平成28年大晦日

今日は12月31日。平成28年も終わりですね。皆さんにとって、今年はどのような年だったでしょうか。

世界では、イギリスのEU離脱、アメリカ大統領選挙と、驚くようなことが続きました。政治と経済の国際化、エリートと理想による社会の進歩といった、第2次大戦後の指導的理念に疑問が呈されています。経済の停滞と格差の拡大が、主な要因です。内戦による難民の発生も。単線的には、歴史は進みませんね。
他方で日本は、これらの国々に比べ、政治も経済も社会も安定しています。特に政治は、少し前まで短期間で政権が交代し、安定した先進国の中で日本が悪いと言われていたのですが。様変わりです。安定した政治がないと、社会の諸課題に対応するためのエネルギーが、余計なことに費やされます。その点で、復興の仕事を進める上でも、安定した政治はありがたいです。それは、中央政治も地方政治もです。そして両者の適切な関係も。
もちろん、日本は経済成長もはかばかしくなく、格差・貧困問題も大きな課題です。疲弊する地方も。取り組まなければならない、大きな課題があります。

私は、6月に復興庁事務次官を退任し、38年余りの公務員生活を終えました。いささかの感慨を・・・と言うべきところですが。同日付で非常勤の国家公務員に採用され、半分は公務員を続けています。
週に2日から3日は福島市の復興局で勤務し、残りは東京の復興庁で勤務です。非常勤なので、5日働きますが、1日の勤務時間が短いのです。毎日出勤していると、退職したという意識が実感できません。毎週、福島と往復しているので、その面では現役時代より忙しくなりました(笑い)。
復興は平坦ではありませんが、着実に進んでいます。関係者の努力のおかげです。津波被災地では、完了が見えてきました。原発事故被災地は、まだまだですが、こちらも帰還できるところが広がり、復興が進んでいます。

執筆や講演も、たくさんこなすことができました。異業種交流会も忙しく。できなかったことは、書斎の本の整理、ホームページの補修、フルートの再開でしょうか。
病気をすることなく、1年を過ごすことができました。今年は、道路にダイビングすることもなく。孫にも遊んでもらっています。なかなか暇にはなりませんが、仕事があることを喜びましょう。
皆さん、よいお年をお迎えください。

平成28年の回顧3、鞄

平成28年の回顧の、番外編です。今年買ったものに、鞄があります。
毎週、福島で勤務するようになったので、適当な鞄を探しました。仕事用の書類鞄は、衣類が入りません。当初は、旅行鞄を使っていたのですが、書類と衣類が一緒に入っているのは、取り出す際に不便です。底が広いので、持って歩くにも不便で。大きなのは、スマートでないし。
そこで、書類鞄に似た、入れるところが2つに分かれて、それぞれにファスナーがついている鞄を見つけました。これなら、一つには書類を、もう一つには衣類を入れることで、取り出しが便利です。

ところが秋が深まり、衣類がかさばってきました。私は、パジャマを持ち歩く派なのです。秋冬用のパジャマは、夏用より分厚くて、かさばるのです。さらに、携帯パソコンと歯ブラシ・ひげ剃り類は福島の事務所に置いてあるのですが、それを事務所からホテルに持っていく必要があります。ここで、鞄に入りきらなくなりました。
鞄屋さんに行って、いろいろ探しました。新幹線で、出張中と思われるサラリーマンたちも観察しました。車が付いたカートや、リュックサック型、そして肩からかける鞄と。しかし、これらは大きすぎます。たくさん入るように柔らかい材質では、書類がよれよれになりそうです。ようやく、大きすぎない手頃な鞄を見つけることができました。

このほかに、ポシェットも。夏にシャツ姿で出かけたり孫と遊ぶ際に、上着を着ていないと、カードや財布を入れるポケットがないのです。かといって、大きな鞄では邪魔になるし。女性用のポシェットは、いろいろきれいなのがありますねえ。いっそのこと、それにしようかとも思ったのですが。キョーコさんが、格好良い男性用のポシェットを探してくれました。
こうして、持ち物が増えていくのですよね。

平成28年の回顧2、執筆

回顧の2つ目は、執筆や講演です。
3月に、『東日本大震災―復興が日本を変える』を出版しました。私が5年間に考え、実行したことの集大成です。発災直後のこれまでにない対応と、復興過程での新しい挑戦の記録だけでなく、社会を構成するには官共私の3つが必要なことを書きました。さらに視野を広げて、福祉サービス提供国家から安心保障国家への転換も主張しました。これらは、これまで考えていたことなのですが、少々欲張りましたかね。

2015年11月から連載している「明るい公務員講座」は、「初級編」が2016年9月まで35回になりました。引き続き「中級編」に入り、10回を重ねました。いろんな人から「読んでますよ」と、好意的な反応をいただきます。ありがとうございます。お休みすることなく、毎週の連載を続けることができたことは、褒めてやりたいですね。原稿に手を入れてくれる右筆にも、感謝しなければなりません。
「初級編」は本にして出版する予定で、編集と校正をしています。乞うご期待。
このほかに雑誌などへの寄稿の他、講演会もたくさんこなしました。
連載はしばらく続く予定ですし、既にいくつかのフォーラムなどへのお呼びもかかっています。声がかかるのは、ありがたいですね。ホイホイ引き受けては、後で難儀するのですが(苦笑)。

このホームページも、懲りずに執筆を続けました。表紙の右のアーカイブを見ると、記事は1年間で500本を越えています。実は古いホームページから移植していない記事(10月分)があるので、数字はもう少し上がるのですが。つまらない記事に付き合ってくださっている読者に、感謝します。訪問者は、累計250万人を達成しました。
9月にはURLが変わり、11月には作成ソフトを入れ替えました。これで、外からも加筆できるようになりました。6年間使った前のソフトと、「設計思想」「仕組み」が違うので、少々とまどっています。社長の指導の下、徐々に慣れてきました。まだ、前のホームページから移植できていないページがあり、目次など作成していないページがあります。順に作りますわ。

平成28年の回顧1、復興

年末になり、年賀状も出したので、今年の回顧を始めましょう。
まず、復興についてです。復興庁事務次官を退任したのですが、内閣官房参与、福島復興再生総局事務局長として、引き続き大震災からの復興に関与しています。発災直後からこの仕事に直接関わっている国の職員は、私一人になりました。首長さんたちとも、長い付き合いになりました。過去からの苦労を踏まえた議論、そして本音の議論をすることができます。継続と信頼関係がいかに重要かが、わかります。ありがたいことです。
ところで、公務員は通常2年で職場を変わります。これはこれで合理性があるのですが、このような仕事の場合は、より長期に携わっている職員それも管理職がいると、仕事がうまく進むと思います。各省なら職員が異動しても、どこか関連部署にいれば、彼を頼って継続性を保つことできるのですが。もっとも、局を越えると、それも難しくなります。内閣府のように、分野が違う組織の集合体の場合も、難しくなります。

復興は6年目になり、現地では工事が着実に進んでいます。このホームページでも、随時紹介しているとおりです。津波被災地では、次々と町並みが出来ています。仮設住宅も、撤去されつつあります。平成29年度末には9割の宅地と住宅が完成する予定で、平成30年度中には完成する見込みです。復旧工事費は、予算額でも減少が始まりました。
原発事故被災地では、順に避難指示が解除され、また解除される見通しが立ちました。帰還困難区域を除いて、鉄道も復旧します。除染も、多くの地域で終わりに近づいています。帰還困難区域では、当分の間は帰還は困難なので、一部で復興拠点を作ることにしました。そこから町の復興を始めようという趣旨です。
このように、着実に進んでいます。関係者のご努力のおかげです。

しかし、今なお13万人の方が、避難生活を送っておられます。また、産業再生とコミュニティ再建が、課題です。そして、原発事故の風評被害が収まりません。農産物や観光のほかに、避難した子どもたちへのいじめという「とんでもない被害」が出てきました。悲しい話です。これらの新しい課題に、対応していく必要があります。これらの課題は、お金を出せば、また工事をすれば解決する問題でなく、工夫と継続が必要です。

アサヒビールの復興支援

アサヒビールが、復興支援を続けてくださっています。さらに2020年まで続けることも、表明してくださっています。「復興支援のページ」「CSRのページ」。
今日紹介するのは、その中でも、「商業コミュニティ助成」です。被災地や避難先では、商店が再開しない、再開しても客が少なく経営が続かない、客も高齢者が多く買い物に行けないなどの問題があります。
商店の営業は、事業主の責任です。それぞれの才覚で、儲けてもらいます。経済学では、そうなっています。しかし、住民にとっては、暮らしていくために不可欠の機能です。「市場原理に任せておく」では、地域は成り立ちません。そこをどのようにして支えるか。日本社会や行政に問題を投げかけています。
このアサヒビールの支援は、これに取り組んでくださっています。詳しくは、資料を見てください。それぞれの活動状況も載っています。

ありがとうございます。たくさんの企業が、さまざまな分野で、またさまざまな手法で、支援をしてくださっています。お金やモノの寄付と違って、「集計する」ことができません。すべては無理としても、何か整理して、また一覧表にして世間の人にお知らせできれば良いのですが。