カテゴリー別アーカイブ: 生き方

生き様-生き方

昨日までの苦労、今朝の解放感

東大出版会PR誌『UP』4月号に、齋藤希史先生が「走馬看花」を書いておられました。この四字熟語は駆け足で観光するという意味ですが、その典拠である、孟郊の唐詩「登科後」についてです。

昔日齷齪不足誇
今朝放蕩思無涯
春風得意馬蹄疾
一日看尽長安花

インターネットで「登科後」を検索したら、たくさんの方が書いておられます。例えばこれ
試験に受かって、このような晴れ晴れとした気分になった人も多いでしょう。特に、作者の孟郊は40歳を超えて、超難関の科挙に合格したのですから。
もっとも、合格したら終わりでなく、仕事場では次の苦労が待っているのですが。合格したばかりの若者に、それを言うのは酷ですね。
毎日あくせくしている私には、前の2行(起・承)のような感慨にふけることができる日が、いつ来るのでしょうか。

人は記憶を作る

4月4日の日経新聞夕刊「こころの玉手箱」に、益川敏英先生(ノーベル賞受賞者)が、次のような経験を書いておられました。
・・大学の学生時代、友人たちと映画を見た後、感想を語り合った。登場した女性について、ある者は「黄色い色の服を着ていた」と言い、別の人は「赤い服だった」と言う。また別の者は「違う、青色だった」と、てんでばらばらな議論になった。
そこで、確認するために、もう一度映画館に行こうと提案した。ところがその映画は白黒映画だった。色がついているはずがない。みんなキツネにつままれたような表情だった。
人間というものは、記憶を作ってしまうものだということが、その夜の議論の結論だった・・

新社会人の皆さんへ

今日から新年度。東京では、桜も咲き始めました。明日、入社式を迎える新社会人も多いでしょう。大きな期待と少しの不安で、今晩を過ごしておられるのでしょうか。前途に幸多かれと、祈ります。
5年前に娘が社会人になる際に、「社会人の心得」を書いて渡したところ、「自分ができなかったことを、書いたでしょ」と反撃を食らいました(2007年4月2日の項。笑い)。
私も若いときに、先輩からたくさんの「金言」をもらいましたが、ほとんど覚えていません。「ヤカンは熱いですよ」と言われても、触ってやけどをしないとわからないのと同じです。自分で失敗してからでないと、身につきませんね。反省。
と言いつつ、先日、「全勝さんなら、どんな助言をしますか」と問われたので、次のようなことを話しました。いつも、同じことを言っていますが。
一つ、明るく。
これが、職場で気持ちよく働くための、初歩であり全てだと、私は考えています。だいたいのこと、多くの失敗も、これですみます。私はこれで、34年過ごしてきました。
一つ、辛抱。
職場では、意に沿わないことや、腹が立つことも多いです。でも、しばらく辛抱しましょう。これは、私ができなかったことです。
一つ、天地に恥じない行動を。

人様から、後ろ指を指されるようなことをしない。また、人生を終えるときに、神様と自分に対して「私は全力を尽くした」と言える人生を送りましょう。これについては、現在実行中です。
まだまだいろいろありますが、3つ以上は覚えられませんよね。続きは、『明るい係長講座』を読んでください。

幹事大好きな友人

先日の「お任せ民主主義と飲み会の幹事」(8月15日の記事)を読んだ、友人M君からのメールです。M君は「慰労会をするから、早く夜の時間を空けろ」と、しょっちゅう催促してきます。
・・面白く読みました。最近、この手の話も入っているところを見ると、貴兄のお仕事もちょっと落ち着いてきたのかなって感じます。
ご存知の通り、私もよく「飲み会の幹事」を引き受けます。私の場合は、「こんなお店は嫌だ」と文句をつける人は、「無視」する。日にちが合わなくても、「無視」する。ドタキャンならまだ良いほうで、「ドタサン(参加)」でもいいようなお店を選ぶ。貴兄が言う「幹事の大変さ」は、微塵もありません。したがって、今回の貴兄の意見には、賛同しかねます・・

ははは。M君、みんながあなたのようだったら、お任せ民主主義ではありませんよ。
慰労会は、もう少しお待ちください。明日から4日間、被災地への出張です。

お任せ民主主義と飲み会の幹事

先日、あるところでの会話です。戦後の日本政治(国民の政治参加)の欠点は、「お任せ民主主義」であるという説に、多くの人が賛成してくれました。
これは、難しいこと(嫌なこと)は誰かに考えさせて、本人は批判だけするという立場です。批判はするのですが、代案を考えたり、代案を提示することはしません。これは、まことに身勝手な立場です。
増税をはじめとする負担増や、ゴミ処理場など嫌な施設の立地決定の際に、端的に表れます。

その人曰く「負担増は、けしからん」
責任者曰く「じゃあ、どうするのですか。歳出削減は、もう限界ですよ」
その人曰く「それは、あなたが考えることだ」

その人曰く「みんなが嫌だという施設を、なぜここに作るのだ」
責任者曰く「じゃあ、どこに作るのですか」
その人曰く「どこか県外に、持っていくべきだ」
責任者曰く「どこが、受け入れてくれますか。どこも、嫌がっていますよ」
その人曰く「それを、あなたが考えるべきだ」

その議論の場では、これに対する対応策も、提案されました。「飲み会の幹事をさせること」だそうです。飲み会を設定すると、メンバーの中には「こんな店は嫌だ」とか、いろいろ文句を言う人が出てきます。そんな人に幹事をさせて、幹事がいかに大変かを体験させるのです。
店を決めるのに、みんなの意見が合わない。日にちが合わない。さらには、当日にドタキャンする。そのような身勝手な人に、幹事をさせると、幹事の大変さが分かるというのです。
そして、その結果は。
まず、そのような人は、幹事を引き受けない。あるいは、それ以降参加しない。ははは・・。