るお知らせも、たくさんあります。あなたのパソコンに来る、「職場内でのお知らせ」一覧を見てください。多分ほとんどの人が、詳しくは見ていないでしょうが。重要な通知から、会議室の予約の仕方の変更、共済からの割引券、助け合いの募金まで、すべてを読んでいたら時間がかかります。一度、1週間の勤務時間の内、職員がどれくらいの時間をこれらの対応に費やしているか、調査してもらえませんかね。
人事課(人事係、福利係)や会計課(給与係、支払い係、庁舎管理係)は、それぞれ重要なので通知を出すのですが、どんどん増殖すると、受け手である職員がパンクします。これら職員個人にとっての「間接部門」を、どのように合理化し効率化するのか。大きな課題です。これは、直接部門の職員だけでなく、総務部門の職員も同じ条件です。「明るい公務員講座」でどのように書くか、悩んでいます。

「良い謝罪」の仕方

2016年12月10日   岡本全勝

私は、「お詫びのプロだ」と自認しています。これまでも、何度もお詫びとその記者会見をしてきました。このホームページでも、その一部を書いたことがあります。「お詫びの仕方、形も大切」「お詫びの仕方・中身が大切」「お詫びの仕方・付録」。
私より上手(うわて)の人が、おられました。竹中功さんの『良い謝罪―仕事の危機を乗り切るための謝る技術』(2016年、日経BP社)です。本の帯には、「吉本興業で35年間謝りつづけた”謝罪マスター”が極意を伝授」と書いてあります。吉本の芸人たちが起こした不祥事を、どのように謝り、収めるか。35年間、それに携わっておられたのです。
謝る際の基本は、私の考えと同じですが、その進め方、テクニックが詳細に書かれています。もちろん、事柄の性格上、固有名詞は書かれていませんし、本当のご苦労は書かれていないのでしょうねえ。
週刊「日経ビジネス」の12月12号は、「謝罪の流儀」です。

謝罪は、会社や役所の管理職になると「必須科目」になります。自治大学校でも、謝罪の模擬記者会見をする授業があります。これは、学生から最も嫌われ、かつ最も評価されている科目の一つです。連載「明るい公務員講座・中級編」でも、触れなければなりませんね。